専門家の審議会について考える

 新型コロナウィルスに関する専門家会議が廃止されて、分科会なるものが機能し始めている。分科会という名前を聞いて、コロナ対策班、経済対策班、生活対策班などいう「分科会」ができて、全体会がその上にできる、あるいは、分科会は、単に問題を議論するのであり、決めるのは政府だということになっていたので、全体会は存在しないのか、どちらかの形態だと思っていたら、「分科会」というひとつの会ができただけのようだ。面白いネーミングだと思った。最近に限らないが、政府のやることは、本当に不思議なことが多い。国民的な大反発を受けたアベノマスクを配布し終えたら、アベノマスクの第二弾配布をするということを発表したり、GOTOキャンペーンを感染がおさまった時期、あるいは8月に実施すると公表していたのに、かつ感染が拡大しているのに、いきなり7月に繰り上げし、そして、突然東京都を除外したりと、こうした一連のやり方に、さすが安倍内閣だ、適切な対応をしているという人は、どのくらいいるのだろうか。この分科会もそうしたひとつだ。専門家会議の尾見氏が、会議のもち方に関して反省点を述べている記者会見の最中に、西村担当大臣が専門家会議の廃止を、これまた公表し、その記者会見の要旨のメモが、記者会見中の尾見氏に手渡されるという、こんなことは見たことがない。
 そして、この分科会についても、批判的な記事が今日ネットに掲載されている。(「「あれでは政策提言どころではない」コロナ分科会委員が明かす“東京除外決定の内幕”」https://news.livedoor.com/article/detail/18715097/)この内容はぜひ読んでほしい。ここでは、私自身の経験から考えてみることにする。

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新型コロナウィルスは怖い病気なのか? 指定感染症を外すべきなのか否か?

 新型コロナウィルスによって起きる病気に関して、まったく逆の見解が相変わらず併存している。
 一方は、重篤化すると死に至り、また治癒しても様々な後遺症が残る恐ろしい病気であるとする。他方では、単なる風邪で、インフルエンザなどよりも、ずっと死亡率も低く、「新しい生活様式」をきちんと守っていれば、感染リスクも避けられ、それほど恐ろしい病気ではなく、今のようにメディアが騒ぐこと自体おかしいとする。しかし、恐ろしい病気であるという主張は、これだけ感染者数が存在しているのに、特に東アジア地域では死者が少ないという点を説明できていないし、逆に、単なる風邪だという説は、欧米における膨大な死者数を説明できない。

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感染者狩り 政治の反映と、モーニングショーの矛盾

 「感染者狩り」が話題になっている。感染者が出ると、その人の実名等を探り出して、ネットに公開し、様々な誹謗中傷を加える行為が、かなり横行しているというのだ。私自身は、その手のSNSをやっていないので、実際にそういう誹謗中傷をネットをみたことはないが、ニュースの画面には出てくるので、間違いないのだろう。今日の羽鳥モーニングショーでもこの問題を扱っていた。そして、前にも紹介された数値だと思うが、新型コロナウィルスに感染したのは、本人の責任だと思うという人の割合の各国比較がでていたが、日本はだんとつに多く、10%を越えており、アメリカは1%だというのだ。このことに関しては、前にも書いたが、多少この数値は割り引いて考える必要があると思う。そこらも踏まえて考えたことは以下の点である。
 感染者を出した店に、損害を与えるような行為、モーニングショーでは、店にコンクリートの塊を投げつけて、ガラスを派手に割ったり、あるいは、酷い電話をかけたり、誹謗中傷の投稿を繰り返すなどということは、「違法行為」であり、許されることではない。法的に取り締まるべきである。ただし、モーニングショーのコメンテーターが主張していることが、100%正しいかというと、それは疑問である。

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日本が産油国に?

