人間の尊厳と加害者家族の人生

「人間の尊厳とは」

まず、尊厳の意味は「尊くおごそかなこと。気高く犯しがたいこと。」という意味です。そこから考える、私の思う人間の尊厳とは、「人間として侵されることのない日常や最低限の権利」ということではないかと考えています。

では、この尊厳を侵されている人間は、どんな人間なのか、と考えたときに、私の浮かんできたことはいじめでした。いじめは、平穏な日常が守られておらず、他人から発言権を奪われたり、何か行動する権利、ひどい場合には生きる権利をも否定されたりしています。

いじめられるきっかけや原因はたくさんのものがあります。そこでわたしがさらに焦点を当てて考えたいと思ったのは犯罪者の家族(子ども)へのいじめや入学拒否についてでした。犯罪者の子どもはあくまでも子ども。本人というわけでもないのに、いじめを受けたり、周りから誹謗中傷の声が上がったり、入学拒否されたりしています。そのため、犯罪者の家族や子どもは人間の尊厳を守られていないと考え、調べたいと思いました。

当初、私が調べたいのは加害者の子どもは学校ではどうなのか、という部分でした。オウム真理教の信仰者の子どもは以前、入学拒否されたと学び、ほかにもそういう件があるのか調べたいと思い、この件に関することをネットで調べてみました。すると、被害者家族への配慮やカウンセリングはされているのにもかかわらず、加害者家族には配慮等はされていない現実があることを知りました。インタビューは拒否することができず、世間からも距離を置かれ、笑うこともなくことも許されないという思いになるという話もありました。

そのことを知り、当初の調べたいことよりも焦点を広く当てて、加害者の家族について調べていきたいと思います。また、メディアとの関係にも触れていきたいです。

最終的には、加害者の家族のプライバシーを守り、プライバシーや人権、教育に影響を与えないような制度方法(海外で行われているものなど)を調べていきたいと思います。

そこで、気を付けなければならないことは、加害者の家族にばかり目を向けてしまい、被害者の家族や加害者家族を受け入れる側の気持ちや権利も考えなければなりません。私自身、もし目の前に連続殺人事件の犯人の家族がいたら、純粋に仲良くなろうなど考えられないと思います。避けることはしなくても、なんとなく距離を置いてしまうかもしれません。様々な点からこの問題を見るとともに、どの立場の方でも受け入れできる方法を考えていけたらいいと思います。

では、調べる方法はどうしていくかというと、まず、犯罪者の家族が自殺した件を調査していきます。具体例として、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の犯人の父親が自殺したという文献を探したいと考えております。また、最近では秋葉原無差別殺人事件の弟さんは週刊誌(週刊現代2014/04/26号)のインタビューの一週間後に自殺したという話があります。できれば、その週刊誌の記者に連絡を取り、記載されていること以上の話もお聞きしたいと考えています。また、犯罪者家族の会、ワールドオープンハートという法人団体の代表者、阿部さんにインタビューしたいと思っております。東京や埼玉など、訪問できる場所にいるときに直接会いに行く、もしくは電話やメールで質問にお答えしていただく形にします。ここで、加害者家族の子どもはどんな風に学校生活を送っているのかということについて、詳しくお聞きしたいと考えております。さらに鈴木伸元さんにインタビューもします。鈴木さんは「加害者家族」という本の著者で、このことを書くにあたって、たくさんのインタビューを繰り返し書き上げたというお話をされていました。そこで、その本を読み、さらに情報がほしい場合はインタビューしたいです。また、その本は加害者家族の現状を知ってもらうために、展示で紹介したいとも考えております。そのほかには、被害者の家族の意見を聞くための調査を行ったり、入学拒否をした学校へのインタビューをしたりすることも考慮していきます。日本の犯罪者の人権保護についてと外国の犯罪者の人権保護について調査していきます。上記の問題について、日本の法律や制度等を調べた上で、外国の法律や制度等を文献を使用し、調べていきます。日本と比較し、日本のこれからの犯罪者、犯罪者家族への配慮について考えていきます。

 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。