太田ゼミ生インタビュー(ゆうま・つるちゃん)2

勉強と部活に打ち込んでいる大学生活

お 大学に入るときに、期待感があったと思うけど、大学にいったら、こういうことをしたいというようなことはありましたか。
ゆ 大学に入ったら、勉強に関しては、人間科学部の説明をみたときに、小学校の免許をとれると書いてあったんですけど、試験があるとは思っていなかったんですよ。だから、まずはその勉強をしました。それからあまり聞いたことがないような社会教育とか、児童福祉などが、けっこう興味があったんで、その勉強をしたいなと思っていました。部活は、通いなんで、バスケは厳しいと分かっていたんで、ボランティアのほうをやってみたいな、思って、それもひとつでした。
お 僕も確かに、学生のときに、社会教育学と教育社会学があって、何だろうと思ったことはあったね。
ゆ 気になりますね。
お それで一応抱負は実現しつつある?
ゆ けっこう、興味をもって、授業を聴いているほうだと思うので。
つ 私は、国立がだめだったショックをひきずっていたので、入学した時点で、すごく勉強やらなきゃっていう義務感にかられていて、けっこうやっていました。サークルや部活も入らないで、勉強ばかりやろうと、一年間くらいそういう生活をしたんですけど、さすがに、孤独すぎて。
お それでアカペラはいった。

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つ はい。それで今は、3年になって、両立が難しかったりするんですけど、サークルも楽しいし、勉強も頑張れば、バランスをよくして、頑張ろうとはしていますね。
お 勉強に打ち込んでいたというのは、授業の勉強ですか。それ以外の。
つ 授業は、全部ダブルAとるぞ、みたいな勢いでやっていて、家に帰ってからも、がつがつやっていて。
お そういう人って、めずらしいよね。そうでもないの?。
つ 変だね、という感じでは見られていました。そんなに頑張るもんなのって。まわりはけっこう遊んでいたりする子が多かったので。塾講もやっていて、中学生に社会だけではなくて、英語とか、数学とか国語なんかいろいろ見ていたので、そのための勉強もしていましたね。
お 大学にはいったら勉強するというのは、抱負だったんですか。落ちちゃったショックによるリベンジとか。
つ 両方ありました。抱負もあるし、リベンジ精神もあって。
お そうなんだ。
つ すごいやりました。
お そこから自分の勉強の延長上に、こういうことが面白そうだから、もっとここを勉強したいなというようなことは出てきたの。
つ そういう勉強ではなかったです。どちらかというと、つめこみで、もう忘れたことをまた覚えたりというようなことばかりだったので、反省点もあるんですけど。
お まわりにこういう勉強熱心な人いた?(ゆうま君に)
ゆ いなかったですね。高校のときの勉強は、忘れていってしまうのは、もったいないなとは思いました。英語なんかは、明らかに大学のときより、高校のほうがレベルが高かったんで。
お そうなんだ。
ゆ 大学は英会話みたいなものだったんで。
お 英会話といっても、そこでやっていることはやさしいとしても、更に自分で勉強するということは。英語でコミュニケーションできるようになろうとか。
ゆ そうなら、力をいれられたんですけど。
お 大学の勉強は物足りないという感じなの。
つ 英語に関してはそうでした。

太田ゼミで自分の経験の背景を研究

お 太田ゼミは何故選んだんですか?しずさんのいうことには、消去法だったそうだけど。
ゆ そんなにたくさん考えなかった。教員になるから、それに関連して、新任の先生も気になっていたんですけど、太田ゼミは、忙しいということは聞いていたので、自分は、大学生になって、課題を出されないとできないので、強制的に活動できるゼミがいいかなと思って。
つ 私は。
お 迷っていたんだよね。
つ でも7割くらいは太田ゼミに決まっていて、やはり、私も教員になりたいのと、教育について重点的に調べたいということで、一番このゼミがあっているかなと。それから、忙しいのにそれでも来る学生たちがいるわけだから、意識高いところじゃないと、私は遊んじゃうなと。
お まわりが遊んでいるときに一人勉強していたんでしょ。(笑)
ゆ 意志が強い。
つ 2年からはあまり勉強しなくなって。サークルばかりになって、その反省もあって3年からはちゃんとやろうと思ったんです。忙しいけど。
お 太田ゼミではどういう勉強をしているかを教えてください。自分がやっていること。
ゆ 子どもの遊びと、その人間関係とか、性格とかに相関があるのかということと、昔の遊びと何がちがうのかについて研究しています。
お 昔とこういう風に違っているとかは、分かってきましたか。
ゆ うーん、そうですね。そんなにまだまとまっていないですけど、何かしら、違っているんじゃないかと。
お 昔のことは、どうやって知ろうとしていますか。
ゆ 昔のことは、文献と、あと、親には一応聞きましたね。おじいちゃん、おばあちゃんは、遠すぎるので。違うのは当然かなと思いますけど。
お 親の世代とも大分ちがいますか。
ゆ 親からしても大分違うと言っていて、不思議なことが多いと言われます。
お たとえば。
ゆ 親が一番いっているのは、スマートフォンのことです。そんなにたくさん機能が必要かとか。
お それは機能であって、遊びじゃない
ゆ 学校外で、そんなにコミュニケーションとる必要があるのかってことです。
お 家に帰ったら、家族と一緒に過ごせばいいではないかという感じですか。昔はそうだったと。
ゆ そんな感じですね。昔は、スマートフォンなかったんで、学校で充実した人間関係が作れていたというようなことを言われたんですけど、そうなんですか。
お 僕は、君らの親より上の世代だと思うけど、学校から帰ったらすぐに遊びにいって、みんなと遊んでいたよ。
ゆ 家にいるときのことですけど。
お 家にはほとんどいなかったよね。今は、家にいるときにも、ラインやったりとか?
ゆ そうですね。
お 小学生でもラインなんかやっているんだ。
ゆ 塾でやっているんですけど。
つ やっているよね。
お 遊びと人格の関係は何か分かった?
ゆ 大勢の人とつるむことがなくなってきた、いつも同じ人と遊んでいるので、それがコミュニケーション能力に悪い影響が出ているんじゃないかというのが、今のところ。
お よく、そういわれているけど、それはそうなんですか。
ゆ 高校とかでも、クラスメートって、仲いい人とそうじゃない人がいるじゃないですか。そうじゃない人とほとんど話さないとか、あったので、そういうのも、外遊びで普段遊んでいると、自然と互いに触れる機会も増えたりするんじゃないか。
お 外遊びといっても、場所がないとかもあるよね。それから、僕らの世代と違うのは、やっていることは同じでも、やり方が違う感じがある。バスケやるにしても、野球やるにしても、僕らは勝手に集まって、野原みつけて、それで、じゃ野球やろうといって、やっていたんだけど、今はリトルリーグに入る。僕らは川にいって泳ぐとか、たまに市民プールなんかもあったけど、そのときどきに行っていたけど、でも、今はスイミングスクールに入って、コーチがいて、という風に変わってきたというのはあるね。遊びが遊びじゃない、習い事になっている。
ゆ 確かにそれはありますね。

