ウクライナ雑感 ウクライナにもミスはある

 最近の報道によると、ウクライナ軍がロシア軍に反抗の勢いを増しており、8月にもロシア軍は敗北するのではないかという予想をたてている。しかし、それは楽観的に過ぎるのではないか。そして、ウクライナ側のミスについての報道もほとんど見られない。私たち日本人がウクライナ状況を考察するのは、精神的な応援ということもあるが、やはり、ここから教訓を冷静に見きわめるためである。
 最近のウクライナのミスと思われるのは、21歳の若いロシア兵捕虜を戦争犯罪という罰で裁判にかけたことだ。何故、いま、ウクライナでこうした裁判をやる必要があるのか。ロシアの戦争犯罪を許さないという意思表示だとしても、戦争犯罪を裁くのは、ウクライナではなく、国際機関であることが望ましい。また、ウクライナが裁くとしても、戦争が完全に終了して、講和条約のなかで、裁判を相手に認めさせてから行うことがベストであろう。それまでは、捕虜はあくまでも捕虜として、国際法規に則った扱いをすべきである。

“ウクライナ雑感 ウクライナにもミスはある” の続きを読む

オペラのバージョン問題 タンホイザー・ドンジョバンニ・ドンカルロ

 オペラには複数のバージョンがある曲が少なくない。次回の私の所属市民オケのプログラムに「タンホイザー」序曲が入っているので、この問題をすこし考えてみたいと思った。
 タンホイザーには、ドレスデン版とパリ版のふたつがあることはよく知られている。パリ版といっても、フランス語で上演されることはあまりなく、パリ版として書き換えたのを、更にドイツ語化した(言葉のイントネーションのために、小さな変化は多数あるが)ウィーン版が現在ではパリ版として上演されている。最初に作曲したのが、ドレスデン版だが(当時ワーグナーはドレスデン宮廷歌劇場の指揮者だった)、後年、パリで上演されることになったときに、フランスではフランス語であること、それからバレエがはいることが条件になっていたということで、そのように書き換えたものだ。書き換えた部分は、ヴェーヌスが出ている場面だけで、他は同じである。そして、パリ版を作曲していた当時、既に「トリスタンとイゾルデ」を作曲したあとだったので、ワーグナーの音楽がかなり変化しており、書き換えた部分は、かなり妖艶で濃厚な音楽になっている。ドレスデン版の部分とかなり雰囲気が異なるので、不自然だという理由で、パリ版を嫌う人も多いが、私は、ヴェーヌスが出ている場面だから、ふさわしい音楽になっており、まったく違う世界を描いているので、それぞれにふさわしい音楽になっていると思う。パリ版のほうがずっと好きだ。

“オペラのバージョン問題 タンホイザー・ドンジョバンニ・ドンカルロ” の続きを読む

自民党のいじめ対策の提言

 最近自民党が、いじめ対策を発表した。自民党らしく、厳しい措置をとろうということだ。しかし、自民党のいじめ対策には、いつも致命的な欠陥がある。その証拠に、大津の事件のあと、「いじめ防止対策推進法」を策定して、現場ではかなりその線にそった対策を強いられているのだが、いじめかえって増えているのである。
 大津の事件をきっかけとした対策は、
・学校にいじめ対策の委員会を設置する。
・年に3回アンケートをとって、いじめの有無を調査する。
 もっとも大きな対策は、義務としてのアンケートだ。もちろん、これによって、それまでわからなかったいじめを発見することはあるだろうが、そもそも、アンケートなどをしなくても、教師は異常を察することができなければならない。アンケートを実施することによって、その間はあまり注目しないということもあるに違いない。また、アンケートで、いじめを受けている被害者が、訴えたにもかかわらず、学校が有効な対策をしないまま、悲劇が起きた事例もある。アンケートの弊害は、実施のための事務量が膨大に増えることだ。

“自民党のいじめ対策の提言” の続きを読む

アゾフ大隊は本当に捕虜交換されるのか

 とうとうマリウポリの造船所に立て篭もっていたウクライナ兵、アゾフ大隊が造船所を出て、ロシアの捕虜となった。そして、ウクライナに捉えられているロシア人捕虜と、捕虜交換の合意ができているとされている。
 しかし、私は、それが本当に実現するかどうかは、かなり不確定だと思っている。もちろん、双方の約束だから、実現させるべきものであるが、早くもロシア側の要人のなかから、アゾフ大隊は、ナチスで戦争犯罪者だから、捕虜として扱うべきではないという意見が出されているという。私は、裁判にかけられるかどうかは、両方あるとしても、最終的には、ほぼ全員が処刑される危険性があると思っている。処刑せずに、ロシア軍に組み入れて、強制的にウクライナと戦闘をさせるという危惧も語られている。もっとも、あれだけ疲れ切っている兵隊を、前線に送っても役には立たないと思うのだが、「人間の楯」にはなるだろう。

“アゾフ大隊は本当に捕虜交換されるのか” の続きを読む

ウクライナ侵略の大きな目的

 プーチンは、ウクライナがNATOに加盟するのは、ロシアにとっての安全上の脅威であるために阻止しなければならないとか、ウクライナはナチスによって支配され、住民が抑圧されているので解放する必要があるなどという理由をつけて、ウクライナに侵攻したということになっている。しかし、最近の動きを見ていると、それはあくまでも表向きの理由で、別の理由があるのではないかと思わざるをえなくなってきた。それは端的に、「領土拡張」ではないかということだ。
 ロシアは、大国のなかでも、領土拡張政策が歴史的にも極めて強い国家だ。世界一の領土をもっているのに、これ以上ほしいのかと疑問も出てくるが、ロシアの領土のかなりの部分は開発されないままの土地だ。開発することも難しいのだろう。そして、よくいわれるのが、不凍港を必要とするということだった。それは確かにそうだろうし、現在でもその野望はもっている。ただし、それだけではなく、そもそも領土を拡大したいという国家的要請は、主に農業生産物を求めているからだ。第二次産業や第三次産業、まして、現在の最先端技術のためには、別に大きな領土は必要ない。

