秋篠宮家の唯一の「貢献」 納税者として皇室を評価する姿勢を生んだこと

 秋篠宮の誕生日会見で、真子内親王の結婚を容認するかのような発言をとらえて、話題になっているが、念のためにヤフーのコメントを見てみた。あまりに多いので最初の100発言を全部読んでみたが、この結婚に対して肯定的な意見を書いているのは、0であって、100すべてがネガティブな書き込みだった。かなり白黒がはっきりしていることでも、また、ヤフコメを書く人が、偏っているとしても、100%ネガティブという話題は、これまで見たことがない。
 私が、オランダに滞在して、オランダ人の気質について、いくつかショックを受けたことがある。そのひとつが、オランダ人の王室に対する態度だ。いろいろな人に聞かされたが、オランダ人は王室を積極的に支持しているが、それは、オランダ王室が、国民のために貢献していることを実感しているからだ。そして、オランダ人は、王室が税金で支えられているから、税金に見合う活動・奉仕をしているかを、常に気にかけている。だから、今は、王室を支持している人が多いが、あくまでも、冷静に見ているのだということだった。

 二度目に行ったときには、当時の皇太子が結婚したあとだったが、これはかなり大きな話題になったという。皇太子だから、結婚のために議会の承認が必要なのだが、当初婚約が発表されたときに、大きな批判が起きたのだ。それは、アルゼンチン人であった彼女の父親が、アルゼンチンが独裁政権だったときの大臣だったことが理由である。独裁者の協力者の家族がオランダ王室に入ることは許されないというわけだ。そこで、彼女は、テレビに出演し、見事なオランダ語を駆使して、自分の父親は確かに大臣であったが、独裁政権の具体的な暴虐行為には関与していない、と国民に直接訴えたことによって、国民の共感を勝ち得て、無事結婚に至ったというのだ。私が行ったときには、国民の人気も相当なものだった。
 国民の側の、自らが支払っている税金が、正当に皇室によって使われているのか、という意識。そして、王室が、国民の理解をえられるように、自らきちんと国民に説明する勇気。こういうことが、必要だと、つくづく思ったものだ。今回の結婚騒動とは大分様相が異なっている。
 
 日本では、皇室の活動やその費用などは、あまり国民に知られていないし、また、儀式的にしか皇室の声を聞くことはできない。もちろん、普段はそれでもいいのだろうが、何か問題かあったときの対応という点では、それでは国民は納得できないだろう。そういうことをチェックする必要があるという意識そのものが、日本国民には欠けていたともいえる。皇室は特別なのだと。
 しかし、今は、かなり変わってきた。そのように国民の納税者意識、皇室といえども、税金で支えられているのだから、それに相応しい行動を取るべきであるという意識が、次第にできつつある。その最大の「貢献者」は、秋篠宮家であろう。そして、真子内親王の結婚問題だけではない。上皇、上皇后の「公務」におけるかなり大きな出費、そして、御所の改築におけるかなりの費用、そして秋篠宮の住居の改築必要など、本当に必要なのだろうかという疑問か起きている。マスメディアはこうしたことを問題としては、まったく報道しないが、ネットでは、ごく当たり前に議論されている。そして、ネットがマスメディアに与える影響力も次第に増加しているのである。やがて国民の間に、広く、皇室の問題を、国民のためになっているかという視点から、チェックをする意識が、拡大していくに違いない。それでこそ、民主主義国家であり、国民の総意に基づく皇室というものだ。
 そして、そういう民主主義的な感覚が国民のなかに育っていって、もし、将来皇統が秋篠宮家に移り、現在のような疑問だらけの行為を続けているとしたら、天皇制自体に国民の疑問が向くに違いない。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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