安倍元首相狙撃考察9 山上の新たな供述?

 安倍元首相銃撃事件の誰が実行したのか、については、疑問が少しずつ増えているが、大手メディアは一切触れていない。つまり山上の犯行は疑う余地がないという理解をしているのだろう。事件に関連しては、統一教会と主に自民党の関連の追求に集中している。ネット保守層からは、無意味な追求だなどと批判しているが、無意味どころか、的確な批判の向け方であるといえる。実際に、統一教会と、特に安倍元首相との癒着が、いかに政治を歪め、その影響が現在でも続いており、その裏に、多くの悲劇が起きていることは、まったく事実だからである。この点での追求なしに、日本の政治・社会の改善は望めない。
 
 しかし、そうした統一教会批判をしている(びびっている局も少なくないが)大手メディアは、逆に、山上が本当に撃ったのかについての疑問は、まったく取り上げていない。そして、今日(8月9日)更におかしな報道が出た。テレ朝ニュースで「安倍元総理銃撃で新供述『隣の人にあたらない距離に』」という記事だ。

 内容は見出しの通りだが、警護の計画で、一人が後方を担当する予定だったが、直前に前方の観衆が増えたので、前方警護に変更して、後方監視がいなくなったとしている。これは、他のニュースでも取り上げられているが、もし、本当なら、何か意図がある可能性を感じさせるほどだ。この変更の結果、安倍元首相の背後は事実上がら空きになり、山上は最終的に3メートルほどまで近づいて撃ったとされている。
 
 ところで、この山上の「新」供述は、極めておかしな面をもっている。というのは、山上は、現在鑑定留置されており、警察や検察の取り調べを受けていない。だから、警察や検察からの捜査情報はないはずである。何故、この時期に、しかも、極めて不完全な供述が報道されたのか。考えられるのは
・実際に鑑定留置しているけれども、取り調べを行った (違法といわれても仕方ない)
・前に供述していた内容を今だした
・供述を捏造した
の3通りがある。後々のことを考えれば、さすがに違法な取り調べはしないのではないか。もし、鑑定留置期間に取り調べをしたら、取り調べのために留置できる期間を消費してしまう。従って、事実上、留置期間を延長していることになってしまうのである。2番目も、おかしなことだ。ということで、可能性は、私は捏造が大きいと思う。なぜか。ネット上では、山上犯人説に疑問が少しずつ大きくなっている。その根拠はいくつかあるが、治療をして死亡を確認した医師が発表した弾道の説明と、山上と安倍元首相との位置関係とがあわないこと、そして、12発発射されたのに、安倍元首相に2発命中した以外は、側にいた人を誰も傷つけなかったこと、等々の不自然な現象があるからだ。最初の銃弾の向きについては、疑問だらけだが、警察が司法解剖の結果として、医師とは別の説明をしている。身体のなかで銃弾が回転したらしい説明なので、信用不可能だが、とにかく、警察としては説明済みなのだろう。そして、誰も他の人を傷つけていないことについて、多くの人が疑問に思っているからなんとかしなければならないと、警察が考えたのではないか、そこで、供述を捏造したのではないか、これが私の「想像」である。真相はわからない。
 
 この事件では、警察の対応はいろいろとおかしなことが多かった。山上の供述についても同様である。今回は、本当にそんなことを言ったのかという疑問がつく供述が、発表されたが、事件直後は過剰なほどに山上の供述があふれるように出てきた。そもそも、殺害犯人が、最初から、そんなに理路整然と、自分の起こした犯行について語るものだろうか。山上の場合、何年も準備した確信犯だから、ありえないことではないが、それでも、多少混乱したり、あるいは弁護的なことを述べるのではないだろうか。また、警察としても、最初からどんどんしゃべったら、疑いを感じて、少し公表を控えるのではないだろうか。家宅捜査のときにも、通常は決して見せない押収品を記者たちに撮影させるサービスなどを見せた。
 そして、今回の官邸留置中の供述発表である。もっとも、発表したのか、あるいは記者が個人的に取り調べ官から得た情報なのかはわからないのだが。それにしても、世間の疑問に対して、丁度回答を与えるような供述となっており、いかにも不自然なのである。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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