コロナでステイホームになって、既に一年を優に越えるほどになった。コロナの流行と定年退職が重なったために、文字通り徹底したステイホームを実施している。週に2回程度の買い物につきあうことと、3月から復帰したオーケストラの練習に週1ででかけるだけだ。あとは暗くなってからのジョギング。公共交通機関には、1年半以上乗っていない。そのために、コロナ情報には、本当に長い時間をかけて、読んだり、見たりしてきた。そして、感じたのは、何故日本はこんなにコロナ対策が不備なのか、政府が無力なのかという点だ。そして、少なくない専門家と称するひとたちのいいかげんなことだ。
最初に感じた専門家なるひとたちの馬鹿げたいい方は、「新型コロナは単なる風邪だ」というものだった。これにはびっくりした。こういうことをたくさんの専門家がいっていたが、彼らは、今の第5波の感染拡大でも、そう思っているのだろうか。第3波のときには死者もかなり出た。今回の拡大でも、今後死者が増加することは疑いない。風邪論者は、インフルエンザと患者数も、死者数も変わらないということが、主な理由だった。
しかし、インフルエンザはコロナ流行後、激減している。その正確な理由はわからないが、おそらく、人々のウィルス感染に対する対応が格段に進んだので、インフルエンザの流行が抑えられたのだろう。コロナは、そうした対策をとっていても感染が拡大している。そして、中等症や重症になったときの治療が非常に大変で、病院での映像をみる限り、本当に深刻な病気であることを感じる。後遺症もかなりあるといわれている。幸い、政策レベルでは、インフルエンザと同等の扱いになっていない。同等にすべきだという見解もあるが、早急に改めるべきではない。
今後風邪論者がいま何を語っているのか、検索してみるつもりだ。
病院のシステムについての批判は、1年以上繰りかえされてきたにもかかわらず、改善がみられないことについては散々いわれているので、ここでは、治療薬についての雑感である。
何度も書いてきたが、コロナに対する日常的な警戒を、ある程度解くことができるのは、家庭で服用できる治療薬ができた段階である。マスク、手洗い、ディスタンス等々は、予防として必要であるし、またワクチンも有効だろう。しかし、それらはあくまで「予防」であって、治療ではない。やはり、決定的に重要なのは治療薬だ。罹患しても薬で治すことができることが、最終段階である。入院をしなくても、医師の処方によって入手でき、家庭で簡単に服用できる薬である。現在は、それがまったく存在しない。
しかし、これまでいくつかの薬が、その可能性があると報道されてきた。最初はアビガンだ。安倍首相は、アビガン認可に積極的で、国会でも早期認可を何度も発言していた。だが、現在でも、アビガンは正式承認されていない。だから、治験として投与されるにすぎない。そして、イベルメクチン。インドで地獄のような感染拡大が起きたが、その後収まったのは、イベルメクチンを投与したからだという投稿が、インド在住の日本人が書いていた。しかも、イベルメクチンの投与を決めて実施した州から、感染が収束していったというのだ。何故、このことを日本では報道しないのか、と。
イベルメクチンは、ノーベル賞受賞者の大村博士が開発した寄生虫治療薬であるが、早くから大村博士がコロナにも有効であると主張し、世界中で治験がなされたが、ほとんどの結果が有効性を示しているという。「イベルメクチンはコロナ治療に有効か無効か 世界的論争の決着に日本は率先して取り組め」馬場錬成 https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/cknews/20210427-YT8T50019/
イベルメクチンは、既に特許がきれているので、インドや中国でさかんに作られており、それでインドで劇的効果を生むほどに活用されているわけだ。逆に、先進国では、こうした特許のきれた薬品は利益をあまり生まないので、新薬の開発に注力す傾向があるという。それで、アメリカの開発会社であるメルク社が消極的だと、馬場氏は指摘している。
アビガンは、開発企業が厚労省の天下りを受け入れていないから、なかなか承認されない、などという噂がたつくらいだ。とにかく、薬品をめぐる動きには、他にも不可解なことが多いのだが、それにしても、コロナ関連の薬の承認問題は、感染拡大の改善が第一に考えられているとは、思えない面がある。
そういう意味で、政治主動は本当に存在しているのか、疑問になってくる。PCR検査を増やすと安倍首相は、何度も国会で答弁していたし、ワクチンの開発、先のアビガンの承認など、多くの約束が守られていない。どうしてなのだろうか。結局、批判されているように、実際のコロナ対策を決めているのは、厚労省の医系技官といわれるひとたちであって、彼らの低い専門性と、縄張り意識によって、適切な政策がとられず、それを政治主動などといっている権力者たちも、どうにもできないということなのだろうか。素人であり、ステイホームせざるをえない私のような人間には、その確認はできないが、しかし、情報提供者の様々な見解を検討すると、厚労省の責任が重いと考えるのが合理的に説明できる。
PCR検査が、いかに重要であるかを、政府が認識していることは、オリンピック選手たちに、毎日検査をしていることでわかる。その毎日の検査で、選手たちの感染が相当程度抑えられていることは間違いないのだ。オリンピック選手にはやるけれども、国民にしない。これが政府、厚労省なのだ
厚労省関係のコロナ対策は、「クラスター対策」なるものを一貫して実施して、これによって日本があまり感染が広がらなかったと自慢している。しかし、それは最初から間違いであることは明白だったし、現在では、誰の眼にも明らかになっている。その証拠に、既に、クラスター潰しなどという対策は、あまりとられていないのが実態だ。そんな余裕がないということもあるかも知れないが、やはり、クラスターを追いかけることをやめたのだ。それは破綻したことを意味する。既に昨年の第1波のときに、クラスター対策を考えだした押谷氏が、NHKの番組のなかで、思わず「どうしたらいいのかわからない」と当惑していたことが、忘れられない。既に、昨年の3月段階で破綻していたのだ。しかし、PCR検査を拡大しないことは、ずっと堅持している。
とるべき対策は、明確なのに、何故そうした対策がとられないのか。
・たくさんの検査をして、感染者を隔離する。
・患者はできる限り早く治療する。
・ワクチンがなければ開発、あれば早期の接種
・家庭で服用可能な薬品の活用(承認を故意に遅らせるなど論外)