PCR検査しない理由は? 聞かないNHKの解説委員

 昨日車で夕方NHKのラジオ第一放送を聞きながら運転していたら、今度新しくできた新型コロナウィルス対策の分科会の委員という人が出てきて、NHKのアナウンサーと解説委員を相手に話をしていた。運転中だったので、名前は忘れたが、分科会の委員は経済方面の担当であり、分科会で熱心にある政策を主張して、支持者を増やして提言としたいといっていた。その内容は、羽鳥モーニングショーで数カ月も前から主張していた内容で、モーニングショーでは今でも連日のように主張している。しごくもっともな議論だと思うのだが、いまだに実現していない。
 現在のコロナ対策は、感染防止と経済の運営というふたつの、矛盾しがちなことを同時にする必要があるとされている。これは確かにそうだ。しかし、その分科会の委員の人が力説していたのは、この矛盾を克服するためには、圧倒的にたくさんのPCR検査をして、陽性の人は隔離して、陰性の人が安心して経済活動をするという体制をとる以外にはないということだ。これは間違いないところだ。
 ところが、そういう話を聞かされれば、そして、コロナ関連を普段から考えている皆が思うことだが、ではなぜPCR検査は、圧倒的多数が行われないのかという疑問をもつだろう。小池知事などは、PCR検査が増えたから、感染者が増えた面があるなどといっているが、増えたといっても、1000から3000程度のことだ。1日1000から10万くらいまで拡大せよというのが、「増やすべき」という人たちの主張なので、現状ではたいて増えていないということになる。NHK側の二人は、まったくその理由を質問しないのだ。委員の人はそれを話したくて仕方ないという雰囲気なのだが、NHKの二人は、違う疑問、たとえば、結局、自粛、経済の再開、感染の拡大、自粛、というようなサイクルを繰り返さねばならないのでしょうか、などという話をもちだして、PCR検査がなされないことなどどうでもいいかのように、違う方向に何度ももっていってしまうのだ。

 今学校が再開されているが、実に厳しい労働を教師たちは強制されている。まず二部授業があるとすると、一日二回同じ授業をしなければならない。そして、体温チェック、3密対策、マスク忘れの配布、そして、頻繁な消毒などである。そして、今の状況では、なんら正常化への「基準」を示していないので、こういう体制がいつまで続くのか、まったくわからないし、どういう状況になれば、解除されるのかも知らされていない。無症状でも感染力があるということなのだから、どうしようもないわけだ。
 しかし、そういう状況でも、学校の教職員、子どもたちを全員PCR検査を、定期的に行えば、陰性だけで教育活動が可能になるから、対策などいらなくなる。プール検査(複数の検体を混ぜて検査する)を行えば、それほど大変な検査ではないということもわかっている。なにしろ、中国では短期間に1千万もの検査が可能になっているのだから。
 おかしなことは、他にもある。ヨーロッパなどで大量の検査をしているわけだが、その検査機器は日本製だというのは、知られた事実だ。なぜそんなことが起きるのか?という疑問は、ネット上にたくさんの人が書いているほどだ。大量の検査を、しかもあまり人手を必要としないで可能にする機械を、日本が作って、日本では使われず、外国で使われてて、日本のメーカーが感謝されているのである。

 当初、PCR検査が制限されていた理由ははっきりしている。新型コロナウィルスを指定感染症にしたことから、陽性は全員入院という措置になり、病院の受け入れ体制がないから、検査を制限せざるをえなかった。それは仕方ない面はあった。当初は、新型コロナウィルスに関する情報も非常に限定されていた。そして、なかなかこの体制を脱却しなかったので、一般市民のなかにも、PCR検査をすると医療体制が逼迫するから、するべきではないなどという間違った感覚が広まってしまった。
 しかし、その後、全員病院受け入れという体制を解除したので、こうした制限をする必要がなくなったわけだが、それでも、安倍首相が拡大すると国会答弁しているにもかかわらず、検査拡大は遅々として進まなかったのである。

 専門家からも検査の必要性はさんざん主張されている。ひとつは、データに基づいた政策でないと、効果はないこと、ひとつは、陽性者を隔離し、発症者を治療することによってこそ、経済が安全に営めること、それが理由である。否定しようがないことだろう。しかし、それにもかかわらず、PCR検査は必要最低限程度にしか行われていない。
 なぜなのか、そこをメディアはもっと追求する必要があるのに、追求そのものを避けているとしか思えないNHKの番組には、疑問しか感じなかった。
 
 午後になって、「ごごスマ」を見ていたから、PCR検査は何故少ないのかという問題に、珍しく切り込んでいた。ある医師が、費用の問題ではないかと語っていた。システムが変わっていなければ、検査費用を保険適用になっているが、自己負担部分も公費になっている。従って、全額公費負担で検査が行われる。しかし、これは、保険適用の部分なので、保健所等の公的管理機関を通すものであり、まったく自己の意志で行う場合で、民間検査機関に自身で申し込む場合には、より高額になる。ある検査機関のホームページによると、検査費用が38000円、証明書発行が14000円となっている。何かの事情がない限り、自発的に検査を受けるのは躊躇する人が多い金額だ。
 つまり、公費によるものは、相変わらず検査すること自体に制限がかかっており(医師が必要と認めるなども含めて)、私費負担で行う検査はかなり高額であるということになる。保険だから本来自己負担部分は、検査を受ける者が負担するのが筋であるが、世論を気にしているのか、あるいは、コントロールすることに固執しているのか。
 現在、再びこの検査数が話題になっているのは、来週から始まるGOTOキャンペーンとの関連であるが、何人かの人たちが、メディアで語っていたように、いくらキャンペーンをやっても、安心がなければ、観光に行く人は少ないだろうが、逆に安心がない状態で多くの人が行ったら、感染を拡大させることは必至だろう。安心な状態を作りだせば、キャンペーンなどなくても、観光に訪れる人は増加するに違いない。だから、安心を作りだすためにこそ、予算を使うべきである。とすれば、1兆7千億円もの予算があるのだから、もっと大々的に検査をすることは、予算がネックになっているのが事実であるならば、予算の使い道を変えるべきだろう。
 しかし、ここ1,2年の安倍内閣をみると、安倍首相が「こうやりたい」といっても、官僚が動かないのではないかという印象がある。特に、コロナ対策の補正予算の審議などを聞いていると、そう感じる。安倍首相の数々の失策の泥を被った官僚たちが、気に入らない、自分たちの利益にならないことには、徹底的に抵抗しているのではないか。もともとリッターシップを発揮して、政策を進めるような資質のある首相ではないから、アベノマスクのようなことが出てくるし、GOTOキャンペーンもそのひとつだろう。
 
 補正予算をみても、実は、隠し金のようなもの、予備費のように使い道が決まっていないものが、かなりの額があるはずだ。そういう予算を使って、「安心」を作り出す政策を一刻も早く実施すべきだ。
 そうしないと、学校の再開も、混乱状態が続く。
 途中で当初の意図とはずれた文章になってしまったが、再度、メディアは、PCR検査が大規模に行われない理由を、もっと追求すべきだ。NHKは視聴料で運営されているのだから、視聴者が知りたいことを、きちんと切り込んで明らかにする報道をすべきだ。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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