コロナ用錠剤の早期の認可を

 コロナの感染爆発が続いており、酸素センターとか、パラリンピックの学校連携観戦、自宅療養者の死亡とか、多岐にわたった議論が行われているが、この第5波に限っていえば、不思議と出てこないのが、治療薬だ。入院することができれば、かなりの薬を投与することが可能になるので、かなりの確率で助かるようになっているが、入院できない人が東京だけで3万数千人もいるのだ。このなかで、死亡するひとたちが、今後増えてくることは間違いない。当然、病床の拡大、そして、野戦病院などが緊急に必要だと思うのだが、それと同時に、家庭で簡単に服用可能な薬が絶対に必要である。抗体カクテルがいかに有効だとしても、家庭で使用することは、極めて難しい。やはり、家庭での服用は錠剤である。そして、この議論が、5波にはいって、ほとんどなされていない。今こそ緊急に必要であるのに。
 実は、これまで錠剤としての薬の候補として、アビガンとイベルメクチンが話題になった。政府も表向きは、積極的な姿勢を見せているが、いまだに認可されていない。アビガンは、安倍首相が、昨年の5月中に認可したいと国会で述べていたにもかかわらず、いまだに認可されていない。イベルメクチンは、菅首相が積極的に推進したいというようなことを述べたが、同様に認可されていない。

 なぜなのかと、ネットで検索すると、その理由を論じた文章が多数でてくるし、またyoutubeなどでも、現場の医師が解説している。認可されていないのは仕方ないという立場では、科学的な有効性が証明されていないというのだ。そして、よく読むと、要するに、科学的な検証に必要な条件が解説され、日本では、患者数が少ないこともあって、治験の数が不足しているとか、検証の仕方に、厳密な手順を踏んでいないとか、あるいは、有意差を示して、有効性が確認できなかったなどと説明している。
 しかし、よくよく考えてみれは、現在認可されている薬で、日本できちんとした治験を行って、認可された薬のほうが少ない。現在のワクチンだって、海外の治験を踏まえて、日本で簡略に治験を行った結果として、承認しているのである。当初は、日本での治験を省略しようとしたが、立憲民主党や共産党の反対があって、治験を簡略ながら行ったという経緯があるようだ。レムデシベルなども同様で、日本での治験などはほとんどやっていないはずである。それで効果をあげているのだから、問題はないといえる。
 では、アビガンとイベルメクチンは、何故日本での完全な治験を要求するのだろうか。これは、決して科学の問題ではなく、政治の問題なのである。
 
