エアコンをつけられない人もいるが

 小学校の体育の授業でリレーの練習をしていて数名が、熱中症で病院に運ばれたという報道があった。2年前の校外学習の教訓は、もう忘れたのだろうか。あのときは、まだ酷暑の夏が来る前だったし、通常の一学期だったが、今日は、本来夏休み中のはずだった酷暑の日だ。そこで、外でリレーの練習をするという感覚がわからない。学校管理者は、50歳を越えている人が多いだろう。50歳以上というのは、ふたつの点で、この点での判断ミスを起こしやすい。彼等が子どもだったときには、今のような酷暑は滅多になく、夏だろうと、校庭で陸上の練習をすることは、避けるべきこととは意識されていなかった。また高齢者は、特に暑さを感じるセンサーが衰えてくるのだそうで、50代でもそういう人は少なくないそうだ。このセンサーが衰えてくると、酷暑なのに、暑さを感じないので、対応をとる必要性を感じないわけだ。あるいは、今の学校は、多くがエアコン付きなので、外の気温の感覚に鈍くなっているのかもしれない。エアコンの効いた教室の次に、酷暑の校庭に出る場合、気温のチェック等は厳重に、事前に行って、大丈夫かどうかを確認すべきだ。

 ところで、今日午後3時間ほど外出していたので、その間、私が仕事をしている部屋の温度が上昇して、40度になっていた。西側が窓があるので、何もしないと、猛暑日はこうなるのだが、いつもは、エアコンをつけっぱなしにして、かろうじて28度から30度くらいを確保している。
 今週のワイドショーは、この猛暑日をどう乗り切るかというテーマが多い。そして、とにかくエアコンを使えというアドバイスが繰り返されている。しかし、エアコンのない人はどうするのだろう。まずは買えない人がいる。あるいは、とりつけが難しい古い木造家屋に住んでいる人もいるだろう。更に、借り物権なので、勝手につけられない。あるいは、居間にはあるが、寝室にはないという人も少なくないのではないか。残念ながらは、ワイドショーでは、エアコンを使えというアドバイスはするが、こうした様々な理由で、エアコンをつけられない人に対するアドバイスは、あまり聞かれない。
 そこで、調べてみた。多少の間違いはあるかもしれないが。
 経済的に無理という人に対しては、自治体で補助金を出しているところがけっこうある、そして、現在では生活保護世帯でも、エアコンの設置は認められているということだ。従って、これは自ら動けば、解決の方法が、全員ではないにせよ、ありそうだ。
 家や部屋の状況のために、設置が難しい場合は、少なくないそうだ。室外機を置くスペースがない。あるいは、室内機を設置する場所がない等。これは解決が難しい。今後、建築基準として、エアコン設置の場所を確保することを必要条件にすることも必要ではないだろうか。もちろん、ウィンドーエアコンを設置するという手はある。
 借りている場合には、家主との関係がある。現在の状況で、借り手がエアコンを設置したいといっても、それを許可しない家主がいるのかどうかはわからないが、費用や、退出後の扱いでおりあいがつかない可能性はある。ずいぶん前のことだが、就職以前に、研究室がほしくて借りていた部屋に、家主の許可をえて、ウィンドーエアコンをつけたことがあった。快適だったが、退出のときには、置いていくという条件で許可してもらった。費用は全部自分でもった。しかし、つけたいが、全部出すこともできない人がいるだろう。
 熱中症で死亡する人の多くは、エアコンを使っていなかった人だそうだ。そのなかで、エアコンそのものがなかった人が、どのくらいいたのかは、残念ながら報告されていなかったと思うが、やはり、主に生活する部屋と、寝室にはエアコンが設置されることを、促進するような法整備が必要なのではないかと感じる。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です