トランスジェンダー選手の競技参加問題

 昨年の記事だが、アメリカのトランスジェンダー選手が、大学の水泳大会でめざましい活躍をしたことが話題になっているという。https://news.yahoo.co.jp/articles/fb100c8e5f4abc60c91cd33a0a3c27a938e5781d
 そして、東京オリンピックで話題となった重量上げの事例もあわせて思い出させている。ネットで検索した限りでは、女性アスリートの多くは、トランスジェンダー選手が女性選手として参加することについては、反対であるといえる。ただ、全体として女性アスリートの不利な状況に配慮している人は少ないのに、こういう問題だけ意見をいうのはどうか、という疑問を呈する女性アスリートの声はあった。
 さて、この問題は以前にも書いた記憶があるが、再度考えてみたい。そのために、「トランスジェンダー選手の五輪出場「オリンピックは排除ではなく、迎え入れる場所だ」。専門家はこう見る」という記事 の検討という形をとる。
 中京大学スポーツ科学部來田享子教授へのインタビューを元に、安田聡子氏が執筆した記事である。記事自体は、東京オリンピックに、トランスジェンダー選手が初めて正式に参加したとされているので、それをきっかけにした記事である。

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ドーピング問題の本質はどこにあるか2

 今回のワリエワのドーピング問題は、まだまだ尾をひくことは確実だ。問題はいくつかの層からなりたっていると思われる。 
 第一に、ロシアという、民主的とはいいがたい国家特有の問題である。オリンピックに極めて熱心に取り組んでおり、IOCの支持を獲得している中国も同様だ。プーチンが語ったことが、示唆的だ。「スポーツは国民の団結力、愛国心を高める」とプーチンが今回の問題を念頭において、取材に応じて語っている。オリンピックを肯定する人も、また否定する人も、このことは十分に考えているだろう。肯定派は、だからスポーツを振興させよう、そのためにオリンピックは最適の機会だという。反対派は、スポーツ、そしてオリンピックがナショナリズムの高揚のために利用されると批判する。

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ドーピング問題の本質はIOCの商業主義にあるのでは?

 ワリエワのドーピング問題は、CASが競技に出場してよいという裁定を下して、一段落ついた形になっている。もちろん、競技がすべて済んだあとに、問題が蒸し返され、無効になるという可能性もあるのだろうが、とりあえず、ワリエワの出場する競技が済むまでは、一端休戦のような状態になるのだろう。
 それにしても、このドーピング問題は、不可解なことが多い。昨年12月の試合のドーピング結果が、なぜオリンピック期間中に出てくるのか。その後、無効、異議申し立ての繰り返しなどが起きている。非常におかしなことは、IOCが、ロシア反ドーピング機関による資格停止処分の解除に対して、CASに提訴したことだ。IOCは、オリンピックの運営機関であって、基本的にはそのすべてを決定する権限をもっているはずである。しかし、その判断を、自らするのではなく、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に委ねたことだ。自らの責任を放棄したに等しい。そして、CASも、ルールを無視するような裁定をしている。

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ドーピング問題 指導者への罰が必要だ

 北京オリンピックは、審判の判定問題が多数でている。私は、基本的にオリンピック反対派なので、中継はみないが、報道で知る限りでは、近年になく不明朗な判定で揉めている印象がある。ジャンプのスーツ、スピードトラック競技の失格判定、平野のジャッジ。そして、今後もおお揉めになりそうなのが、ワリエワのドーピング問題だろう。まだ決着がついておらず、どうなるのかわからない。
 ロシアは国家的な関与が疑われて、ロシア国家としての代表派遣が認められないので、ROCなる組織をつくって参加している。ただし、これについては、「ドーピングをまったくしていない個人」という参加資格があるから、競技当日の検査でシロならよいというわけではない。

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箱根駅伝の疑問

 いつものように、昨日と今日箱根駅伝で行われ、大いに盛り上がったようだ。あまり関心はないのだが、家ではテレビをつけているので、食事などのときに一緒に見ている。ただ、毎年のことだが、いつも疑問に思うことがあるので、そういう文章も必要だろうと思い、整理してみた。
 
 最も強く疑問に思うのは、ランナーたちの間を走る車やバイクの多さである。テレビ放送のためにカメラを積んだ車両が走るのは仕方ないとして、近年は、コーチが乗った車が走者の後ろを走り、頻繁に指示を与えている。だから、ランナーは、前を走る人の姿が非常に見えにくいに違いない。この点の疑問はいくつもある。
 まずは排気ガスだ。これはずっと気になっていたので、マラソンや駅伝の選手に間接的に確認したことがあるが、ほとんど電気自動車などは使われていないそうだ。排気ガスが身体に悪影響ではないか、電気自動車を使うべきではないかという質問には、「そんなこと考えたこともない」という回答だったので、逆にびっくりしたほどだ。最近は、排気ガス規制も強くなっているので、以前ほどの害はないのかも知れないが、それでも、選手の健康を考えれば、排気ガスのない車両にすべきではないか。

