オリンピック後始末1 バッハの警備費・女子ボクシング・開会宣言の訳

 いろいろと出てくる話題を、できるだけフォローしておきたい。
 
バッハ会長の警護費用
 バッハ会長は8月6日に広島を訪問して、平和式典に出席した。国民からの反発がけっこうあったが、決行した。そのときの警備費用を、広島県と市はオリンピック組織委員会とIOCに求めたが、蹴られたというのだ。そして、仕方なく県と市で分担することになったそうだが、もっと争ってもいいのではないだろうか。市はそれなりの歓迎はしたようだが、別に招待したわけでもないようだ。つまり、勝手に来たわけだ。しかも、日本人の多くの願いは、オリンピック期間中の当該時間に、黙祷を捧げることだったのだが、これは明確に拒否しているのだ。つまり、広島を訪れたことは、決して核廃絶の願いを表明したかったわけでもなく、原爆投下に抗議する意志を表明するのでもなく、単に、ノーベル平和賞狙いだという見方があるが、そう思ってしまう。バッハの警備費でいうと、銀ぶらのときにもSPかついていたが、彼らの費用は誰がだしたのだろうか。そういうことも明らかにしてほしいものだ。選手たちには、試合が終わったからすぐに帰国せよということなのに、自分は銀ぶらとは。

 今後、このような費用問題は、いろいろな面で出てくるのは間違いない。
 
張本の女子ボクシング発言
 日曜日TBSサンデーモーニングの人気コーナーで、張本が、女子ボクシングで金メダルをとった入江選手に対して、女子でも殴り合いが好きな人がいるんだ、嫁入り前なのに、というような発言をして、顰蹙をかい、ネットで炎上、しかも、ボクシング協会から正式抗議がきてしまったという。
 しかし、私は、この点については、張本を擁護する意志はないが、世間の非難には与しない。というのは、ボクシングという競技そのものをスポーツとはいえないと思っているからだ。その点は、これまで何度も書いてきたが、ボクシングという競技が行われることについては、とやかく言うことではないと思うが、オリンピックのような場の正式種目にすることについては、強く反対する。だから、「女子なのに」というのではなく、「男女ともに」反対なのだ。
 なぜか。
 柔道、空手組、レスリング、フェンシングなどのオリンピック種目だけではなく、相撲、剣道など、武芸ともいうべき競技があるが、それらは、過去、実際に争いの場で行われてきたものが多い。剣道やフェンシングなどは明確にそうだ。しかし、それがスポーツになるということは、ルールが定められ、勝ち、あるいはポイント取得は、型によって決まるのだ。柔道では、例えば、投げ技が、決められたように決まった場合に、得点になる。柔道なら一本勝ちだ。しかし、その場合、相手に身体的打撃を与えることが判断材料にはなっていない。実際に打撃を与えられることはあるとしても、それは勝ち負けに関係はない。あくまでも「型」によって、判定するのだ。
 それに対して、ボクシングだけは、実際に相手に打撃を与えることが得点になる。アマチュアの場合には、打撃を和らげるために、防具をつけるが、防具をつけることで、打撃そのものをカウントしないわけではない。ノックアウトという最大の勝利ポイントは、相手がたてなくなるということだ。こういうことは、スポーツとしては、あるべき姿ではない。だから、私はボクシングは格闘技ではあっても、スポーツではないと判断せざるをえないのだ。
 プロになると防具もつけずに試合をするので、試合後かなり日数がたって、死亡する人が少なくないのだ。張本は、ボクシング大好き人間だが、女子はだめというのは、いかにもおかしな話ではあるが。
 
開会式の天皇による開会宣言
 開会式に天皇が出席するのかは、だいぶ話題になったが、更に、開会宣言で「祝う」という言葉をいうのかどうかも、話題になった。こんなにコロナ感染が酷く、開催に疑問をもつ国民が多数いるなかで、「祝う」などということを述べたら、天皇制にとって危機になるのではないかという疑問すらあった。そして、「祝う」を「記念する」に変えるという噂が流れ、その通りになったのだが、実は、もっと重要な変更があったという。それは、そもそも、これまでのJOCの翻訳が間違っていたので、天皇が、そっと訂正したというのだ。以下に詳しく書かれているので、ぜひ参照してほしい。
 私自身、英文と仏文の原文を読んでいなかったので気づかなかったが、今回改めて読んだ。確かに、JOC訳は間違っている。それを訂正したのはよかったと思う。しかも、正確な訳だと、「祝う」「記念する」のは、宣言する天皇ではなく、「大会」なのだということだ。それにしても、天皇が、コロナの感染拡大を心配しているという表明をした(間接的だが)のに対して、憲法違反だなどと主張した人たちは多数いたが、彼等のなかで、政府による天皇の利用に異論を述べた人は、私は知らない。
 
 
 
 
 
 
 
 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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