月並みだが、大谷と藤浪の違い

 ヤフーニュースが、4月21日は大谷翔平、22日は藤浪晋太郎の記事で大賑わいになったという。もちろん、大谷は称賛の渦、藤浪は非難の渦と、正反対なのだが。それぞれ単独はもちろん、二人の比較も散々に書かれ、語られている。なにしろ同じ年齢で、同時に高校野球の時代から、話題の選手であり、とにも、プロにはいって、当初はライバルであったのは事実だ。藤浪もプロの最初の2,3年は、阪神の中心的な投手として活躍したのだから。しかし、金本監督になって、まったく活躍できなくなって、そのまま大リーグに挑戦したので、大リーグで藤浪を獲得するチームがあるのか、と当初は信じられなかったほど、日本では低迷していた。それに対して、大谷は、大リーグ2年目あたりで肘の故障が見つかり、手術を受けるなど、大変な時期もあったが、それ以外は、極めて順調に成長してきた。大谷ほどの選手で、これほど、年々成長し続けている人も珍しい。二人を比べるのもおこがましいし、散々されているけれども、自分自身で重要なことを確認したいという目的で、二人の違いを比較してみたい。
 
 結論になってしまうが、すべての日常性が、二人の相違を作り出しているということだろう。

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野手が投手として救援

 普段野球中継のテレビは見ないので、当然記事で知ったのだが、ネットでニュースをみていたところ、次の記事かあった。
「江夏豊氏 “原采配”野手の投手起用を厳しく批判「果たしてそれがプロの姿なのか」」
 要するに、巨人・阪神戦で、大差がつけられたところで、原監督が、二塁手である増田を投手として投げさせたことに対して、江夏が客に対して失礼であるという批判をしているということだ。どういうことだったのか、検索してみたが、全投球をみることができる映像があったので見てみた。(URLを記入すると、youtube動画が直接出てしまうので、問題があるかもしれないと思い、記入しないことにした。「増田大輝 投手」で検索すると、見られるので、興味ある人はみてほしい)

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巨人の低迷 原因は

 私の若いころは、プロ野球は、「人気のセ、実力のパ」と言われていた。ただし、巨人のV9時代は、実力でもセリーグがパリーグを上まわっていた。なんといっても、巨人が9年間も日本シリーズを制していたのだから、実力はセ側にあった。現在は、明らかに「人気のパ、実力もパ」というのが、大方のひとの実感だろう。実力がパリーグが上であることは、交流戦や日本シリーズでわかるが、人気も明らかにパリーグのほうが上だろう。その証拠のひとつが、テレビのCMに出る野球選手である。ほとんどがパリーグの選手、あるいはパリーグ出身の選手で、最近村上がでているのが、久しぶりのセリーグの選手という感じだ。巨人の選手がCMに採用されなくなって、ずいぶん経つ。CM起用は、人気があることが絶対条件だから、巨人の選手がでないということは、人気が明らかに落ちている証拠になる。

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藤波と大谷、成長するために必要なこと

 藤波晋太郎が、大リーグに移籍し、2試合に先発したが、ともに、最初はよかったが、打者二巡目からコントロールを乱し、ノックアウトされた。アメリカでは失望があがり、日本では、やはり、という醒めた見方が広がっている。あわせて、大谷翔平と同い年なので、高校時代からライバル視されていたこともあり、「本当に大谷のライバルだったのか」という疑問がアメリカでは起きているようだ。
 正確には、少なくとも高校時代は藤波のほうが上で、藤波は甲子園優勝し、大谷は藤波と対戦して敗れ、3年の夏は地区予選で敗退している。プロ入り後の初期は、双方とも期待通りの活躍をしていたが、やがて藤波は長期の不調となり、大谷は大リーグで大ブレークした。
 この差が何故生まれたのか、ずいぶん様々に分析されている。野球の専門家もたくさん見解を公表しているし、素人も多数ネットで意見を書いている。私自身は、詳細にふたりを追いかけてきたわけではないが、その違いに大きな興味は懐いている。

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野球の試合、長すぎないか?

 野球が久しぶりな熱さを感じさせている。WBCは、にわか野球ファンをたくさん生んだし、日ハムの新球場エスコンフィールドも完成し、開幕から使われた。しかし、その後多少緩和されたらしいが、開幕の初日は、帰宅の交通機関が大混雑して、交通アクセスの悪さが浮き彫りにされた。当然、球場や市が対策を練って、やがて交通機関は改善されるだろうが、試合終了時間が遅かったことも、混乱の一因になっていると思われる。WBCでも、とにか、試合時間がながかった。サッカーは、原則90分で終わり、延長になっても、それほど長くはない。休憩を挟んでも2時間で、だいたいは終わる。しかし、プロ野球は3時間は、短いほうで、長いときには、更に30分、1時間延長される。もちろん、プロ野球機構としても、対策をねっているが、とにかく、試合のテンポ感が、どんどん遅くなっている。大リーグでは、ピッチクロック制を導入して、テンポを速くするように改定している。ピッチクロック制とは、投手が投げる間隔を、無走者の場合15秒、有走者のときは20秒に制限するものだ。これで、けっこう速くなるらしい。

