高齢者隔離措置?

 ダイアモンド・オンライン2020.11.27に、上久保誠人氏の「コロナ第3波に無策の菅政権、今こそ実現すべき安倍前首相の『遺言』」と題する文章が掲載されている。まだこういうことが議論されなければならないという点で、なさけない状態だと思うが、重要な論点が提示されている。ただし、全面的な賛成はできない認識もある。
 安倍前首相の「遺言」というのは、大げさな表現だし、多くの人が主張していて、なんとなく安倍氏も受け入れそうな感じだっただけで、本当にそう思うならば、さっさと実行すればよかっただけの話ではなかっただろうか。ただ、重要な点ではあると、私も思う。それは、新型コロナウィルスを指定感染症の第二類以上という扱いをやめて、インフルエンザと同等の扱いにするという提案である。完全に同等というわけにはいかないと思うが、無症状の者まで入院するという措置は、現在ではあまりとられていないはずなので、実質的には、厳密に第二類以上として実行されているわけではない。あいまいなのだ。はっきりさせることは必要だが、どういう線引きをするかは、実情に合わせる必要がある。
 まずは、上久保氏の主張を簡単に整理しておこう。

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安倍対菅闘争の勃発か 桜を見る会の捜査

 突然、もう葬り去られたとみられていた「桜を見る会」の問題がクローズアップされてきた。安倍前首相の政治の私物化の典型的な事例として、昨年来大きな問題となっていたが、コロナ禍がずいぶんと安倍氏には助け船となっていたし、首相を辞任したことによって、ついに逃げきったという雰囲気になっていた。市民の目から見ると、突然検察が頑張りだし、安倍前首相の秘書が任意で取り調べを受けて、これまでの国会での説明が虚偽であったことを認めたという。
 何故突然このような事態に急変したのか。なかなか素人である私には詳細がわからないが、権力の位置関係が変化していることは感じざるをえない。そして、大胆に安倍対菅の権力闘争が始まったのだと考えてみたい。
 菅氏は安倍前首相から、権力を禅譲されたわけではない。安倍氏は長年言われてきたように、岸田前政調会長に禅譲したいと考えていたのに違いない。岸田氏のほうが、院政を敷きやすいという考えがあったのだろう。自らは、首相をめざすことはないと公言していた菅氏は、特に最後の一年間は、安倍前首相に排除されていたように見える場面がたびたびあった。ただ考えが合わないということではなく、菅氏の権力奪取の姿勢を感じ取ったからではないだろうか。そうして、菅氏は権力を奪取することに成功した。そのためには、かなりの手練手管をもちいたようだ。

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世界一豪華な刑務所 ハルデン刑務所

 イギリスのドキュメントで「世界一豪華な刑務所」というのを見た。非常に面白かった。国内の刑務所を100カ所以上見たという、イギリス人のジャーリストが、ノルウェーにあるハルデン刑務所を取材に訪れ、3日間丁寧な取材をするというものだ。当初は、刑務所とは犯罪者を罰して、懲らしめるための場なので、厳重に管理し、自由を剥奪して、二度と犯罪をしないという決意を固めさせるようなものでなければならない、という信念をもっていた。そして、ハルデン刑務所を見学し、説明を受け、かつ囚人たちと話し合うなかで、信念を捨てたわけではないようだが、考えなおす必要を感じている。私自身、刑務所を実際に見たことはないのだが、矯正機関であるから、興味をもって調べてはいる。オランダに滞在したときに、シリーズの刑務所ドキュメントがあったので、録画してきたし、また、デンマークにいったときには、刑務所に関する質問を市民にしてみた。スウェーデンの刑務所に関しては、大宅映子氏によるドキュメントがあった。
 まずは、この映像で、彼女が驚いたことを列挙しておこう。
・刑務所につきものといえる鉄格子がほとんどない。囚人のいる場は、もちろん厳重に管理されているが、行動はかなり自由である。
・囚人の住む部屋は、普通のアパートのようで、バスルームやテレビがある。

