卒業生インタビュー(鈴木静さん)3

イギリスの子どもたちと共作の絵本

鈴 手作りの図鑑や創作物語なども作っているんです。てんとう虫の図鑑なんですけど、年長が書いたものです。最初は子どもたちが教室の日溜まりでてんとう虫を発見したんです。動かないので弱っていると勘違いして花壇に放してあげたんですが、そのあとで図鑑でどんなてんとう虫なのかを調べていくなかで、住んでいる所とか、食べ物とか色や模様を調べていって、ストーリーを作って、それをベースにして図鑑にまでまとめたものです。 発芽実験などもありました。3人がやっていた調べがクラス全員に波及した結果なんです。おいしいマメがとれたから、次の代に渡したい。豆のしわしわは何故できるんだろうか。イギリスの先生に相談したら、発芽実験に発展したりとか。いろいろなものをやっている特殊な幼稚園になります。
お イギリスの子どもたちとの共作の絵本なんかもあったよね。

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鈴 はい、第一作は「シュクルの冒険」という話になっているんですが、最初に1ページ書いたら、次の学校にまわすというお話リレーなんです。しかも日本語と英語です。幼稚園に住んでいるうさぎのしゅくるが鬼ごっこしたり、畑でいちごを食べたりして、初めてのことを経験していく話です。

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2番目は「ジューンと月竜」という題なんですが、けがして動けなくなっていた月竜をジューンやその友達が助ける話です。これも英語と日本語で書かれていますが、絵も子どもたちが描いたものです。
ふ 何歳の子どもたちの作ですか。
鈴 5、6歳の年長さんです。

ふ 子どもがいきていますよね。
鈴 園長は自分たちでまわせるクラスにしたいという理想をもってやっています。
ふ ただ、あまりに素晴らしい活動をしているので、小学校にはいったときこまりません?
鈴 それは、ずっといろいろな先生から言われていて、行きたくないということになっちゃう子どももいるし、「みんな、なぜできないの」という感じの子どももいる。アンケートでもわかっています。ただ、幼稚園としては、できることをやって、上に持ち上げる。
ふ 副園長先生がきらきら輝いていらっしゃるから。
鈴 日々畑仕事です。最近農家なんじゃないかと思うくらい農作業していて、今日もキュウリとって、幼稚園いってないんです。それで一日終わってしまうんじゃないか。副園長の肩書だけのような気がしますけど。
ふ プレ幼稚園もやっているんですね。
鈴 となりのキッズプレパークということでやっていて、かなりの人気がでてきて、ぱんぱんなんです。20人定員のところが36人。日毎に人数が違うんですけど。

将来は未来の幼稚園教師の教育を

お 大学院にいって、修士をとる。そのあと何か計画があるんですか。
鈴 そのあとは、また来年受験生をする予定です。修士論文書いて、その後の2月に連合大学院の試験があります。そこに行くことを意図して、埼大に入ったので、連合にいって、もう少し深めていきたい。現場の先生としてのレポートだけではなく、アカデミックな論文にしたいとういことで、博士に進みたいです。
お 普通の試験があるの?
鈴 はい。厳しいらしいです。口述と、修論の審査と、英語の翻訳があります。
お 修論の審査があるなら、試験は大分遅いということだよね。
鈴 はい、2月か3月ですね。埼大の指導教官が、連合の先生にもなっているので。それから、すこし気になっている先生がいるんです。太田先生も教科書に載せていた長野大学の付属の教科書のない学校でしたっけ。蛇の命という内容を教科書に載せていたと思うんてすけど。
お 記憶にないね。(笑)
鈴 あたしも記憶になくて。
お 伊那小のこと?
鈴 伊那小なんですかね。4ひきの蛇をかっている。
お 違う本じゃないの。それはないと思うよ。
鈴 サドベリバレイと一緒にはいっていた本なんですけど。大学の庄司先生に「牛乳プロジェクト」の話をしたら、感動してくださって、翌週、これ読んでといって、絶版になっている貴重な本を貸してくださったんです。蛇の命がすごくいいから読んでといわれて、読見ました。
お 博士をとったらその後はどうですか。
鈴 そのころは園長になれと言われて、なると思うのですけど、ここ最近の新しくはいってくる学生たちの様子をみていると、うーんというところがあって。

