山上は「パンドラの箱」を開けた

 今日(8月7日)のサンデーモーニングで、統一教会と政治家の関係が特集された。青木理氏の発言がスポーツ報知で紹介され、多数の賛否両論のコメントがついている。サンデーモーニングは、見ていないが、非常に重要な問題なので、考えてみたい。
 青木氏の発言の要点を整理すると、
・安倍元首相の銃撃事件が「パンドラの箱を開けた」と捉えるのは絶対にマズイ。暴力の連鎖を呼びかねないからだ。
・その逆で、70年代、80年代から霊感商法とか合同結婚式など、社会的な問題を起こしてきた反社会性の高い教団に対して、もっと早い段階で警察や行政が実態解明に乗り出していれば、被害はある程度抑えられたが、それをしなかった。
・政治の意図とか不作為によって教団が温存されたので、蓄積したものが爆発して事件が起きたと捉えるべきだ。

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安倍晋三と長谷川平蔵

 熱は下がったけれども、まだまだ全快というわけでもないので、今日は気楽な話題。
 自民党と統一教会のずぶずぶな関係が、次第に明らかになってきているが、そのなかで、非常に興味深いのは、警察が統一教会の捜査を始めようとしていたのを止めたとか、公安が監視団体としていたのを外したのが、安倍晋三であるという点だ。鬼平犯科帳には、与力同心が犯罪集団に協力しているが、結局身を滅ぼしてしまう話がふたつある。
 「あばたの新助」と「殺しの波紋」だ。
 「あばたの新助」のあらすじは以下のようなものだ。
 同心の佐々木新助はまじめ一筋、筆頭与力佐嶋忠介の姪にあたるお米と結婚しているが、あるとき、ハニートラップにひっかかってしまう。
 市中見回りの際に、甘酒やに入ったところ、その茶汲女のお才に声をかけられる。お才は、長谷川平蔵を本気で殺害しようと思っている大盗賊網切の甚五郎の手下で、新助を籠絡する役割を与えられていた。まじめ一本の新助はすっかりのぼせあがってしまい、当初はお金を使うが、そのうちだせなくなると、お才がだすというので、ずるずると続いている。あるとき、小料理屋に誘われ、セックスに夢中になっている最中、甚五郎の手下が予定通り踏み込んできて、新助に協力を強制する。

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統一教会とずぶずぶ自民党の無責任・無知 統一教会は宗教法人の認可を取り消せ

 統一教会との接触を否定できない段階になって、自民党議員たちが、次々といいわけの記者会見をしている。挨拶はした、同席はした、しかし、それは統一教会がどういう団体かは知らなかった、あるいは、統一教会の人がいるとは思わなかった等々。理由にならないことを述べて、しらを切るつもりなのだろうか。
 「統一教会がどういう団体か知らなかった。」語るに落ちるとはこのことだろう。統一教会が反社会的な行為をしていることは、少なくとも国会議員をしている年代の人であれば、国会議員ではなくても、多くの人が知っているし、まして、国会議員であれば、国政に責任をもつ人間として、当然知らなければならない。それを、国民の前で、「知らなかった」と述べたことは、「私は、無知で、何も知らない阿呆です」といっているのと同じだ。
 また、ある団体が表敬訪問でやってきたときに、出席した人々のなかに、統一教会の人がいるとは思わなかったというのも、同じである。政治家が、自分がどういう人物と会うのか、まったく気にしないで会うなどということがあるとは、とうてい思えない。もし、そういう人物が国会議員であるとすれば、まったく無責任で、無防備な政治家だということになる。やはり、議員失格だ。

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安倍元首相狙撃考察8 山上は本当に犯人か2 NHKの検証番組の疑問

 前のブログを書いて、その後もいろいろと調べ、考えているが、山上犯人説には、やはり疑問が残る。そこで、録画してあったが、まだ見ていなかったNHK特集「安倍元首相銃撃事件の衝撃」を見てみた。放映は事件の翌日、7月9日である。翌日だから、掘り下げが浅いことは仕方ないと思うが、いかにも紋切り型であった。しかし、いくつか発見もあった。
 現場にいた人が撮影したとされる映像が、何度か流された。それまでNHKの記者とカメラマンが撮影したとされるものでは、一発目の銃撃でカメラマンが衝撃を受け、カメラがまったく統制を失って、まるで意味のないところを映し、その後警護の警官が山上容疑者をつかまえている場面になるという映像が、NHKのニュースで流されていた記憶があるのだが、この現場から提供された映像では、山上容疑者が、安倍元首相の背後から近づいて、一発目を発射し、更に近づいて二発目を発射するところまで写っている。かなりワイドな画面で写っているので、安倍元首相の姿は、鮮明ではないのだが、やはり自発的に台からおりてうずくまる様子がかすかに映っている。

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政教分離を考える2 宗教法人への課税が鍵

 憲法には、もうひとつ重要な条文がある。
 
〔納税の義務〕
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
 
 この「国民」は、かならずしも日本国籍をもつ個人ということではなく、所得を日本でえれば外国人にも適用されるし、また、法人も同様である。しかし、常に問題になるのが、宗教法人の宗教活動に対する非課税措置である。何度も書いているように、宗教は「私事」であるのに、宗教法人への非課税は、矛盾している。非課税にする場合「公益」事業であることが前提であるが、「私事」の活動が「公益」であるはずがないのだ。つまり、宗教法人を非課税にすることは、憲法の禁ずる国家が特典をあたえていることであり、本来収めるべき税金を国家が宗教法人にあたえていることになる。宗教団体が税を免除されてきたのは、古来から古い制度的慣行であるが、それは、近代的な人権概念とは相いれない。つまり、本来撤廃されるべきであるのに、残滓として存続しているだけのことなのだ。