“ウクライナ侵略の大きな目的” の続きを読む

阿武町の誤送金問題 単なるミスなのか

 不思議な事件がおきるものだ。ウクライナ情勢ばかり見ているので、この事件についてはほとんどフォローしていなかったが、さすがに、気になって検索してみたけれども、おかしな点が多すぎる。大手メディアでは扱えないのかも知れないが、裏を考えてもいいのではないだろうか。
 とにかく、どう考えてもおかしな点が直ぐに思いつく。
1 個人宛てに、数千万円のお金を、間違って送金するということがありうるだろうか。送金するときには、何度も宛て先や金額を確認するものだ。この間違いについて、私が検索した限りでは、あまり疑われていないようだが、私はまずこの点を疑ってしまった。もちろん、単なる推測であるが、あまりに過ちの度合いが大きいから、そのように思われても仕方ないだろう。
2 突然誤って送金された数千万のお金をわずかな間に使い切れるものだろうか。当初からたくさんのお金を消費している人間ならいざ知らず、普通の人間がそんな大金を短期間に使えるものではないように思うのだ。もちろん、家や高級外車を買ったというのなら使えるだろうが、それは、当然分かってしまう。しかも、家などは、これほどの短期間で購入することはできない。派手に使ったら、警察が調べれば直ぐにわかることだ。

“阿武町の誤送金問題 単なるミスなのか” の続きを読む

楽天モバイルの料金プラン変更問題

 昨年楽天モバイルは、通常では考えられないような料金プランを実施した。データが1Gまでは無料という内容だ。私は、楽天を使っておらず、他社であったし、またそれを変更する意思はなかったが、旅行に出かけるために、旅行中のネット利用のために、この楽天のプランを使ったwifiを申し込んだ。ところが、1年経過した今、楽天は無料部分をやめ、1G未満でも980円(税抜き)を徴収すると変更した。だまし討ちのようなものだ。普段は家庭内に光ファイバーによるwifiがあるので、外出のときだけ利用する。だから、やめてもたいしたことはないのだが、外出時にも自由に仕えるというのは、やはりほしいので、解約するかどうか迷っている。外で使えるwifiとしては、それでも他社より圧倒的に安いことは間違いないから。

“楽天モバイルの料金プラン変更問題” の続きを読む

所属松戸シティフィルの演奏会

 今日は、題名のように、所属している市民オーケストラの演奏会だったので、ほぼ一日拘束された。したがって、通常とは違って、演奏会のことを話題にしたい。
 曲目は、前プロがショスタコーヴィッチの「祝典序曲」、中プロがストラヴィンステー「火の鳥」(1919年版)、そして、メインがベートーヴェン「田園」という構成だった。オーケストラのプログラムは、たいていメッセージ性があるものだが、この構成の意味は、私にはよくわからない。曲目は選曲委員が決めるので、事前にこうなりますとアナウンスされるだけだ。希望はあまりとらない。そして、これらは、2020年の同時期に予定されていた曲目そのもので、指揮者も同じ。そして、直前まで練習していたのに、コロナ禍によって、演奏会そのものが中止になったのだった。今回、そのままの曲目で、演奏したことになる。ただ、この曲目に不満があるわけではない。ただ、不思議な構成だなと思うだけ。

“所属松戸シティフィルの演奏会” の続きを読む

フィンランドとスウェーデンはNATOに加盟できるのか

 ウクライナへのロシアの侵略のひとつの帰結ともいうべき事態が、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟への動きである。まさしく「藪蛇」という言葉が当てはまることだ。今年のヨーロッパの状況からみれば、ごく自然な流れだと思うが、しかし、日本のメディアがスムーズに進展するかのような報道をしているが、そうなのだろうか、と疑って見ることも必要だろう。既に、ふたつの障害が表れている。

“フィンランドとスウェーデンはNATOに加盟できるのか” の続きを読む

ウィンブルドン大会でのロシア・ベラルーシ選手の排除は

 ウィンブルドンが、今年の大会にロシアとベラルーシの選手が参加することを拒否する決定をした。これに対して、男女のプロテニス協会がそれぞれ批判をして、対抗措置を公表している。一般のひとたちも、またテニス選手の間でも、意見は大きく割れている。非常に難しい問題なので、考えがなかなかまとまらなかった。
 
 他の大会では、これほど明確に排除をしていないから、「国籍による差別である」「スポーツを政治利用している」という批判が、とくにテニス選手から寄せられている。
 しかし、スポーツの政治利用という批判は、あまりあたらない。むしろロシアが、スポーツを政治利用していることの方が顕著であり、ロシアの国家的なスポーツの政治利用を防ぐという意味は、十分に認められると思う。「国籍による差別だ」というのは、確かにその通りだろう。おそらく、ウィンブルドン主催者としては、そうした非難は十分に考慮した上での結論だと思われる。

“ウィンブルドン大会でのロシア・ベラルーシ選手の排除は” の続きを読む