部活の地域移管問題 2 

 前回は、スポーツや文化は多様になっているので、多様な要求に学校の部活という形態は対応できないものになっていて、弊害が多くなってきたことをのべた。その解決としては、地域に多様なクラブを設立して、自分の求める形態の活動をしているクラブを選択して参加するようにすればよい、という主張であった。
 今回は、もうひとつの部活の問題である、教師の無償労働の問題を考える。
 
 部活は学校の内部的な活動として行われるが、正規の学校教育の一環ではないので、その指導にかかわる教師は、どんなに長時間指導しても、その対価が支払われることは、つい最近までなかった。近年では、ごくごくわずかな手当がだされるようになっているようだが、到底、指導にかかる労働に見合うものではない。そして、問題は、無償労働であるにもかかわらず、何か事故があったときには、責任を問われるのである。もちろん、民事的な損害賠償責任を負うのは、国家だから、そうした責任を教師個人が負うことはないが、不注意による行政処分などは十分にありうる。不十分ながらの手当がだされるようになった経緯は、詳細には知らないが、教師の過重労働が社会問題化し、その大きな要因が部活指導になることが、大きく問題になったから、せめて手当を出すということになったのだろう。残念ながら、サービスをうける側からの提起はあまりなかったようである。

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木原官房副長官に関する文春記事

 木原官房副長官の隠し子疑惑なる記事を、週刊文春が書いていたことは知っていたが、そういうことには関心がないので、放置していたところ、関心をもたざるをえない話題で、文春記事がでた。これを知るきっかけは「一月万冊」だった。清水・安富両氏の対談で詳しくこの記事について語っており、また、佐藤章氏が、この記事の特ダネ性と政治的背景について語っていた。やはり、これは記事を読まなければならないと思って、購入し、早速読んでみた。内容は清水氏が紹介していた通りだったが、木原氏は、今本当に困っていると思う。名誉毀損で刑事告訴すると、文春関係者を脅しているそうだが、実際には無理だろう。
 
 記事の内容をごく簡単に整理すると
・木原氏の妻は、前の夫が不審死しており、一時再捜査の対象になっていた。
・前の夫がいた頃不倫していた男が、彼女が夫を殺してしまったと自分に告白していたと、証言している。

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安倍元首相狙撃事件から1年

 昨日は、安倍元首相が、選挙演説の最中に狙撃されて亡くなってから1年であった。そして、この一年間は、安倍氏が存在しなくなったことが原因と思われる、多くの出来事が生じたように思われる。そして、間もなく、犯人とされる山上容疑者に対する裁判が始まることになるだろう。
 私は、犯人が山上であることに、現在でも疑問をもっているのだが、大手メディアの報道については、心底不思議な感情をもってみていた。山上犯人説を否定する論は、簡単に「陰謀論」などと片づけている人が多いのだが、さまざまな情報をみれば、山上が犯人であるということへの疑問はたくさんあるのであって、そこに疑問をいだかないことのほうが、私には不思議に思われ、山上犯人決めつけ論こそ、陰謀論ではないか、とも思えてくる。大手かどうかわからないが、週刊文春だけが、山上犯人説への疑問記事を何度か掲載したが、その後他のマスコミがおいかけ記事をのせることもなく、なんとなく立ち消えになってしまった。とくに、私にとって不可解なのは、リベラルというひとたちは、山上犯人説をまったく疑っていないらしいことだ。疑問を強く押し出しているのは、確かに、非常に右寄りのひとたちが目立つ。しかし、政治的立場は不明の科学者もいる。リベラルというのは、自由な思考をし、単純にものごとをきめつけないひとたちであると思うのだが、この安倍銃撃事件については、公式にいわれていることを、まったく疑わず、その延長上で考えているひとたちばかりである。このブログを読んでいるひとたちはわかるはずだが、私は、もちろんリベラル派である。だから、不思議なのである。