 アビガンとイベルメクチンには、他のコロナ用薬品とは違う共通点がいくつかあることに気づく。
1 日本が主に開発したこと
2 他の病気の薬として認可され、使用されていること
3 特許がきれているので、外国ではジェネリック薬品として大量に生産され、使用されていること。
4 外国でコロナに効く事例が報告されながら、日本での厳格な治験を要求されて、認可されていないこと
 以上である。
 さて、非常に熱心にコロナ問題を継続的にとりあげている、テレビのワイドショーやyoutubeの一月万冊などでも、この薬、とくにイベルメクチンについて取り上げていることが、極めて少ない。一月万冊に出ている佐藤章氏などは、検査と隔離ばかり強調して、ワクチンも薬も取り上げない。モーニングショーなどは、もちろんワクチンを取り上げているが、錠剤のことはとりあげていないのである。昨年のアビガンは別だったが。
 上の共通点を考えてみると、以下のような仮説を考えざるをえないのである。
ア 特許がきれているので、開発した企業も認可に意欲を示していない。
イ 日本が開発した薬なので、アメリカ等の有力企業が、自社開発の薬を使わせるために、暗黙に圧力をかけている。
ウ 家庭で服用できる有効な薬が開発されると、ワクチン接種の意欲が低下するので、ワクチン側が圧力をかけている。
 こうしたことは、憶測であるが、私はありそうなことだと思っている。国際的な薬品企業は、さまざまな圧力をかけて、薬の販売を操作していることは、さまざまな医療分野でいわれている。圧力といっても、検証を科学的に厳格にやれ、と要求することで、事実上かけられるのだ。決して、明らかに不当な邪魔をするなどということをせずに済むのだ。そうすれば、科学ジャーナリストなる人物が、それを正当化してくれる。
 しかし、とりあえず、科学的検証問題について考えてみる。
 科学的検証について述べた文章は、多数あるが、結局、共通しているのは、十分な科学的な方法での治験によって、有効性が示されていないとする、あるいは治験数が足りない等々。そして、その根拠にいくつかの学術雑誌が引用されていることだ。
 科学的検証が、特に日本のように、昨年までは患者が少なかったから、困難なことがあった点は間違いないだろう。ただし、他方で、学術論文のなかでも、見解か分かれていることも確かだ。だから、実は、厳格に科学的に有効性が確認されたとも、されていないともいえないというのが、さまざまな立場の論文やその紹介をみた限りでは、正直なところだ。
 そして、状況の問題にならざるをえない。科学的検証を、厳格に適用すれば、日本で、現在使用されている薬やワクチンも、すべて、日本での厳格な治験を経ているわけではない。非常時の特別な認可をえているにすぎない。とすれば、以下の要件を満たせば、緊急事態としての特別認可をすべきなのであるし、実際に、海外の薬品やワクチンは、そうして、日本でも使っているのだ。
・海外でコロナ治療薬として使用され、かなりの有効性が示されていること。
・既存の薬品であれば、安全性が証明されていること
・日本での病院の使用で、治験として使用されていること
 これらのことは、私が得ている情報では、アビガンもイベルメクチンも満たしている。だから、緊急的な承認をして、インフォームド・コンセントをしっかりしたうえで、家庭での服用を可能にすることを、早急にすべきであろう。もちろん、効果や副作用については、しっかりと事後調査を行い、データを積み上げていくことが必要だろう。
 現在は、緊急時であって、通常の感染状況ではないのだ。昨年、欧米でいくつかの薬が、緊急承認されたのは、欧米では緊急事態だったからだ。現在の日本は、昨年の欧米に匹敵するくらいの緊急事態なのである。
 こういうときに、通常の厳格な科学的な検証を求めていれば、治る患者も治せなくなり、死者や重篤な後遺症が残る患者を増やすことになる。入院が不可能である以上、家庭での服用が可能な薬を緊急に認可すべきなのである。
 大手メディアがこのことを強調しないことは、いかにも不可解だ。
 
 なお読売新聞の記事を引用しておきたい。
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読売新聞 4月28日 調査研究「イベルメクチンはコロナ治療に有効か無効か 世界的論争の決着に日本は率先して取り組め」
 20年3月、アメリカバージニア州のイースタンバージニア医科大学の呼吸器・重症患者治療主任のポール・E・マリク教授がリーダーとなって、新型コロナに関する医師連盟であるFLCCC(Front Line COVID-19 Critical Care Alliance)が設立された。FLCCCは、世界で広がっているイベルメクチンの臨床試験の報告をいち早く評価して、自分たちのプロトコルにイベルメクチンを取り入れ、他のグループの臨床試験を集約して評価をはじめた。
 その結果は20年10月31日、「イベルメクチンはCovid-19パンデミックに対する世界的な解決策となる可能性を秘めている」とのタイトルで、約30報の論文を精査した結果として世界に向けて発信された。
 調査結果の紹介
 1、新型コロナウイルスの複製を阻害し、感染した細胞培養において48時間でほぼすべてのウイルス物質を消失させる。
 2、感染した患者の家族間のCOVID-19の感染と発症を防ぐ。
 3、軽度から中等度の疾患でも、発症後早期に治療することで回復を早め、悪化を防ぐ。
 4、入院患者の回復を早め、集中治療室(ICU)への入室や死亡を回避する。
 5、国民全体に配布・使用されている地域では、症例死亡率の顕著な低下をもたらす。
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 他方朝日は否定的なようだ。
日本のイベルメクチン狂騒曲に見る危険性
政治が議論すべきは「公衆衛生の人材不足」という構造的問題だ
船戸真史 家庭医療専門医・公衆衛生学修士 論座
 これは、有料記事なのて、一部しか読むことができなかった。そのうち、図書館にいって読んでみたい。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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