北海道旅行3 自然

 北海道に旅行にいく人の多くは、自然を堪能しようというのが目的だろう。首都圏で育ち、生活している身としては、やはり、北海道の自然は、雄大で見応えのあるものだった。日本のなかでは、北に位置するからヨーロッパの風景に似ていると感じさせるところな多々あった。今回の主な訪問先は東部だったが、函館から車で一気にいくのではなく、途中一泊しようということで、帯広に宿をとった。
 そして、まず訪問したのが、真鍋庭園だ。ここは明治期に香川県から移住した真鍋佐市氏が林業を始め、代を重ねるたびに形態や樹木が拡大され、1960年代に一般開放されるようになった。ヨーロッパ風庭園と日本庭園が共存する珍しい提案とされる。庭園といっても、本州の観光地でみられるものと比較して、面積が格段に広く、順路に従ってみていっても、けっこうな時間がかかる。

 

 
 その後帯広競馬にいったのだが、丁度競馬が行われる日だったが、時間が空いてしまい、結局みることはなかった。妻はぜひみたいという気持だったようだが、私は資料館をみているうちに、正直見たくないと感じていた。この競馬というのは、普通のものではなく、それぞれの馬にかなり重そうな荷台のようなものに、更に人間がその荷台にのって、馬に走らせて順位を競うのである。その距離はたった200メートルなのだが、その間に2カ所競り上がった部分が設置されている。資料館でビデオ上映されていたものをみると、その競り上がりのところを、馬はかなり苦しそうになり、騎手が鞭ではなく、とがった棒のようなもので馬の尻を強く突ついている。そして、なんとか越えてももう一度それが繰り返されるもので、馬にとっては、かなり過酷なレースである。説明によると、北海道全体でかつては11カ所で行われていたが、いまではこの帯広だけが残っているそうだ。何故、他がやめたのか理由は書かれていなかったが、馬への虐待という感覚が、廃止圧力となったのではないかと、私は思った。
 そして、釧路湿原に向かった。午後もかなり遅くなってしまったので、展望台で周囲をみたあと、散策路を歩くことができなかった。実は、熊がでるというので、鈴を事務所で借りて少しでかけたのだが、途中で鈴が壊れてしまい、ならなくなったので引き返すという一幕があった。ただ、北海道だけで有名なのではなく、湿原を守るためのラムール条約で指定されているほどなのだが、展望台でみる限り、あまり湿原という感じもせず、車で通ってきた周囲も、普通の森林で、どこが湿原なのだろうかということで、充分みることができなかったせいだろうが、あまり感動するものがなかった。

 今回の旅行はできる限り一カ所にしばらく留まって、そこからあちこちでかけるという方針だったのだが、その拠点として、屈斜路湖に面したホテルに3泊した。
 屈斜路湖は比較的大きな湖で、一周できる散策路も設置されているというが、その機会はなかったのが、多少残念であったが、ホテルの部屋から毎日みて楽しんだともいえる。
 
 ホテル到着の翌日は、網走刑務所が主な訪問先だったが、その途中で、摩周湖によった。透明できれいな水で有名なところだが、立ち入り禁止になっていて、水辺までいけないようだったので、遠くから眺めるだけだった。(場所によっては入れるところもあるのかもしれないが)

 網走刑務所のことは既に書いたので、翌日のことになる。翌日は知床だった。
 途中で、大空町の芝桜公園で芝桜をみることができたのでちょっと寄った。見頃の時期は過ぎていたのだが、まだ芝桜は半分くらいは残っていて、料金も割引になっていたのだ。最盛期の写真をみると、たしかにきれいだが、盛りを過ぎた状態だと、なにかわれわれのことをみているようで、複雑な気持にもなる。

 そして、いよいよ知床に車を飛ばす。
 最初に見たのが、オシンコシンの滝。

 滝といえば、華厳の滝が有名だが、華厳の滝は、かなり離れた場所からしかみることができないし、そういうのが多いと思われるが、このオシンコシンの滝は、かなり近くからみることができるので、たしかに、迫力を感じる。実際にみていると水しぶきがかかってくる。
 そして、いよいよ今回の最大の目的地のひとつ知床だ。当然、半島めぐりの遊覧船になることにした。ただ、昨年大事故があった遊覧船だから、小型ではなく、大型の船にした。小型だと、すべて甲板にでている感じで、そのかわり、陸地のごく近くを就航する。だから、その自然を堪能できるだろう。私たちが乗った大型(といっても、たいして大きいわけではないが)の船は、陸地からはかなり離れたところを就航するので、景色の全貌をみるにはいいが、こまかい自然はみることができない。
 実は、かなり折返点に近くなった時点で、熊がいると船員が教えてくれたのである。視力のいいひとや双眼鏡をもっている人は見えたかもしれないが、私には、まったくわからなかった。熊の出没がつねに話題になり、注意の看板があちこちにたっている状況だったが、実際に熊がいたのは、この知床半島の一角で、1000メートル以上離れたところから見えた(かもしれない)ものだった。

 

 滝がみえるところが、折り返してになっているが、近くにいけば迫力ある滝を堪能できたかもしれないが、かなり遠くでみているので、滝がみえるな、という程度だった。
 船からあがって、半島を横断することになった。途中で、自然をみることができる木道をあるいた。熊がでる恐れがあるところだが、木道の両側に電線がずっと張りめぐらされており、そとからこの木道に昇ろうとすると、その電線に流れる電流にやられる仕組みになっている。だから、安心して歩いて自然を味わうことができるわけだ。

 翌日、美瑛や富良野をみながら、支笏湖のホテルに泊まり、支笏湖を多少みてから、帰路についた。支笏湖の澄んだ水は、やはり本州ではなかなかみることができないものだった。
 

 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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