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犯罪者が犯行前に警察に相談

 最近起きた事件のなかで、犯人が事前に、警察に相談していたという事例が、複数あるようだ。とくに、小学校に軽トラックでつっこみ、数名を負傷させた事件は、自分は最近おかしくなっている、と警察に相談していたと、はっきり報道されている。こうしたことをどう考えるべきなのだろうか。もちろん、これは、犯行予告とか、警察への挑戦というような話ではなく、本人が、どうやら自分がおかしくなっており、犯罪を実行しそうだ、だがそれはまずい、という思いから、警察に相談してとめてもらおうという意識だったと、一応考えておこう。
 これは加害者がわからだが、被害者側からの事前の警察への相談は、多数ある。実際に、警察がなんらかの対策をしなければならないことになっているものもある。危険なストーカー行為などに対するものだ。
 事前に相談しているわけではないが、死刑になるために、誰でもいいから殺したかった、という無差別殺人なども、過去何件か報道されている。アメリカで頻発する銃乱射事件などは、犯人はほぼ確実にその場で射殺されており、実行犯もそのことを十分に知っているはずだから、ある意味、より直接的な死刑になるための無差別殺人とも考えられる余地がある。

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拍子抜けのプリゴジン

 昨日は、もう少し頑張るだろうと、正直思っていたが、やはりプーチンのほうが役者が何枚も上だったようだ。いくらいさましいことを言っていても、プリゴジンは、所詮は、料理人なのかも知れない。本当の軍人として、5万人の兵士たちのトップならば、あのような腰砕けは、恥以外のなにものでもないはずだ。ある種の武人ならば、負けを覚悟で華々しく暴れまわってやろう、という覚悟くらいあってしかるべきだ。
 とにかく、プーチンとの間に、なんらかの妥協が成立したのだろう。当然プーチンは、何か餌を用意したはずだ。最も考えられるのは、ショイグかゲラシモフの降格、責任者から外すという約束だろう。プリゴジンが素直に飲む条件は、そのことしか考えられない。
 もちろん、そんな約束はできない。お前は反乱分子だから、徹底的に殲滅する。軍のだれも、お前に呼応してたつやつなどいない。いたか?国軍を甘くみないほうがいい。本当にこのままワグネルの兵隊たちと進軍するというのならば、ミサイル攻撃をして、お前たちを木っ端みじんにする。すべての兵隊を殺害する。だが、もし、ここでおれるなら、反逆罪の罪にも問わないし、兵士たちも許してやろう。そして、名誉あるロシア軍の一員として参加させよう。その代わり、お前は、すべてから引退しろ、それ以外に助かる道はない。

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ロシアで内戦か

 今後どうなるかはわからないが、ウクライナを応援するひとたちのほとんどが期待してきた事態が、少しずつ生じつつある。バフムトから撤退したワグネル舞台が、いよいよロシア領内にはいり、政府と、表面的には激しい対立状態になっている。報道によれば、ワグネルはロストフ州にはいり、そこの庁舎等の建物を占拠しており、また、プリゴジンは、ロシア側から攻撃をうけ、多数が死亡したと主張しているという。それにたいして、ロシア政府は、それはデマで、攻撃などしていない、としつつ、しかし、刑事犯としての捜査を開始したとのべているという。
 また、ワグネル側は、ロシア軍のヘリコプターを撃墜したとも主張しているようだ。

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ウクライナ勝利の期待は、ロシア内部崩壊から

 ウクライナの大規模反攻が始まったとされていて、少しずつウクライナ軍が前進している。しかし、その前進の程度は、期待からすると遅々としたもので、うまくいっていないのではないか、という不安を感じている人も多いようだ。しかし、希望する、つまり、なくてはならない武器、長距離ミサイルや戦闘機を欠いた状態での攻勢なのだから、そんなに速い進展を期待するほうが無理というものだろう。昨年のハルキウ奪還は、あくまでも不意をついた攻撃で、ロシア兵が逃げ出したことが大きい。しかし、今回は、前々から大規模反攻をすると、ウクライナも宣伝していたのだから、どんなに士気の低いロシアでも、準備万端を整えているのだから、そうそう簡単に突破できるものではない。むしろ航空機戦力はロシアのほうが勝っているのだから、尚更だ。

