今回は、前回の紹介と簡単なコメントを踏まえて、中等教育制度の何をどう考える必要があるのかを試みたい。
私は修士論文で、「学校生徒の多様化と統一化の問題」というテーマで、統一学校運動の研究を行い、それで博士論文も書いたが、現在でも「多様化と統一化」を研究の中心テーマにしている。時代や対象を広げた形なのだが。そして、そのテーマの中心対象が中等教育であることは、ずっと同じである。中等教育の性質上、これが制度論としては中心的課題になるわけだ。
多様化は、社会が分業化していることから、労働者を適切に分業体制に選別していくという側面と、個々人にとってみれば、能力や資質、好みが多様であるので、社会のなかに適切な場所を選択していくという側面がある。「統一化」は、国家や社会は、秩序を保持していくためには、共通の規範や規則が必要であり、それを国民(市民)が、受容して守っていく必要があり、そういう姿勢と意識を形成することが目的である。統一の方法についても、いくつかの型があるが、ここでは、多様化の問題を主に考えることにする。