 茨城沖に油田があるのではないかと、メディアではかなりはしゃいでいるらしい。しかし、例によって羽鳥モーニングショーでは、かなり冷静な反応だったと思う。実際に油田があったとしても、実現は30年後で、それまでに最低1兆円が必要だろうと説明されたあと、議論になったが、「そもそも30年後に石油を主たるエネルギー源として使っているのか、自然エネルギーがもっと発展していて、石油の割合は今よりもずっと小さくなっているのではないかという見解に、かなりの共感が集まっていた。
 私は、この問題の専門家では、もちろんないが、素人こそ発言すべきだと思うので、考えを書いておきたい。
 石油の需要がゼロになることはないだろうが、少なくとも、石油保存を小さくしなければならないことは、明らかだ。代わりになるものは、自然エネルギーである。原子力は、その危険度、廃棄物処理の未解決等で、削減廃止していくべきものだと考える。
 しかし、自然エネルギーは不安定だという意見がある。現在ではそうに違いない。しかし、福島原発によって起きた現象を冷静にふり返ってみよう。

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ALS患者への安楽死事件 安楽死に反対ではないが、今回はアウトだ

 また、安楽死事件が発生した。その度にブログで書いているが、毎回残念に思う。日本の医師の多くはそうでないのだと思うが、こうした医師の「法意識」の欠落についてである。日本では安楽死を禁止しているのに、何故実行してしまうのか、ということではない。そもそも、日本では安楽死を絶対的に法的に禁止しているわけではない。このことを理解していない人が圧倒的に多いのだ。数年前に、文藝春秋が安楽死特集をやったときにも、この前提があった。実は、日本は、世界で最初に、安楽死の違法性阻却事由を判決のなかで示した国なのである。山内事件という、1960年代の判例で、そこで示した条件は、現在でもほぼ踏襲されており、安楽死を合法化している国の基準ともほぼ重なる。そして、日本の裁判で、安楽死を絶対的に違法であると認定した判決は、おそらくないと思う。私自身は、安楽死を一定の条件で容認する立場だが、合法とする法制定は今の段階ではしないほうがよいとも考えている。だから、本当に安楽死を望む人は、判例として蓄積されてきた違法性阻却事由を満たす形で、医師に依頼すれば、医師が責任を問われることなく実行できるのである。もちろん、それはぎりぎりの、自身の判断によるもので、他人に勧めるようなものであってはならない。
 では蓄積された条件とは何か。 “ALS患者への安楽死事件 安楽死に反対ではないが、今回はアウトだ” の続きを読む

PCR検査が進まない理由、偽陽性での隔離による人権侵害を恐れているというのだが

 新型コロナウィルスの感染拡大が始まった当初から、PCR検査の拡充をすることが、感染拡大を防ぐベストで不可欠な施策だと主張しつづけてきた、羽鳥モーニングショーの玉川氏が、彼の調査時間帯「そもそも総研」で、この問題に迫っていた。実は、このテーマについて、NHKのラジオ番組の紹介をしたときの翌日だったか、やはりモーニングショーでPCR検査を拡充しないことが話題になったとき、全員が顔を見合わせて、気まずい雰囲気になったのだが、そのとき、やはり、メディアに圧力がかかっているのかと思ったものだ。ところが、数日前に、今日23日に、この問題を扱うという予告が出たので楽しみにしていた。玉川氏がインタビューにいった人は、NHKのラジオに出ていた人と同じだった(小林慶一郎氏)。彼は、分科会メンバーで、PCR検査の拡大で安心を作り出すべきだという主張をしていたのだが、なかなかそこに集約されないようだった。そして、今回玉川氏にその理由を語っていた。NHKアナウンサーが、ずっと避けて質問しなかったことだ。
 感染症の専門家たちは、ハンセン病での隔離問題が大きな社会的非難を受け、訴訟を起こされて敗訴していることが、大きな躊躇の理由になっているというのだ。そして、PCR検査で避けられない「偽陽性」がそこに関わる。つまり、「偽陽性」で隔離した人から、訴訟を起こされたら負けるということが危惧されているという。しかし、それはあまりに子どもじみた対応ではないだろうか。ハンセン病と新型コロナウィルスとは、かなり相違点がある。 “PCR検査が進まない理由、偽陽性での隔離による人権侵害を恐れているというのだが” の続きを読む

