12月14日は、アメリカ大統領選挙で選出された選挙人が投票する日である。これにどれだけの意味があるのか、極めて疑問だが、既に選挙管理当局による正式発表がなされているから、公式にバイデンの当選が確定しているといえるのだが、自分が任命した判事が複数いる連邦最高裁が、トランプの訴えを退けているにもかかわらず、いまだにトランプは自分が勝ったと主張しており、また、逆転がおきるといっている人もいる。しかも、日本人のなかにもいるのが驚きだ。youtubeをみていると、そのうちに票が計算されなおされるか、バイデンの不正が暴かれて、トランプが逆転勝利すると声高に主張しているのが、多数ある。トランプが起こした訴訟では、いずれも証拠がないといって却下されているにもかかわらず、トランプは、証拠を裁判所か認定しないと怒っている。提出していないから「ない」と判断していると考えるのが、常識であり、ないものの認定ができるわけがない。もし、不当に裁判所が提出した証拠を「ない」といっているのならば、その証拠を国民の前にさらけ出せばいいだけのことだ。しかし、国民の前に出せというと、訴訟だから出せないというのでは、なにをかいわんやだ。
前にも書いたが、もし選挙に不正があったとすれば、それはどちらの陣営がする可能性が高いかを判断すると、これも常識的な判断に過ぎないが、選挙前には、圧倒的にバイデン有利という調査だったわけだから、バイデンのほうに不正を働く動機はあまりないのに対して、負けることが予想されていたトランプ陣営は、なんとかしようと思えば、不正も選択肢になる。つまり、不正をする可能性があるのは、トランプ側なのだ。トランプがいっている郵便投票に関しては、州法で事前にきちんと決まっていることであること、コロナのために投票にいくことが危険だと認識しているのは、バイデン支持者であるから、郵便投票ではバイデンが圧倒的になることは、事前に十分にわかっていたことであって、その通りになったに過ぎない。
では日本のyoutubeのトランプ支持者をみてみよう。及川幸久氏は、毎日のように、youtubeを更新して、トランプ逆転のシナリオを解説している。テキサスの司法長官が4つの州を訴えたということに、けっこう期待したが、次に、最高裁が却下すると、双方の主張を聴くべきだったという少数意見のみを紹介し、そこに正当性があるかのように主張。しかし、どう考えても、州の権限が明確になっている選挙制度について、他州の役人が、正式に確定している州の集計を無効にせよ、などという主張が、裁判の対象になるためには、相当明確な不正の証拠がなければ、裁判そのものを認めるべきでないことは、当然のことだろう。次は、トランプ支持者たちの集会に、トランプが突然ヘリコプターで駆けつけて盛り上がったと紹介したあとで、この人たちは、最終的には革命を起こすとまでいっている。及川氏は革命という言葉を勘違いしているに違いない。革命とは、既存の政治的、社会的システムを変革することをいうのであって、政治的革命が支持されるのは、倒す政治が専制的なものであった場合に限られることを知らないわけでもあるまい。しかも、倒す相手のバイデンは、政権を継承したわけでもなく、実際に政治を行ったわけでもない。つまり、権力をもっているトランプが権力を、渡さねばならないのに、それを無視して、相手を不当に倒すことにしかならないわけで、こういうのは、クーデターというのだ。そのように表現すると、いかにも、不都合なことを起こすニュアンスになるので、あえて、でたらめな言葉使いをしているのだろう。
そして、最後の手段なるものを解説しているが、それによると、1月6日の選挙人の選挙結果を受け取り、認めるのが、現在の副大統領であるペンス氏だが、彼が、それを認めない可能性に期待しているようだ。そのために、共和党のあらゆるレベルの議員が、トランプ再選のために、協力しそうにないことに、いらだちを隠せないのが、現在の及川氏である。共和党の議員といえども、民主主義の手続きで選出されたプロセスを、良識をもって認識しているというだけのことだろう。
こんなことを書いても、常識的に過ぎないが、踏み込むべきは、こうした心証の人たちが、何故生まれたのか、それを今後は考えていきたい。