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政教分離を考える1

 安倍元首相暗殺で、にわかに統一教会への注目があつまり、政教分離問題が議論されている。政教分離法を制定しろなどという意見もでていて、議論がずれるか、あるいは、無意味な議論をしているうちに収束してしまう可能性がある。
 政教分離というのは、国によって形態が異なるという点では、やっかいな論点があるし、日本国憲法でも極めて明快な規定をもっているが、運用は多くの論点があり、かならずしも憲法通りに守られているわけでもない。宗教に関わる憲法の規定は以下の二条である。
 
〔信教の自由〕
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
〔公の財産の用途制限〕
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
 
 こうした規定が、正確に守られているという実感をもっている人は、おそらく少ないに違いない。だから、基本から考え直していく必要がある。
 
習慣としての宗教性

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安倍元首相狙撃考察7 安倍晋三の評価2

 いくら安倍氏への批判が強かったとしても、長期政権を維持し、多くの専門家から、高いかどうかは別として、それなりの評価を得ていたことは確かだ。しかし、その評価のされ方も、いかにも安倍氏らしいものがある。
 例えば、高橋洋一氏である。これはyoutubeで安倍氏を高く評価しているが、しかし、その理由が、聞く限りにおいては、自分の助言をよく受け入れたということなのだ。安倍氏は、たくさんの助言者を抱えていて、何か判断をしなければならないときには、助言者に電話をして、判断を仰いだという。もともと、自分の信念や大きな制度構想をもっている人ではないから、とにかく日々の施策の判断だ。当然助言者のいうことを素直に聞き入れる。助言者は、自分の助言を受け入れて、それを実行してくれるのだから、当然安倍氏を高く評価するというわけだ。

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安倍元首相狙撃考察6 安倍慎三氏の評価

 日本では、というより、だいたいにおいて民主主義国家では、政治家は生きている間にはさんざん批判されるが、死ぬととたんに評価が高くなると言われている。それに対して、独裁国家では、生きている間は崇められるが、死ぬと途端に酷い人物だったということになる。スターリンなどをみればわかる。
 安倍元首相も、とにかく死後もちあげる人がたくさん出ているから、日本は、民主主義国家ともいえるが、しかし、安倍晋三という人については、生前から、批判も礼賛も極端な人だった。民主主義国家における独裁者的資質の政治家だったといえよう。独裁者の大きな特質は、自分に批判的な人間を許さないということだ。広島における河合夫婦の事件をみればわかる。安倍氏の能力に疑問を呈した溝手氏を追い落とすことが目的だったことは明白であり、それは執拗に行われた。もちろん、山上の犯行(かどうかが、あやしくなったことは、昨日書いたが、一応山上が犯人ということになっているし、犯行の一部を分担したことは間違いないから、ここではそのように扱う)が正当化されることは絶対にないが、もし、日本で暗殺の対象となる政治家を考えると、まっさきに安倍氏が思い浮かべる人は、多かったに違いない。暗殺の対象となることは、決して政治家としてだめなわけではない。リンカーンやケネディをみればわかる。むしろ、民衆のために尽くした政治家だからこそ、そうでない裏の世界の支配者たちにとっては、憎むべき存在で、暗殺の対象になった人も少なくないといえる。しかし、殺したいほど憎まれているということでもある。

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安倍元首相狙撃考察5 山上は本当に犯人か?

 安倍元首相の殺害については、大きな疑問が当初からあった。そして、それはほとんど解決されていない。つまり、解明するような情報が提供されていないということだ。
 安倍氏に致命傷を与えたにもかかわらず、一度に6発の弾が発射される他の4弾で、誰も怪我をしていない。流れ弾に被弾する人が必ずいるような状況であるにもかかわらずだ。だから、あの銃は実際には空砲であって、弾はでないのではないかという推理も存在する。
 それから、一発目の射撃があって、安倍氏が振り向くが、二発目は、テレビではまったく映像が切られてしまう。当然二発目の状況も、もとの素材には映されているはずであるのに。これまで、私は、撃たれた瞬間だから、残酷な映像であるとしてテレビではカットしているのだと思っていたが、どうやら違うようだ。
 しかし、ネットには二発目が撃たれたときの安倍氏の状況の映像がある。

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またも日本の新薬が承認されず

 厚生労働省の公開審議で、塩野義製薬が開発した「ゾコーバ」に対して、緊急承認制度を適用することを見送ったと報道されている。
 報道によると、「審議にあたり、薬の有効性や安全性を審査する医薬品医療機器総合機構(PMDA)は「有効性が推定できるとは判断できないが、医療・社会的観点から、本剤をより早期に使用可能とすることの検討も可能と考える」という報告書をまとめていた。6月の専門部会では追認する意見が上がる一方、否定的な意見も根強かった。」ということだが、結局、有効性が不十分だということだったのだろう。

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