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自衛官候補生による銃撃事件 おどろいたこと

 実弾射撃訓練中の新人自衛官候補生が、指導的立場の自衛官3人に発砲し、2人を死に至らしめ、1人に重症を負わせる事件が起きた。自衛隊内部の銃撃事件は40年ぶりだそうだ。もちろん、事件そのものにも驚いたが、もっと驚いたのは、高校卒業後まだ2カ月しかたっておらず、正式の自衛官でもない候補生が、実弾射撃を実際にするのだという事実だ。自動車教習所で、法令も学ばす、運転の心構えなども充分に講義されないうちに、路上教習にでるようなものではないだろうかと思ったものだ。
 高卒1カ月では、本人がどのような人物であるかもわからない段階ではないだろうか。もしかしたら、精神疾患を抱えているかもしれないし、入隊に際して、人物調査はするのだろうから、人格的な問題はないということになっているのかもしれないが、調査だけではわからないことがあるだろうし、実際に、ともにある程度共同生活をしてこそ、わかることがある。そうした一定期間の観察期間のあとで、実弾を扱うようになるのかと思っていた。しかし、今回は4度目の訓練だったというのだから、本当に早い時期から訓練が始まるのたろう。

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ウクライナのダム破壊はだれが 舛添氏の議論

 舛添要一氏が、ウクライナのカホフカダムをウクライナとロシアのどちらが破壊したのか、について、論文を書いている。「【舛添直言】ウクライナのダムを破壊したのは誰か、双方が情報操作で火花」
 結論をいえば、どちらとも断定はできない、わからないというべきだというのだ。そして、そのあと、この戦争は激しい情報戦が行われており、どちらの情報も自軍に有利なように、嘘・でたらめを平気で流すのだということを、断定できないことの補強としてだしている。その例として、ノルドストリームとノルドストリーム2のパイプラインが損傷したことをあげている。この事例では、ほとんどの日本人は、ロシアがやったと信じたが、実はアメリカがやったという説がでてきて、アメリカは公式にはその説に対してコメントしていない。だから、ロシアではなくアメリカと考えられるのだというわけだ。そして、全体のニュアンスとして、そのパイプラインの例によって、ダム破壊もウクライナがやったのではないか、と言いたげなのだが、結論は先述したように、「わからない」である。しかし、「わからない」と主張するために、文章をわざわざ書くのだろうか。私のような勝手なブログではなく、列記とした商業的な場である。
 
 さて、パイプラインの件だが、日本人はほとんどがロシアがやったという説だったというが、私は、結論的には、ロシア説に傾いていたが、若干ではあるが疑問を呈した。

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フェミ科研費訴訟の部分勝訴はしたが

 「フェミニズム研究などに関わる大学教授ら4人がインターネット上で中傷を受けたとして、自民党の杉田水脈衆院議員を相手取った損害賠償訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であり、原告側が一部勝訴した。(毎日新聞2023.5.30)」と報道された。従軍慰安婦に関して、捏造だ、ということと、科研費を不正に使用したという発言に対して、科研費をうけて研究をしていた研究者たちが、提訴したものだが、昨年、大阪地裁での判決があって、その一部修正判決ということであった。地裁判決では、原告の訴えをまったく認めず、完全に原告が敗訴して、控訴していたものだ。そして、報道によれば、控訴判決が修正した部分は、科研費を不正使用したという部分の名誉毀損を認めたことで、その部分に関して損害賠償を認めたものである。逆にいえば、研究内容に関して、非難、批判、誹謗中傷したと原告が考える部分については、「論評」の範囲であるとして、名誉毀損を認めなかった。この点については、原告は不満であり、かつ危険であるとしている。

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