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大谷翔平MVP かつて否定した評論家が多かったが

 大谷翔平が満票でMVPを獲得した。満票かどうかが問題で、獲得は確実と言われていたが、予想通りというか、満票だった。一つ一つの成績では、タイトルをとっているわけではない。だから、あくまでも二刀流での偉業を評価されたということだ。
 彼が大リーグに二刀流で挑戦することがはっきりした時点で、日本のプロ野球の評論家たちの多くは、無理だ、止めた方がいいと語っていた。張本もそうだったし、江本などは、かなり詳しくたいした成績を残せないと断言していた。それについては、私はそうではないという趣旨の文章を書いた記憶がある。
 江本は、二刀流では、投手として最多勝とか、防御率トップなどのタイトルは無理だろうし、また、バッターとしても、首位打者やホームラン王なども無理だろう。結局、どの部門手も中途半端になって、たいした選手になれないと断言していたのである。だから、どちらかに専念したほうがいい、と。

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白鵬の引退 相撲協会は民族差別をやめるべき

 白鵬が引退した。もう少し続けること思ったが、今から考えれば、もうずっと前に引退してもおかしくないような怪我だった。前にも書いたことがあるが、引退という契機に、再度書いてみたい。
 白鵬が引退に際して、今後、行動を慎むことの誓約書を求めたと報道されている。ここまでやるか、という寒々しい気持ちになった。白鵬が親方になったら、霞んでしまうような現在の親方たちが、自分たちの地位を守ろうと必死になっているような感じすらする。何故、ここまで彼等は白鵬を嫌うのだろうか。そして、それはどういう意味をもつのだろうか。
 私は、別に相撲ファンでもないが、この問題の背景にあることについては、無関心ではいられない。
 これまでは、明確には書かなかったが、相撲協会や、よき伝統に固執する相撲ファンたちの、白鵬への対応は、「民族差別」そのものである。白鵬は弱い存在ではないから、そうした差別をはねのけているが、それがますます差別意識を強めている。

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大リーグの乱闘

 大谷翔平の不調が、死球と四球の連発にあることを、前に書いたが、たまたまyoutubeをみていると、大リーグの乱闘映像がたくさんあったので、いくつかみてみた。すると、あまりに日本の状況と違うので、びっくりした。
 日本でも、プロ野球で暴力沙汰はあるし、両軍の選手か出てきて揉めることもある。しかし、暴力沙汰はあっても、特定の人間、しかも多くは外国人選手が絡んでいることがほとんどで、日本人選手が本気で殴りあうような場面は、少なくともyoutubeでの乱闘場面でもない。日本だと、ベンチから出てきた選手は、止め役がほとんどで、あるいはだまって立っている。当事者以外の選手が殴りあうような場面は、見たことがない。
 それに対して、大リーグの乱闘シーンは、とにかく、出てきた選手がそれぞれに乱闘に加わってしまうような感じが多い。もちろん、多くは止めにはいっているのだが、それでも抑えられない。
 乱闘の原因はいくつかあるようだ。

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腰痛克服記1

 ここ3週間ほど、腰痛が起こって、その対策に掛かりきりになっていた。もっとも、いわゆるぎっくり腰というような、歩けないほどの痛みにはならずに済んでいたのだが、かなりの腰痛になった。腰痛といっても、いろいろな種類があるようで、最も多いのは、屈むと痛いのと、座っていると痛くなるものだ。私の場合は、完全に後者で、屈んでもなんともない。しかし、座っていると、ほぼ確実に痛くなって、そのままでは立てない感じだった。あくまで「感じ」であって、立てなかったかどうかは不明。というのは、無理して立つと、とんでもなく痛くなる、つまり、ぎっくり腰になってしまうとこまるので、まずは、痛みをとる動作をしてから立つようにしていた。
 腰痛というのは、高齢者の多くにおきるわけだし、現代人にとっては、生活スタイルに関わることだ。起きているときには、ほとんど座っている。私の場合には、パソコンに向かっているか、チェロを弾いているか、食事をしている。全部座って行なうので、とにかく座っている時間帯が長い。そして、10月に所属している市民オーケストラの演奏会がある。当日は、前後5時間くらいは、演奏のために座っていなければならない。それに耐えられるだろうかというのが、まず頭をよぎった。

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大谷翔平の不調 死球と四球

 大谷が明らかに不調に陥っている。張本によると、ボールの待ち方、その際の足の使い方に問題があるそうだ。そういう専門的技術については、よくわからないが、大谷が不調になっている原因については、十分にわかるし、多くの人が感じているにちがいない。それは、四死球の多さである。申告敬遠の多さについては前にも書いたが、とにかく、大谷との勝負を避けている投手が非常に多くなっている。ストライクが来ないから、どうしても、打てそうなボール球に手を出してしまい、凡打になるパターンだ。まあ、ホームラン打者への四球の多さは、日米変わらないだろう。王貞治は、オームラン王だったが、同時に圧倒的に四球王でもあった。最近の外国人がホームランをたくさん打って、四球が多くなると、自分は外国人だからホームラン王にならせたくないのだ、王さんとはちゃんと勝負していたのに、というようなコメントをするが、それはまったくの間違いだ。王は日本人ではないし、また、王の四球の多さは、近年の外国人のホームランバッターの比ではなかった。

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