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WBC 事実は小説より奇なり

 NHKテレビの初期だと思うが、「私の秘密」という番組があった。いまでも、ときどき話題にでるような人気番組だった。ある人の珍しい経験を、回答者たちが質問をしながら、その経験をあてるという、一種のクイズ番組だったが、冒頭に、高橋啓三アナウンサーが、「事実は小説より奇なり、と申しまして」と必ず言うことになっていた。そういう言葉が、本当にあるのかわからないが、確かに、どんな作り事よりも珍しい、印象的な事実はあるものだ。
 今回のWBCは、まさしく、この言葉に相応しいドラマだった。ネットのコメントでも、「漫画のストーリーに、あのような場面を設定したら、あまりにリアリティがないからだめだと言われそう」というのが、多数あった。たしかに、いくらそういう場面が実現してほしいと思っても、実現しそうにない対決が実現してしまった。

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パリ五輪へのロシア参加問題 拒否すべき

 ウクライナのゼレンスキー大統領が、来年のパリオリンピックで、IOCがロシア選手の「中立」を条件の参加を認める方針を出したことに対して、ロシア選手を参加させるべきではない、と国際社会に訴えた。そして、それに対して、ロシア側が反対声明を出している。
「「受け入れられない」 ロシアが五輪除外の呼び掛けに反発」(URLは文末)
 
 この問題をどう考えるか。
 オリンピックには、ふたつの原則めいたことがある。ひとつは、「政治を持ち込まない」ことであり、他は「オリンピックは平和の祭典」ということだ。しかし、周知のように、このふたつの原則は、相反することがしばしばある。政治的メッセージを、なんらかの形で発した選手が非難されることがあるが、他方、そうしたメッセージは人権抑圧への抗議であることが多く、共感や支持が寄せられることもある。また、モスクワオリンピックは、ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して、西側は多くがボイコットした。
 
 平和の祭典に関しては、実はオリンピックは3回中止になっている。

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箱根駅伝雑感

 今年も箱根駅伝が盛り上がったようだ。私は熱心な観戦者ではないが、食事時間とかなり重なるので、そのときには家族と一緒に見ている。食事が終わっても、多少は延長しているが。
 箱根駅伝は、いろいろな意味で考えさせる側面をもっている。私は私立大学に勤めていたので、私立大学にとっての箱根駅伝を考えることがよくあった。なんといっても、箱根駅伝に出場することは、私立大学の営業にとって、非常に大きな利益をもたらす。受験シーズンが始まる時期に、2日間、合計10時間テレビで大学名が連呼されるのだ。そして、今や箱根駅伝で記録をつくったりする選手は、大学ではスターなのだろう。ある大学では、初めて箱根駅伝に出場したあと、受験生が2割ほど増加したという。だから、名前を売り込みたい大学は、かなりの特典を与えて、有力選手を集めることになる。スポーツ推薦の形だが、おそらく、スポーツ推薦で最も効果が高いのが箱根駅伝なのではないか。大学スポーツで、短期間にこれだけ集中的にテレビ中継されるものはないと思われる。

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過激なサッカー・ファンへの違和感

 サッカーのW杯が行われていて、日本中に旋風が起こっているかのようだ。なにしろ羽鳥モーニングショーは連日、ほぼすべての枠をW杯話題を扱っている。さすがに、その時間帯は別の番組を見るようになってしまった。こうして離れていく視聴者もいることは、ぜひ知ってほしいものだ。
 サッカーが面白いスポーツであり、また、最も国際的な人気が高いことも十分に承知しているが、ただ、サッカーファンの行動については、どうしても疑問を感じることが多い。極端な事例では、昔アルゼンチンの選手だったと思うが、国際試合で負けて、帰国したときに、怒ったファンから殺されてしまったことがある。ここまで極端ではなくとも、負けるとその国のファンが異様に激しい抗議行動をすることが少なくない。今回も、世界ランキング2位のベルギーが敗れて、ベルギー国内で暴動に近いような抗議活動が行われたと報道されている。かつて、クラブ対抗の決勝戦が、日本で行われていたことがある。トヨタカップと称していたと思う。それは、負けたほうを応援しているサポーターたちが、試合後騒ぎを必ず起こすので、それを避けるために、決勝にでる可能性がほとんどないこともあるだろうが、観客がおとなしい日本で行われることになったと言われていた。フーリガンという言葉があるくらいだから、サッカーファンの暴力的なことは、広く認知されているといえる。

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大谷翔平の偉業 専門化と総合化

 ついに大谷選手が、これまで誰も到達しなかった記録に到達した。打者として規定打席回数を、そして投手として規定投球回数を上まわった。双方とも、近年減少しているのだそうで、単独でも到達すれば、信頼されるレギュラーである証なのだが、それを二刀流で到達したのだから、文字通り歴史に残る偉業である。
 大谷が二刀流に挑戦するときに、かなり多くの野球評論家たちが、反対して、絶対成功しないと断言していた。江本氏などが代表だ。大リーグに挑戦したときにも、アメリカの評論家たちは、否定的な者が多数だったように思う。それは、個々の選手のその領域での成績を元に考えるからだ。打者なら、ホームラン、打点、打率等々。投手なら防御率、勝利数等々。それをもとに、ホームラン王や最多勝利を決める。そして、そういうタイトルをとれることはまずないから、大谷が成功することはないという理屈があった。もちろん、二刀流そのものが近代野球では無理なのだという見解も多数あった。

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