「フランケンシュタインの誘惑 愛と絶望の心理学実験」をみて

 NHKのBSで放映された「フランケンシュタインの誘惑 愛と絶望の心理が実験」を見た。アメリカの高名な心理学者ハリー・ハーローの一生を扱ったような番組だ。骨子は、大好きな母親が、兄弟が深刻な病気になったために、その看病に掛かりきりになり、自分は愛されていないと感じたハーローは、生涯の心理学研究においても、その精神的桎梏に影響され、愛とか絶望という人間の感情を科学的に研究するに至った。そして、有名な布と針金の母親との実験で、ワトソンが始め、当時圧倒的だった行動主義心理学を真っ向から否定した。しかし、晩年は、動物虐待ともいうべき実験に手を染めて、今では批判もされている。こういう骨子だったと理解した。かなり古い、貴重な映像なども入手し、ハーローとかかわったり、あるいは助手をしていたひとたちのインタビューなども織りまぜ、なかなか興味深い番組だった。二人の日本人の心理学者が出席していて、科学者というのは、普通の人の常識と違うので、ただ、事実を明らかにしたいということで、極端なことをしてしまうのだ、というような説明をしていた。
 さて、私は、正直心理学が嫌いな人間で、実は長く「臨床心理学科」に籍を置いていたのだが、その好き嫌いはほとんど直らなかった。もっとも、さすがに心理学の勉強は、遅ればせながら、それなりにしたので、こういう番組にも興味をもてたのだが、この番組で述べていたことについては、多いに疑問が残った。

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