羽鳥モーニングショー玉川氏復帰

 4月新年度になったからなのか、玉川徹氏が、羽鳥モーニングショーに復帰した。これまでは、単発的な復帰だったが、以前のような連日のコメンテーターということらしい。玉川氏の撤退によって、いい意味での羽鳥モーニングショーの面白さが、大分薄れていたことは間違いないから、復帰は、歓迎すべきだろう。といっても、テレ朝のそもそもの体質なのか、安倍政権などに睨まれていたからなのか、ネトウヨと言われるひとたちが攻撃するほど、テレ朝は、自民党政府に批判的ではないし、羽鳥モーニングショーも、特に昨年の統一教会問題での消極性で、その弱腰が顕著に見られた。あまりにWBCにのめり込み過ぎなのも気になっていた。石原、山口など、明らかに保守的なひとがレギュラーにいるし、安倍親衛隊だった田崎氏なども、頻繁に登場していた。玉川氏がいなかったとき、明確にリベラルといえるのは、浜田氏くらいだったのではないだろうか。そういう意味で、玉川氏の復帰によって、バランスを回復したように思う。

 
 玉川氏の復帰によって期待することは、とにかく、多様な見解が提出され、ディスカッションが行なわれることである。日本のテレビで最も欠落しているのは、このディスカッションである。NHKの討論会では、確かに、多様な立場の出席者が確保されて、意見を述べるが、討論にはならない。だいたいにおいて、いいっぱなしに終わってしまう。掘りさげること自体を出席者が嫌うのか、あるいは、司会者の仕切り能力が低いためなのか、NHK運営側の意向なのか、それはわからないが、とにかく、聞いていて面白くない。各政党の表面的な主張はわかるが、本当に理解するためには、批判があり、それに対する応答があって、論点が掘りさげられる必要がある。そうしたディスカッションは、NHKの討論会では、ほとんど見られない。
 BSフジのプライムなどは、討論はあるが、出席者の選択が比較的狭い多様性のなかに収まっている。対立する見解・立場のひとが同時に出席して、激論を闘わすというのは、熱心な視聴者ではないからかも知れないが、私は遭遇したことがない。立場が大筋は近いが、細かいところで意見が違う、という感じの顔ぶれが多いのだ。同じ立場のひとには、とてもためになる議論なのだろうが、もっとも基本的な違いも含めた掘りさげを期待すると、いつも物足りなさを感じる番組だ。
 
 こうしたことを考えると、やはり、羽鳥モーニングショーは日本のテレビ界では、かなり貴重な番組だと思う。玉川氏が復帰すると、そういう特質が出てくるので、玉川氏は、あまり大人しくならずに、つっこみ発言をしてほしいものだ。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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