高橋洋一問題は、既に収まっているかも知れないが、一言付け加えておきたい。
高橋洋一は、とにかく統計をもとにものをいう人だ。しかし、その統計自体が、信頼できなかったらどうなるのか。彼は、中国の経済統計は信用できないと、常々いっている。では、日本のコロナ感染者数の統計はどうなのか。欧米では、日本の統計は、実態よりかなり少なくでており、信用できないという見解は少なくない。検査数が圧倒的に少ないからだ。
高橋氏が、今回のさざ波論で示しているグラフは、「外国の集計による」、だから参考になるという前提でだした結論だが、いくら外国の集計でも、日本の数値は、日本が提出したものだろう。
現在の日本でも、広島は非常に増えているが、これは、明らかに、広島がかなりの検査数をしているからという側面がある。それに対して、東京は、人口に比べて、感染者数がいかにも少ない。高橋氏は、この広島と東京の感染者数を、そのまま比較できると思っているのか。思っているとしたら、統計を扱う人間として失格だろうし、高橋氏ほどの優秀の人間であれば、そんなことは思っていないはずである。とすれば、日本と外国の比較はどうなのか、という問題を処理する必要が出てくるではないか。もちろん、検査数が2倍になれば、陽性数が2倍になるわけではない。広く検査を行えば、当然感染していない人も対象になるから、数字上の陽性率は下がってくる。しかし、陽性数は確実に増えるだろう。こんなことは、まったく常識の範囲である。だから、欧米と日本の感染数を、そのまま比較するのは、統計上おかしいのだ。