週刊文春3月26日号に掲載された赤木俊夫氏の遺書を読んだ。売り切れていたので、アマゾンのKindle版を購入したが、既に中古本が1000円の値段がついていたのにはびっくりした。電子書籍は売り切れることがないから、諦めている人は、ぜひ電子版で読んでほしいと思う。
「妻は佐川元理財局長と国を提訴へ 森友自殺財務省職員遺書全文公開」と題する記事は、森友問題を正確に報道しようとしてNHK上層部と衝突して辞職した大阪日日新聞記者の相澤冬樹氏によるものだ。週刊文春のホームページで、2018年12月に書いた記事も読むことができる。このふたつの記事と赤木氏の遺書を読むと、本当にこの内閣、そして安倍晋三という人物の酷さがわかる。
ことの起りは、教育勅語を信奉する籠池氏が、日本会議の同志である安倍晋三を尊敬し、幼稚園経営者だったところ、小学校も設立したいと考えて、安倍氏の後ろ楯を得たいと思ったことにある。安倍内閣を批判するために、籠池氏を持ち上げるひとたちがいるが、彼は彼で犯罪的な行為をしているし、いまどき教育勅語の精神に則った学校を作るというアナクロニズムの人物である。本当は安倍晋三氏に名誉校長になってほしかったのだろうが、さすがにそれは実現せず、安倍昭恵氏が名誉校長になった。そのことが、打出の小槌のような機能を発揮し、土地購入で信じがたいような便宜が図られる。その便宜自体が、既に財務省による犯罪的な行為であった。しかし、それはほとんど誰にも気づかれず、ことが進行するはずだったが、ある市議が売却された国有地の金額の開示請求をしたことによって発覚した。この時点で、財務省が過ちを認め、軌道修正していれば、その後の大騒動はおきなかっただろう。安倍昭恵氏が名誉校長であることは、直ぐにわかることだから、国会で取り上げられたとき、安倍首相が、「もし、私や妻が関わっていたら、総理大臣だけではなく、国会議員も辞める」などと大見得を切ったことが、その後の混乱を引き起し、最終的に、辻褄あわせの公文書改竄という犯罪が行われ、関わるように強制された赤木氏が自殺に追い込まれたわけである。
こうした一連の動きをみれば、昭恵氏が関係しており、安倍首相の大見得発言のために、財務省が犯罪でもある公文書改竄をしたことは明らかになっており、国民の前で明言したのだから、安倍首相は国会議員を辞めるべきである。
もちろん、辞めるはずはないだろうが、しかし、自分の軽薄な発言が原因で起きた、一人の死について、どう思っているのだろう。おそらく何も感じていないだろう。以前、政治権力者は国民の死などに、無神経でいられるようでないと務まらないのかも知れない、と書いたのは、このときの安倍首相についても念頭にあった。それでも、国会議員や新聞記者は、首相に質問し続けてほしいものだ。どう思っているのかと。
この記事を読んで、これまであまり意識していなかったことがあった。それは、赤木氏も検察に呼ばれて、いろいろ聞かれたわけだが、検察に関してもかなりの恐れをいだいていたことだ。検察の特捜部は、国有地と改竄の両方を捜査していたようだが、赤木氏は、改竄に関与していたから、自分が責任をとらされるのではないかと恐れ、既に精神的に参っていたが、検察の捜査によって、精神が壊れてしまったようだ。しかし、検察は一切起訴することなく、捜査を終えてしまった。
今年の検察官の定年延長問題などをみると、このときも、特捜部に対して、かなりの圧力があったのかとも疑ってしまう。
普通疑獄事件を起こす内閣は、「闇が深い」などと言われるものなのだが、この内閣の闇は全然深くない。闇となる部分が直ぐに照らされてしまうからである。嘘が照らされているのに、それを認めないまま、生き延びている。なぜなのか。