つい先頃まで、ウクライナ当局も、またそれを受けて日本のメディアも、ウクライナ情勢は完全に楽観的で、6月攻勢、8月決着というような「楽観論」を振りまいていた。しかし、ロシア軍のウクライナ東部への攻撃を受けて、にわかに悲観論が出ている。
しかし、こうした言説をみると、「慢心は危険」という言葉を肝に銘じる必要を改めて感じた。
「鬼平犯科帳」に「妖盗葵小僧」という話があり、事実として長谷川平蔵が捕縛した有名な盗賊だ。押し込み先で女を犯すのが手口だった盗賊で、その一節に、葵小僧と引退して同居している元首領とのやりとりがある。あまりに度が過ぎていることをたしなめ、あまりにうまくいっているときには注意が必要だというようなやり取りをしたあと
「なあに鬼の平蔵は、この私を捕らえることが出来まいよ」
「それがお前、慢心というものだ」