九州交響楽団が苦境になっているという記事をみた。地方のプロオーケストラの半数近くが赤字に苦しんでいるという。たしかにオーケストラの採算があうということは、かなり奇跡に近いのだ。
いつか指揮者の渡邉暁雄さんが明解な説明をしていた。たとえばピアノリサイタルであれば、宣伝や施設費などを除けば、ギャラにあたる部分は一人ですむ。しかし、オーケストラとなると、80人から100人の人件費が必要であり、団員以外の人も演奏会のために必要である。つまり、同じ会場でひとつの演奏会をやっても、ピアノやバイオリンのリサイタルとオーケストラの演奏会では、かかる費用が相当違う。しかし、費用が50倍かかるからといって、チケット代を50倍にするわけにはいかない。おそらく2~3倍程度の差しかないだろう。そうすると、オーケストラの経営が成り立つためには、公的援助や寄付金、そして、CD、放送などのチケット以外の収入が必要になるのである。
私がまだ若い頃は、オーケストラの演奏会に閑古鳥がないていると言われていて、本当にガラガラの席で演奏会が行われていることが、めずらしくなかった。東京に関するかぎり、私の小さな経験では、昨今のオーケストラの演奏会は、かなり席がうまっている感じがする。東京はオーケストラがたくさんあるが、聴衆も多数いるし、また企業の援助も大きいのだろう。地方のオーケストラは、ほんとうに大変だと思う。
九州交響楽団を聴いたことはないので、聴いてみようと思って、youtubeを開くとけっこうな数の映像があった。そのなかで、小泉和弘指揮のベートーヴェンの「運命」を聴いてみた。
https://www.youtube.com/watch?v=-YJ6RjzoJ0w&list=RD-YJ6RjzoJ0w&start_radio=1
「運命」全曲を聴いたことなど、何年ぶりかわからないほどだが、最後まで聴いた。特別に変わったことをやるわけではない、王道の演奏で、充実感があった。管楽器の名人芸的な部分はあまり感じなかったが、ファゴットの首席の女性は、とても優れていたように感じた。「運命」ほどたくさん聴かれている曲の場合、どこか特徴をだそうとして、変わった解釈を披露する指揮者も多いと思うのだが、小泉氏は、そうしたことには重きをおかない人なのだろうか、とにかく、造形のしっかりした演奏で好感がもてた。
私は関東に住んでいるので、九州交響楽団の演奏会を生で聴くことはできないが、応援の気持ちで、youtubeに会員登録した。ただ、残念なことにまで会員数が少ないようで、もっとたくさんの人が登録して応援してほしいと思った。これからも時折youtubeで演奏を楽しもうと思う。