非常事態宣言の期限が近づいてきて、延長問題が今後検討されるだろう。しかし、学校の再開については、賛否両論を引き起こすような事態となっている。
まず、富山で休校中の、臨時登校日に感染したのではないかと考えられるクラスターが発生した。他方、このままでは夏休みをなくして授業をする必要があるという意見がでている。公立小中学校は、今でもエアコンのない学校が多いから、夏休みに授業することは、まず無理だろう。コロナが終息していたとしても、熱中症で危険になる。思い切って9月新学年という構想もあり、私は、それを支持しているが、現実にはその方向にいくことはないだろう。とすると、このまま無作為にいくと、3月のはじめからずっとまともな授業を行っていないまま、ずるずると休校措置が継続していくことになる。
遠隔授業の話になると、かならず家庭的な環境で不平等になるという意見が出てくる。そうすると、紙の宿題か、危険を冒して再開かという選択しかないのだろうか。私は、たくさんの可能なやり方があると思う。ただし、学校管理者が既成の概念に固執しないことが必要である。ある高校がオンライン授業を取り入れようとしたら、文科省が、face to face での授業でないと単位を認めないなどといって、禁止したという報道がある。詳細がこの通りであったかどうかはわからないが、とにかく、この種の頑迷固陋な考えが、事態を解決することを妨害していることが多々あることは間違いない。現在の学校教育に関していえば、新型コロナウィルス対策と、学習保障というふたつの課題を、同時になんとか解決しなければならないのである。このまま休校を継続して、まったく遠隔授業などもしなければ、学習の遅れはどんどん大きくなる。しかし、通常の形で再開して授業を行えば、感染の危険が増大する。
遠隔授業を実施する場合に、十分な環境にない家庭は少なくない。タブレットを支給するといっても、ネット環境が十分でなければ遠隔授業を継続的に受けることはできないわけだ。
すると、そういう遠隔授業の条件がない子どもは、登校して教室で授業を受け、条件かある者は、家庭で学習する。通常のように授業を行い、それをzoomなどで授業を受ける。質問や回答なども可能である。もちろん、登校する場合には家庭と学校で健康を厳格に行う。
遠隔授業の条件がほとんど整っていない地域では、午前と午後の二部授業でもいいのではないだろうか。あるいは、少子化のために教室がかなりあいている学校もたくさんあるから、そういう学校では、クラスを二分して授業するとか、いろいろなやり方があるのではないか。創造的に工夫して対応していく知恵が必要である。