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高齢者への詐欺メールが増えているそうだ

 「NEWSポストセブン」というサイトに「シニアのネットトラブル増 コロナ禍で悪質通販の被害拡大も」という記事が出ている。高齢者である私にも、詐欺メールは頻繁に来る。正確にいうと、来ていると思われる。というのは、私は、メールを直接パソコンに読み込んでから読む、というスタイルをとっておらず、メールサーバーで題名と送信者だけをみて、明らかに必要なメール以外はすべてその場で削除していまう。だから、別に詐欺メールでない宣伝メールなども、ほとんど受信しないまま捨ててしまう。そして、そのなかには、あきらかにスパムメールや詐欺メールだと思われるものも少なくない。特に最近増えている気がする。
 この記事に紹介されている事例は、
1 コロナ禍で外出が少なくなったので、ネット通販を利用することが多くなり、かなりの量を買い込んでしまう。
2 アダルト系・出会い系で騙されて、お金を払ってしまうが、恥ずかしいので相談できない。
3 健康食品などで、一回きりのつもりが、定期購入になっていて、どうキャンセルしたらいいのかわからずに買い続けてしまう。
 このような事例で、シニア層は、パソコンの使い方は慣れている人が多いが、スマホはあまり慣れておらず、こうした間違いをすることが多いと書かれている。

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巨人のあまりのふがいなさにびっくり

 ここ数年、ほんとど野球中継をみなくなったから、正確なところはわからないが、川上時代を知っている者とすれば、あまりに今回の日本シリーズの巨人のだらしなさには、驚きだ。かつて、人気のセ、実力のパと言われたが、私が熱心に野球をみていた大昔は、人気のセ、実力のセだった。それは、王・長島を擁する巨人のV9をみればわかる。しかし、その後、少しずつ人気のセ、実力のパと言われるようになった。それは、オールスター戦で、セリーグの選手はお祭気分でやっていたのに、パリーグの選手は、スポットライトがあたる稀な機会というので、懸命に頑張ったからという側面が強かった。日本シリーズなどでは、セパはそれほど実力の差が数字に現れてはいなかった。しかし、確かにパリーグのほうが実力があることが明瞭になっていくのは、交流戦によってだった。以前は、巨人戦がテレビの最大人気番組だったが、次第に、野球中継が地上波から消えていき、CS中心になると、ほぼ全球団の全試合が放映されるようになるから、メディア面での差がなくなってくる。そして、明らかに、パリーグのほうが、プロスポーツとしての野球の向上のために、努力しているように思われてきた。大分前から、私には、人気のパ、実力のパとしか思えなくなっていた。一応東京育ちで、野球少年だった私としては、巨人ファンということにしていたが、第二次長島監督の時代から、巨人ファンであることを止めた。第一次長島監督のほうが、成績は悪かったのかも知れないが、若返ったチームを強くするために、チームが全力でトレーニングしている雰囲気があって、今後強くなることが予想されていた。その途中で解任され、長島としては非常に落ち込んだのだろう。そのせいか、第二次監督になってからは、練習によってチームを作り上げるより、金任せのチーム作りをするようになり、4番バッターをずらりと並べるという、あまりにも不可解なチーム作りに走った。それを背後から支持したのが、ナベツネであることも周知のことだ。ナベツネというひとは、ホームランがことのほか好きだったようで、4番を揃えるのも、ナベツネの趣味に合わせたところがあるのだろう。この時期あたりから、巨人は、屋台骨が崩れ始めた感じがする。

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国が信頼されるということ コロナ克服に必要なこと

 
 
 フィンランドでは、強力な自粛政策が取られていない。そして、経済活動や学校なども平常通りに行われているというニュースが流れていた。マスクなどもあまりしていない。何故か。
 その最大の秘訣は、ソーシャル・ディスタンスをとっていることと、アプリをほとんどの人がいれていて、距離をとっている。アプリとは、日本でいう「接触確認アプリ」だ。接触確認アプリにもいろいろあるので、機能の詳細はわからないが、国民のほとんどの人がこのアプリをいれていて、感染者が近くにいると、それが感知され、距離をとることで、感染を防いでいると、そのニュースでは言っていた。
 では、日本ではどうなっているのか。日本では、厚労省が開発したアプリ(COCOA)があり、厚労省のホームページによると、11月20日現在で、2024万人が登録しているそうだ。公表当初の登録数は、極めて少なかったので、ほとんど有効性がないと言われていたが、数の上では、多少は延びていたというところだろう。しかし、20日現在、登録されている陽性者は2777人というから、陽性者のごく一部しか登録されていないことになる。これでは、実際に登録されていない陽性者が、近くにいても、まったく警告がならないことになる。

