台風で改めてラウンドアバウトの促進を主張する

 九州は台風10号で大変な状況になっている。私は関東在住なので、被害にはあっていないが、こういう状況をみていると、やはり、いろいろとこうすればいいのに、という思いがしてくる。既に多くの人が主張しているようだが、電線の地中化が必要だと感じる。電柱が倒れ、停電になるだけではなく、倒れた電柱が他の物にぶつかって被害を拡大する。ただ地震のときどうなんだろうという心配がある。ネットで調べると、地上の電柱と地中の電線では、地震による損傷が、圧倒的に地中のほうが小さいということだ。あるサイトで示されている数字では、阪神淡路大震災のときの、架空線の被災が2.4%だったのに対して、地中線では0.03%だったという。地震に対しては、なんとなく地中にあると危険な感じがするが、実は逆なのだそうだ。台風の場合には、圧倒的に地中のほうが被災率は低いだろう。

 私の住んでいる市では、電柱がまだ健在だが、近くには、電柱のない市街地域がけっこうある。これは、こうした災害時の問題だけではなく、景観的にも広々とした感じでゆったりするだけではなく、車を運転しているときの安全感が明らかに高まる。場所をとっているのだから、撤去されれば、開放感が高まるし、ぶつかる対象がなくなるのだから、事故も減るだろう。電柱にぶつかる事故もある。
 この点については、かなり同意見の人たちが多くなっているようだ。災害の多い地域では、可能な限り転換していくべきではないだろうか。
 さて、今回の台風で感じたのは、停電すると信号機も稼働しなくなるという点だ。従来の交差点では、信号がなければ、かなり危険だろう。これを解決するのが、ラウンドアバウト方式だ。前にも書いたことがあるので、繰り返しになるが、ヨーロッパでは、ラウンドアバウト式の交差点が増えている。政策的に押し進めているからだ。ただ、その理由は、温暖化対策が主なものだが、事故が減ることも後押ししている。信号はとにかく24時間点滅しており、かなりの電気を消費するに違いない。ラウンドアバウトとは、交差点を円周に設計して、円周にはいって、出たい口から出るという方式だ。私は、ヨーロッパでずいぶん経験したが、最初は怖いが、慣れれば簡単だし、かならずスピードを落とさなければならないので、事故は起きにくい。
 私が住んでいる地域は、とにかく、道路建設ラッシュで、当然交差点も増えている。ラウンドアバウトにするためには、通常の交差点よりは、広い面積が必要だから、既存の交差点をラウンドアバウトに作り替えるのは、日本の同路事情だと難しいところがほとんどだが、新しく作る道路の交差点には、十分な広さがあるところが、少なくないのだ。それにもかかわらず、ほとんど信号付きの交差点になってしまう。まだまだ、ラウンドアバウトそのものが認識されていないからだろうか。 
 先日テレビで、混雑する県道からの抜け道で、狭いのですれ違うのが非常に難しく、トラブルの多い場所を紹介していた。どう考えても、一方通行に指定すべき道路だと思うのだが、住民の合意がないと一方通行にはできないと解説していた。本当だろうかと疑問だったが、もしそうなら、警察が交通安全の観点から、こうすべきだと判断したら、もっと速やかに決定できるように、ルールを改正すべきではないだろうか。
 警察は、交通安全の観点から、環境相は地球温暖化対策の観点から、財務省は費用軽減の観点から、ぜひラウンドアバウトの推進に努力してほしいものだ。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です