PCR検査しない理由は? 聞かないNHKの解説委員

 昨日車で夕方NHKのラジオ第一放送を聞きながら運転していたら、今度新しくできた新型コロナウィルス対策の分科会の委員という人が出てきて、NHKのアナウンサーと解説委員を相手に話をしていた。運転中だったので、名前は忘れたが、分科会の委員は経済方面の担当であり、分科会で熱心にある政策を主張して、支持者を増やして提言としたいといっていた。その内容は、羽鳥モーニングショーで数カ月も前から主張していた内容で、モーニングショーでは今でも連日のように主張している。しごくもっともな議論だと思うのだが、いまだに実現していない。
 現在のコロナ対策は、感染防止と経済の運営というふたつの、矛盾しがちなことを同時にする必要があるとされている。これは確かにそうだ。しかし、その分科会の委員の人が力説していたのは、この矛盾を克服するためには、圧倒的にたくさんのPCR検査をして、陽性の人は隔離して、陰性の人が安心して経済活動をするという体制をとる以外にはないということだ。これは間違いないところだ。 “PCR検査しない理由は? 聞かないNHKの解説委員” の続きを読む

韓国で救急車とタクシーの事故 国民請願で厳罰要求


 ハフポスト日本版2020.7.10に「「救急車を足止めで、患者死亡」 処罰求める請願に約50万人 韓国」という記事が出ていて、非常に興味深かった。私自身、あまり韓国事情を知らないせいもあったのだが。(https://www.msn.com/ja-jp/news/national/救急車を足止めで-患者死亡-処罰求める請願に約50万人-韓国/ar-BB16zr5m?ocid=spartandhp)
 記事は、ソウルの話だが、胸の痛みを訴えた高齢者を運んでいた民間の救急車が、タクシーと接触事故を起こし、後で事故処理をすると主張した救急車に対して、タクシー運転者がすぐに対応せよと主張。そのために、病院への到着が遅れ、6時間後に亡くなった。すると、青瓦台の国民請願に、タクシー運転者を厳重に処罰せよという請願が、2日で50万集まったという内容だ。
 救急車に民間のものがあるのか。
 救急車とタクシーが接触して、タクシー側がクレームをつけることがあるのか。
 青瓦台の国民請願とは何か。
 遅れたのは12分だそうだが、遅れなければ、亡くなることはなかったのか。
 以上のような疑問が生じた。 “韓国で救急車とタクシーの事故 国民請願で厳罰要求” の続きを読む

北朝鮮情勢を考える

 半月位前までは、連日のように北朝鮮に関する話題が報道されていた。韓国の脱北者によるビラ配布に北が激怒し、金与正による罵倒が続いたあと、6月19日、南北共同連絡事務所の爆破までは、驚きの連続のように報道がつづいた。何故金与正が指示をだすのか、金正恩はどうなっているのか等々。そして、それにつづいて軍事計画が予告されたが、それは金正恩が保留を命じて、その後激しい動きは見えなくなった。北が南に向けてビラを撒くとか、あるいは軍事境界線上に大きなスピーカーを設置して、非難の声を流すなどの準備がなされてもいたが、これも中止になった。そこで、またまた様々な疑問がだされた。やはり、一市民として、こうした状況をどのように考えるのか、自分なりの現時点での整理をしておきたいと考えた。 
 疑問を思いつくままにあげてみる。 “北朝鮮情勢を考える” の続きを読む

都知事選残念な結果だ

 小池現知事が圧勝した。予想されたとはいえ、残念な結果だ。直前といってもいいが、小池氏の学歴疑惑が再燃したが、それも影響しなかったようだ。しかし、今回の立候補でもカイロ大学卒という経歴を使っているので、この問題はまだ尾を引くだろう。多くの人が指摘するように、政治家にとって、学歴は本質的な要素ではない。別に義務教育だけしか受けていなくても、実力と熱意があれば、政治家として立派な存在になれる。しかし、学歴に関して、嘘をついているということになれば、それはまったく問題が異なる。学歴という、もっとも基本的なその人の「歩み」を示す指標について、嘘をついているということは、選挙民に対して、自身の人生に関して嘘をついていることになる。そんな人間を信頼することができるはずがない。 “都知事選残念な結果だ” の続きを読む