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温室効果ガス0にするというが

 菅首相は、2050年までに、日本の温室効果ガスの排出量を実質0にするという公約を掲げた。大変けっこうなことだ。しかし、それは本気なのだろうか。これまで日本は、京都議定書を決めたホスト国として、温室効果ガスの削減に努力してこなければならなかったが、実際には、ほとんど成果をあげてこなかったし、むしろ、東日本大震災もあって、火力発電が増大したことで、約束を下回っている。また、トランプ大統領の消極的な姿勢の影響もあって、安倍内閣は熱心に取り組んだとは言い難い。安倍内閣を支えてきた菅官房長官が、熱心に気候変動問題に取り組んだという印象はない。「日経エネルギーNext」によれば、公明党の強い要請で、政策に掲げたということのようだ。とするならば、それほど自身の政治生命をかけるような重大政策ではないに違いない。最大重要課題と掲げていたコロナ対策は、今のところ無策として思えないから、「大きな政策」の実行力にはかなり疑問符がつく。しかし、そういうことはさておき、公約の内容そのものはとても重要で、本気で実行してほしいことだ。

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東京・福岡でコロナ関連で罰則付き義務化?

 新型コロナウィルス対策として、都道府県単位で罰則付きの措置をとろうという動きがある。欧米などの罰則付き措置が、日本でとれないために、対策がとりにくいということは、従来から言われていたが、他方で、罰則なしでも、国民の自発的努力で欧米以上の効果をあげているから不要だという見解もある。菅内閣は、新型コロナウィルス対策が最大急務であるといいながら、経済活性化のための政策を重視して、コロナ対策は、ほとんどスルーしている感じだから、結局地方がやらねばならないという機運になっているのだろうか。
 最初の動きは、東京だった。
 まず10月段階では、陽性が判明したあとに外出して、他人に感染させた場合には、罰金を科すという案が検討されていた。現在は、陽性になっても強制的な入院などはなく、むしろ、家庭での待機が奨励されているから、行動の規制はほとんどできない。買い物にはいく必要があるだろうから、外出を全面的に禁止することもできない。それをするためには、ホテルや研修所などに収容するしかないだろう。春先に、陽性となった男性が、繁華街に出て、店に入り、「俺はコロナだ」と叫んで回ったという事件があった。ただし、この事例とは、異なる。以下記事を引用しよう。

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バーンスタインのベートーヴェン交響曲全集の映像

 バーンスタインの演奏は普段あまり聴かないのだが、ベートーヴェンの交響曲を聴きなおしてみようと思って、数日かけて全部聴いた。ウィーンフィルとの映像バージョンだ。演奏については、今更言う必要がない、優れたものだ。ベートーヴェンの演奏は、特別なしかけをする必要はなく、楽譜の通りに演奏すれば、確実に効果があがるものなのだが、そういう安心できる演奏だ。演奏は1977年から79年の間に行われたもので、会場は、5番と9番がウィーン・コンツェルト・ハウスで、残りはムジーク・フェラインである。
 ベートーヴェンの交響曲は、すべて2管編成だが、映像でみると、オーケストラの編成が曲によって異なり、それだけでも指揮者の解釈が感じられる。通常、1番と2番はハイドンの影響が濃厚で、まだベートーヴェンらしさが確立されていおらず、3番の英雄に至って、ベートーヴェンとしての個性か確立すると言われている。しかし、バーンスタインは2番でベートーヴェンらしさは全開になると考えているように感じられた。というのは、1番は2管で演奏しているが、2番は完全な倍管になっていて、演奏もアタックの強いものになっている。編成で「おや?」と思ったのは、5番で、会場が広いコンツェルトハウスなのだが、とにかくたくさんの奏者が並んでいるのだ。5番はピッコロやコントラファゴットなどの、ベートーヴェンでは普段使われない楽器が加えられていることも影響しているのだろうが、弦楽器がやたらと多いのだ。カラヤンだって、これほど大きな編成で5番を演奏しただろうかと、思わせるほどだ。他の映像に比較して、そういうせいか音の凝集力がないように感じられた。録音のせいだと思うが。

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コロナワクチンへの疑問

 新型コロナウィルスに対するワクチンの開発が進み、効果が95%であることが確認された、などというニュースが注目されているが、通常のニュースやワイドショーなどをみている限りでは、どうもよく理解できない部分がある。つまり、有効率が95%というのは、どうやって確かめたのかということだ。そして、何故、日本の医師の多くが、ワクチン開発はかなりの年数がかかるのに、これらのワクチンはまだまだ本当に有効であるかはわからない、と解説するのか、そうしたことがよく理解できないのだ。ワクチンが有効だったということは、ワクチンを摂取した人が、新型コロナウィルスに感染したけれども、まったく発症しなかったという人の割合が95%で、発症した人が5%だったというように、常識的には受け取れる。

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