ますます混沌のオリンピック またメディアの世論操作か

 最近オリンピック開催を望む世論が増加しているそうだ。以前は20%未満だったのが、現在では、30%になっているという。もっとも朝日新聞という、オリンピックスポンサー企業の世論調査だから、どこまで信用できるかわからないのだが。ただ、スポンサー企業である大新聞が、世論誘導を図っていることは、間違いないだろう。感染者数の減少も、一部は本当だが、検査数削減の影響もある。これまでやっていた濃厚接触者の調査を、高齢者以外はやらないなくてもよいということにしているのだから、当然検査数は減少する。濃厚接触者は、感染可能性が、一般市民よりは、高いわけだから、その調査をやめれば、当然感染数は減少する。ただ、その影響を過大評価するのも間違いだと思うが。 
 もうひとつの操作と疑われるのは、ワクチンだ。確かにワクチンが急速に普及すれば、それなりの希望があるのかも知れないが、ワクチンが日本にはいってきて、国民の多くが接種できるようになるのは、かなり遅れそうだ。それを政府はひたすら隠している。韓国の文政権が、仮契約しかしていなくて、国民に宣伝していたワクチン確保が実は、間違っていたと騒がれていたが、日本でも同様のことが起きている。違うのは、日本人は、騒がないということだ。明らかに厚労省の重大ミスであるにもかかわらず。やっと第一陣のワクチンがはいってきたが、2回目はいつになるかわからず、また、量も未定だそうだ。医療関係者の接種が終わることだけでも、ずいぶん時間がかかりそうなのに、2月中旬に始まるということを強調している。

 もちろん、危惧するよりも早くはいってくることを希望するが、甘い見通しは禁物である。
 森後任の選出についても、今のところ、密室での選考プロセスが進行している。プロセスの進行中に一般公開しなければならない、とは私も思わないが、最低限、決め方、選考委員については、理事会の確認をえてからにするのが、最低限の透明性ではないだすろう。現時点では、理事会にすらまったく知らされず、誰が決めたかわからない「選考委員」によって進んでいるらしい。したがって、現在行われていることは、透明性をもって決めるという前提を満たしていない。
 武藤氏は、事後報告すれば、透明性を担保できるということらしいが、透明性をまったく理解していないといわざるをえない。
 もうひとつ、気になるのは、メディアにでてきて解説している人に、今の段階は、重要なことはすべて決まっているので、新任の会長が重い決定にかかわることはないから、若い未知の人でも構わないと語っている人が、何人かいるが、そもそもオリンピックをするのか否か、するとしたら、観客はどうするのか、観客をわずかでもいれるとしたら、そのための安全確保、ボランティアの配置はどうするのか等々、極めて重要な決定事項が待っている。それをきちんとリードして、国民を納得させるような説明ができる人でなければならない。そういう意味では、最終的に決めるのが、IOCかも知れないが、日本としてのコンセンサス作りに、会長は大きな役割を果たす必要がある。そして、それぞれの場合の運営上のことを、正確にまとめる必要がある。残念ながら、現在要職についた、あるいはついているような元アスリートは、従順に指導者に従ってきたひとが多いように思われるので、こうした重大なことについてのリーダーシップをとれるのか、これまでの様子をみていると、心もとないと思わざるをえない。
 森氏は、十分にやってきたようなことが言われているが、バイデン大統領が、科学的見地にたって開催の是非を決める必要があると述べたり、あるいは、アメリカの感染所対策責任者のファウチ氏が、日本に対して、安全に関するガイドラインをきちんとする必要があると釘を指したりしたのは、日本側の対応が、科学を軽視している、そして、安全対策が不十分であると指摘していることに他ならない。つまり、森氏のリードで行ってきたことが、極めて重大な領域で、だめ押しをされてしまったといえるのだ。
 私は、オリンピック開催に関する、極めて科学的に予測できるデータを冷静に踏まえることができる人物を選んでほしいと思う。単なるお飾りでは絶対に務まらない仕事である。
 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です