サンデーモーニングの張本降板

 人気コーナーでもあり、また批判も多かった関口宏司会のサンデーモーニング(TBS日曜番組)のスポーツコーナーコメンテーターの張本氏が今年一杯で降板するという本人からの説明があった。私自身その場面をみていたので、少々驚いたが、最近のネットでの批判と、張本自身の年齢を考慮すれば、来るべきものが来たという感じでもあった。ネットでは、既にたくさんの見解が書き込まれているが、ほとんどはサンデーモーニング自体への批判のほうが強く、張本氏については分かれている感じだ。私自身は、この番組は、前半は別の番組(というか、朝なので見るときはということで)をみているので、だいたいスポーツコーナーあたりからみて、「風をよむ」の後半あたりからはみるのをやめてしまう。

 張本氏のコメントは、いろいろと問題はあるが、なんといってもトップクラスのプロ野球選手だったわけだから、いうことに重みはある。あのような遠慮のない発言は、現在のテレビ業界では貴重なものだと思う。いろいろな考え方があるわけだから、批判もあるが、目くじらをたてるのもどうかと思うのだ。むしろ、発言抑圧的な対応こそ問題ではないだろうか。大谷の二刀流への否定的な意見なども、それはそれとして意味あることだと思っている。
 むしろ、サンデーモーニングの問題は、コメントの等質性だろう。ネットの批判などは、反日とか偏向しているなどが圧倒的に多いが、逆に右翼的な偏向番組についても、彼等は「偏向だ」といって批判しているのだろうか。リベラル偏向や右翼偏向があってもいいと思う。しかし、そうした番組は、私には面白くない。いろいろな見解があって、議論が行われるのでない限り、見ていて刺激を受けない。基本的な立場が同じでも、深く考察していけば、いろいろと違いが出てくるものだが、そこは関口氏の力量の弱さであろう、なんとなく意見を言わせて、掘り下げないから表面的な意見の表明に終わっている。そして、黒板をもちだして、書きながら解説するやり方は、いかにも教えてやるというような姿勢を感じて不快感が拭えない。そして、ある話題が設定されると、関口氏が一人ずつ指名していって、順番に意見を述べていくが、すべて聞き置きという感じで、掘り下げるやりとりはまずない。何をいうかは、だいたい顔ぶれでわかっているから、なんの新鮮味もない。だから見なくなった。
 それに対して、羽鳥モーニングショーは、出ているメンバーがそもそも意見が異なるし、右も左もいる。そして遠慮なく異論を述べたりする。ときには、ゲストの解説者に対しても、疑問を呈することがある。玉川氏などは、まったく忖度しない。そして、そうした突っ込みをするためか、出演者の多くが、(全員ではない)よく勉強している。だから、けっこう知的刺激があるのだ。テレビもこういう番組であれば、見る価値を感じる。
 
 さて、張本氏が降板すると、代わりは誰になるのだろうか。サンデーモーニングそのものを継続するとしたら、やはり、人気コーナーだから代役をたてるのだろう。大沢氏がやめたときには、代わりではなく、週替わりになった。まさか張本氏の代わりも週替わりというわけにはいかないだろう。一人ではなくても、レギュラー3人程度でまわすという手もあるかも知れないが。
 アスリートとして一流でなければ、やはり説得力をあまり感じないし、また、かなり話術がなければならない。張本氏は韓国人ということもあって、話し方に迫力があったことは事実だ。桑田氏のような理詰めタイプは、ゲストとしてはいいだろうが、レギュラーとしては面白くない。野球以外の人材はあまり知らないので、野球界で探すと、私は槙原氏がいいのではないかと勝手に思っている。長く巨人のエースで、完全試合もやった、歴史に残る投手の一人だ。そして、何よりも弁舌がたつ。質問されたことに流暢に答える野球選手のオービーはたくさんいるが、槙原のように、自分から話題を振ってしゃべりまくれる人はあまりいない。
 槙原なら、継続的に見たいと思う。
 
 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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