人間の尊厳が侵されているケースを考えてみたときに、始めに浮かんだのはクレーマーに代表される道徳性を欠いた客の言動や態度だ。
近年、クレーマーやモンスターペアレントなど道徳性を欠いた者たちの存在が、度々メディアに取り上げられている。そのような異分子に対して疑問や憤りを抱くようになったのは最近のことで、少し前までは「お客様は神様」という考え方が一般的であった。
現代人である私はそのような考え方には否定的で、高圧的な態度だけでなく、敬語で話しかけているのに“タメ口”で答えられると疑問を感じる。
“タメ口”とは、主に二つの場面で用いられる言葉だ。一つ目は、友人関係や血縁などのお互いに親しい関係である場面。もう一つは、上司から部下や先輩から後輩など格差が存在する関係である場面。この二つの場面で客が用いる“タメ口”は後者であり、その“店員よりも客が優位に立っている”という立場誇示に対して誰も疑問を持たない。
もし、“タメ口”の客に対して“タメ口”で対応すると十中八九そのことでクレームをつけられるだろう。
なぜこのような理不尽なことがまかり通るのか。
客と店員は互いに納得して金と商品を交換しているだけなので、等価交換である以上、立場も同等のはずだ。
しかし、そのような疑問を抱く人は少なく、“客優位説”が世間には蔓延している。また、少し前までは“客は神様説”とより過激であった。
だが、そのような考え方が広まったのは“大量生産社会”になってからで、むしろ江戸時代以前は売り手の方が優位であった。 このことは、現代の社会でも例外ではないだろう。
例えば、芸術作品など“特定の人物にしか作れないモノ”である場合や、“一見さんお断り”などの高級店だ。これらのケースは客よりも店側が明らかに優位である。このことを踏まえると、私たちは“客は店員より立場が上”という常識に囚われ、流されてしまっていると言える。
これまでの内容は、クレームを受ける側を中心とした個人的な見解である。
そこで、“店員と客の立場関係”や“クレームの実態”などをバイト経験の有る学生を対象にアンケートを取り、そこから共通点や傾向などを見つけていきたい。
また、クレームを言う側の視点にも立って、「クレームを言ったことがあるか」、「クレームを言った理由」、「クレームと苦情の違い」などのアンケートを同時進行で進めたいと考えている。