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お その影響も究明してほしいよね。場所にしても、リトルリーグだと、大人がとっていると思うけど、僕らは、まず場所とりからだから、朝星が出ているときに行くんだよね。
ゆ そうなんですか。
お 日曜日なんか。それで場所とって、一日やっている。そういう意味では、野球やる仲間は濃密という感じはあったね。コーチなんかいないから、勝手に同年代でやっている。
つ 私は、2年のときから、不登校について調べていて、自分が中学の教員をめざすこともあって、中学生の不登校とかを扱っていたんですけど、そのときには、中学3年生が一番不登校が多いというグラフなんかがあったんです。それで、中3に焦点あてて調べていたんですけど、よく調べると、小学校から中学にかけてが、不登校数が増えた割合が急激に高くなるんです。今度はそこに焦点をあてて、考えてみようかと思って、今回は中一ギャップについて考えています。最終的に、中一ギャッフが少しでも減るような学級作りを考えたかったので、それを研究しています。
お 中一ギャップが減る学級つくりというのは、どういうイメージなの。
つ まず、中一が気にすることは、友人関係か、勉強が難しくなるという学習面、あと、中学校に入るとたいがい部活に入るから、先輩後輩の人間関係の難しさがあると思うんです。私自身も中一になったときに、友達できるのか、勉強も小学校と違って、順位が出るとか、プレッシャーだなあとか、先輩も怖い先輩が多かったので、うまくやっていけるかなとか不安がありました。
お 順位がでるって、この間授業で、教育行政学で、順位が発表されたとか、成績が発表されたとか、ほとんどいなかったはずだけど。通知されたという意味?
つ 貼りだされはしないんですけど、通知されました。そういう面で悩んだんだけど、それをあまりまわりにいえなくて、友達関係で悩んでいるなんて、親にいえないなって。
お そうなの。
ゆ そうですね。
お 男は言わないけど、女はいうっていうけど。
つ 心配されてしまうのが嫌で。うまくやっていけてないのって。勉強の相談を先生に相談しても、親に相談しても、頑張るしかないでしょうってしか言われなかったり。問題解決になっていなくて。部活も、先輩が怖かったり、厳しかったりもあって、やりたくて入ったのに、つらいな、としばらく悩んでいる時期があって、そういう面をもっと担任の先生とか、いろいろな先生が、定期的に相談にのってくれたりとか、理解を深めてくれれば、もっと、よくなるんじゃないかなと。
お 成績の順位がつくというのは、中間とか定期とか、全部つくということ?
つ 全部つきます。
ゆ 順位、全部ついていました。貼りだしはしませんでしたが、通知はきますね。
お 通知表と違う評価が出されているんだ。逆に絶対評価になったから、そうした可能性があるね。中学で順位をつけるのは、そんなに普通なのかな。
つ 普通だと思います。
お 僕らのころは、相対評価なので、順位ではないけど、5は何%と決まっているから、ある種ラフな順位つけが、そのまま成績になっていたから、必要ないということだったのかも知れない。絶対評価になったから、それだと順位がわからないので、不安だというような声があるので、出すようになったかも知れないね。
ゆ 確かに。
お 順位つけはどう思う。
つ 私の場合は、上位校にいたということもあるけど、その順位によって、次も頑張らなければと、ポジティブにもなれるんですけど、逆に下がったらどうしようという不安も常にあったんで、私は、心配性だったり、不安だったりしたので、嫌でしたね。友達は、下のほうにいたんですけど、頑張っても、あまり上にいけないし、どうでもいいという感じでした。
お 気にしないというように。
つ 親同士で比べられる材料になってしまうので、嫌だなという話をしたことは、中学のときにあります。
お そういうのは、誰にもいわないの。俺何番だぜみたいな。
ゆ ありますよ。
お 隠していたりは。
つ 隠していてもばれますね。
ゆ 見せあいはしますね。仲がいいときには。
お 何故ばれる?
つ 上位10人くらいで、誰が、何位くらいだってことが、予め把握されていて、あとテストの点数で、だいたい分かってしまう。
お 小学校は。
つ ない。
ゆ ないです。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。