Der Tagesspiegel(2019.7.20)が、ベルリンの自転車道問題を扱っている。(Mit dem Rad gegen die Wand 自転車で壁に)日本でも、自転車はかなり問題になっている。日本では、どこを走るのか、歩道になったり、車道になったり時代によって変わってしまう。また、歩道がないときに、右側通行なのか左側通行なのか。これも時代によって変化したと思う。私は、自転車には乗らなくなったが、車を運転しているときには、自転車にはかなり気をつかう。逆に歩行者として、危ない目にあったこともある。歩道を歩いていたら、角になっているところを、猛スピードで走ってきた自転車に危うくぶつかりそうになった。ぶつかったら大怪我をしていたろう。最近では、自転車とぶつかっての死亡事故もある。
肝心の法律が変わるというのは、本当に問題だ。一番気をつけてルールを学んだときの感覚が、ルールが変わっても引きずられるからだ。
日本とドイツはよく似ているようだ。何よりも、車が国の中心的な産業だという点である。自転車王国と言われるオランダでは、自国の自動車産業がない。なんといっても、ドイツやフランスという自動車王国にはさまれているし、小国だから、自動車産業は発展しようがなかったのだろう。だから、自動車企業に遠慮することなく政策を決めたり、実行できる。地球温暖化がオランダには致命的な悪影響をもたらすから、自動車利用への抑制がいろいろと試みられている。その最大のものが自転車の優遇である。自転車道の整備が主なものだが、自転車のまま列車に乗れるシステムもかなり普及している。今はないようだが、自転車通勤すると手当が出た企業もあったと言われている。電車・バスの交通費がでるのだから、自転車手当はかなり合理的だと思うのだが。
しかし、ドイツではあまりうまくいっていないようだ。車は、「騒音、不潔、渋滞、事故、場所の浪費」ということで、自転車を奨励する策をいくつかの都市がとった。車志向の都市と自転車志向の都市という概念ができているらしい。ところが、どうやら、自転車道を独立させているのではなく、たんに自転車を奨励しているというところが少なくないようだ。自転車が増えるとどうなるか。まず車道を大量の自転車が走るようになると、バスレーンを走って、バスの妨げになったり、トラムを勝手に横切ったりする。歩道を走れば、歩行者にとって危険になる。特に、バス停でバスに乗り降りしているときに、自転車が高スピードで走ると、ぶつかって極めて危険なのだそうだ。また公園とか、本来ゆったり歩く人のための運河沿いの道などに進出してくる。自転車のためのロビー活動も活発なようで、当初は、自動車の代替物だったのが、自動車と同等、更に、優越的な地位を求めるようになっているそうだ。
自転車にも、様々な弱点がある。天気が悪いと乗れない、年齢にも左右される。遠いところにいくには不便だ。また、自転車につけるグッズなども多く、また、荷物が多いとこぐのが大変だ。だから、やがては、自転車も少数派になるだろうと、著者は予測している。
この記事の著者は、どうやら歩行者派のようで、自転車の横行を苦々しく思っているようだ。
いずれにせよ、もともと車と歩行者用に作られた「道路」に自転車が割り込むことは、容易ではなく、様々な問題を解決しなければならない。日本もドイツも、まだ乗り越えられていない。(次は日本の自転車道問題を考えてみる。)
なお、今週からしばらくヨーロッパに旅行するので、しばらくはあまり書けなくなります。8月中旬からいつものペースに戻す予定です。