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お ウーンというのをもっと具体的に。
鈴 幼稚園の先生とか、教育者になる目的観があまり、見えてこない先生が多いと感じていて、先日、とある大学で講演を頼まれていくときに、学生たちが、今度くる幼稚園の園長先生に聞いてみたいことを書きなさい、と言われて、メモ用紙やポストイットになぐり書きで書いたもののコピーをもってきたんです。その学部で授業をうけている子はこれから実習をする子もいれば、幼稚園の先生になる子が集まっている3年生なんですね。だからすぐじゃないですか。その子たちの書いている内容が、「実習ノートが怖い」「園長先生の給与はいくらですか」「男性教員の待遇はどうですか」「手遊びを教えてほしい」とか、とてつもない内容が書いてあって、それを見たときに、何よりも、メモ用紙をつかっていることが理解できなくって。授業を受ける姿勢ができていない子たちが、幼稚園の先生や学校の先生になったときに、教わる子たちが、どうやって、成長するんだろう、と思って、すごいものがあるなあ、ということを感じてしまった。
お それで、入ってきた先生を鍛えようという意識ですか?
鈴 うちの幼稚園に入ってくる人だけではなく、これからいろいろなところに行くであろう学生と少し向き合ってみたいという気きがしてい増す。幼稚園がベースなんですけど、博士をとって、学生を多少指導できる立場になりたい。これまでは研究だけをという感じだったんですけど、指導する立場にたてるものがほしい、この子たちを指導できなかったら、あの子たちを指導する先生がいなくなってしまう、それがすごく怖いというところがあります。結局2足の草鞋を履くのかと言われたんですけど、いいんじゃないの、と延長が言ってくれたので、挑戦を。どうなるかわかりませんが。今のころは目標はそこまで。
ふ 学生さんを育てたいということはわかるんですけど、こうあらねばならない、という枠つけがあるんじゃないか。例えば、紙きれに質問書いたものを見たことがないということだったんですけど、こうあらねばならなぬ、ということを意識しているのかな。人をみるとき。そこはどうでしょう。
鈴 社会人としての礼儀とか、最低限のルールを守れるということです。紙に関していうと、授業を受ける態勢からまずかったような気がしたんです。先生になる以前の問題で、学ぶために大学に入ったのに、学ぶ目的、姿勢がしっかりしていないな、それすらないのに教員免許でちゃうのか、どうなるんだ。先生の自覚以前の、考えない状態できたので、ショックをうけたんです。それで、学生のなかにはいってみたいなと。
ふ 私は短大の底辺校で教えていたんですけど、そういうのは普通なんですよね。でも、そういう子に接していくと、豊かな子たちが多いので、礼儀とか、社会人として最低限とかにとらわれる必要があるのかな、もっと違うんでゃないかと思うんですけど。
ふたつめですが、鈴木さんが幼稚園に関わって、お母さまのを継ぐということですけど、幼稚園が鈴木さんにとって何なのか、いい方を変えると、お母さまの影響が大きいと感じるんです。だとすると、鈴木さん自身の教育観、どういう幼稚園にしたいとかを知りたいと思いました。あいうえおの表を渡して、調べさせるのはいいんですけど、そうすると、保育者とか教育者は、相当力量が必要だし、それを育てる園長もすごい指導力が必要だし、どういう風にやっていこうと思っていらっしゃるのか。
鈴 本当はなりたい別の職業があって、中学受験をしたんですけど、園舎が建って、園長がすごく苦労してたときに、この幼稚園を継ぐ人がいないと思ったのがきっかけなんです。母は自分の代で終わっていいというんですけど、ここ、今は住宅がたくさん建っているんですけど、全部森だったんですよ。裏の森もうちの森なんですけど、木が生い茂っていた。そこを園長と祖父が切り開くところからスタートしたんです。母も本当は美大に行きたかった、美大の二次まで受かっていたけど、お前は幼稚園をやれといわれて、やらなければならなかった。それで短大に行ったんですけど、学校にいるときに、呼び出されて幼稚園の仕事をするというような苦労しながら、彼女自身やってきた幼稚園なので、そんな1代2代でやめるようなものではないだろうと。祖父が亡くなったときに、最後のひとことが、「卒業証書ありがとうございました」だったんですね。祖父は頭がよかったのだけど、農家の長男なので、学校にいけなかったんです。兵隊にいって、流れ弾にあたって、耳から鼻に貫通しているので、耳が片方聞こえないということで、ものすごく学校や教育に執着心があった人で、そういう祖父がどうしてもやるといった幼稚園を「私がやる」といったのが、祖父との約束なんです。私にとっては、祖父との約束であって、目標とする母がいるということもあって、教育観については、必死に園長から学んでいるところです。設立から園長の教育方針でやっている。最初から最後まで、教育としては作り上げてきた。彼女のベースを勉強しながら、新たに修士や博士を研究していくなかで、自分なりに作り上げていきたいと思っています。でも本当のベースは母の教育方針で、まったく同じだと思います。付け加えるものはあるかと思いますが、それは私が園長になってからだと思います。教える教育から、学び合う教育へ。子どもが安心して学べる。
ふ 佐藤学ぶさんですね
鈴 そうなんですよ。だからあっちゃったんですよ。本当は母ではあるけど、師匠なんですよ。母とはいわず、おかあさんといっちゃいけないんですよ。そのなごりで、おかあさんなんていえないじゃないですか。母という言葉を使ったことがありません。他の幼稚園と比較すると、特殊なのかとは思います。教育についても特殊。
ふ これからの外での活動はどうですか。
鈴 ここ数年で少しずつ表にだすようにはなっています。大学院にいくようになって、指導の先生に、来年はあちこち発表しろといわれています。来年はタイにいって、国際幼児教育学会で発表します。今年はスペインにいくことになっています。

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未来の文教大生に

お 僕のほうから最後の質問で、文教大学に行こうと思っている受験生に一言。
鈴 文教にいきたいと思っているけど、躊躇している学生ですか。楽しいよ。楽しかったので、教育学で有名な学校ですが、人間科学部の場合は、幅広く学ぶことができたので、教育学だけではなく、心理学とか、生涯学習とか、面白かったので、迷っているくらいなら、入ったほうが、そのあとの、選択肢がたくさんあるので。
お 楽しかったと。
鈴 その先の目標の引きだしづくりにあった大学だと思います。将来の夢や希望にいいかてにあるのではないかと思います。

お ありがとうございました。

 

 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。