巨人がセリーグでもDH制度を導入しようと提案したのだが、セリーグのオーナー会議で否決されたそうだ。まず感じるのが、巨人のセリーグにおける地位がずいぶんと低下したものだという点だ。以前なら、巨人の提案に、他球団がこぞって反対するなどということは、考えられなかったと思う。先の日本シリーズで、巨人の主催ゲームでもDH制度を採用したことが、非常に変だと思っていたのだが、要するに、原監督は、DH制度導入を考えていたということだったようだ。
これまで、リーグ全体に関わるような改革に対して、巨人は非常に消極的だという印象だった。DH制度にしろ、クライマックス・シリーズ、そしてセパ交流戦にしろ、パリーグが熱心であった。特に巨人は冷淡で、要するに、交流戦などは、巨人人気にあやかろうとしているだけだとか、DH制度などは、野球の基本に反するなどという、非常に保守的、あるいは、現状にあぐらをかくような対応だったのである。しかし、いつか、気がついてみたら、実力はおろか、人気の点でもパリーグのほうが上だったというのが、現在のプロ野球の実態になっていた。さすがに、これではいけないと考えての、DH制度の提案だったのだろう。確かに、いきなり提案されて、すぐに賛成するのは難しいだろう。特に、巨人が2年間8連敗でシリーズに敗れての提案だから、負け惜しみと取られても仕方ない。しかし、様々な集団スポーツが、分業体制になっていく傾向ははっきりしている。例えば、バレーボールのリベロなどがそうだ。以前は、6人制バレーボールは、文字通り6人でやるものであり、すべての選手が、守りと攻撃をするものだという前提だったが、リベロの導入は、分業の現れである。