1月21日に宇都宮大学が、二次の学力試験を中止することを公表した。ホームページに出ているので詳細を知ることができるが、非常に残念だ。そもそも、大学共通テスト(以前はセンター試験)と二次試験は、異なる側面からの試験を課すというだけではなく、むしろ、理念的には、二次の学力試験のほうが重要であって、一次試験は足切りのような意味があるのだと思う。もちろん、そのように扱っているわけではないとしても、共通テストの内容でよいのならば、二次試験はしなくてもいいのだ。二次試験は、受験生が少数なので、採点をしやすく、従って、記述の問題をだすのが普通だろう。数学などで、穴埋めよりは、全部書かせる試験のほうが、実力がわかることは、いうまでもない。従って、二次試験こそ本命なはずだ。面接試験などは、オンラインで行うようだ。
メディアの報道などでは、このようなコロナ禍の状態では仕方ないという論調が多いようだが、私には、それで済むのかという疑問がある。というのは、コロナ禍が始まって、既に一年が経過している。そして、その間小中高の学校では、教育をするのに困難があったが、大学は、ほとんどがオンライン授業を実施してきた。つまり、一年間のオンライン教育の実績がある。そして、この冬は、確実にコロナの第三次感染爆発が起きることが予想されていた。とするならば、そうした感染が起きたときに、どう対応するのかは、確実に検討課題になっていたはずである。二次試験は課さないという決定をしていた大学は、いくつかあるようだ。それは、事前にそのように決定して周知させていたのだから、問題はないだろう。しかし、宇都宮大学の場合には、公表が昨日である。つまり、共通テストは既に済んでしまった段階である。これは、受験生にとっては、たまったものではないだろう。
いや緊急事態宣言が出たのだから仕方ないではないか、という見解も当然ありうる。しかし、この一年間、オンラインの活用については、大学は相当の経験をしているはずだ。二次試験で試す学力が本当に必要ならば、試験会場に受験生を集めることが困難になったら、どのような方法で可能になるかの研究・検討くらいしておくべきだったのではないだろうか。
記述式の試験は、オンラインでは不可能などということはないのだ。実際にオンラインでの論文試験などは、国際的にみれば、いくつの試験で実施されている。
要は、そういう事態が起きたらどうするかの、きちんとした検討が事前になされていなかったのではないかと思うのだ。
面接試験は、オンラインでzoomを使うということなのだが、それができるならば、学力試験も十分に可能なはずである。
もちろん、決定を覆すことはないだろうが、見解を述べておくことにした。