思いもかけず、定年が一年延び、今年の3月で定年退職することになっているが、授業としては今日最後の授業をしてきた。最後は、「国際社会論」で、インターネットの国際社会に与えた影響について扱った。あまりにたくさん教えるべき内容があり、やはり時間が足りなくなってしまったが、学生諸君も日々活用しているツールだから、いろいろと考えてくれるだろう。
最後に、AIが職業をなくしていく、というよく言われることに対して、どう対応していけばいいのか、ということを強調して終わった。これは、教育研究者としては、とても大事なことで、いろいろな機会にいってきた。
AIが職業を半分くらいなくしてしまうということは、半分くらいの人々がその仕事を奪われるということだ。また、職業がなくならなくても、仕事の有り様がすっかり変わってしまうということも起きうる。そういうときには、新しい事態に対応できる能力や資質か不可欠となる。今後の教育としても、そうした新しいことへの対応力の育成がとても重要になるわけだ。しかし、そんな能力や資質はどうやって教育することが可能なのだろうか。
私の考えはこうだ。
それは、困難な事態を自分で克服する自信をつけることが必要である。では、そういう自信はどうやったらつけることが可能なのか。それは、自分の好きなことを、極限まで徹底して挑戦することによってである。極限まで徹底してやると、なぜ自信がつくのか。それは、極限までやる過程で、かならず何度かの大きな壁にぶつかる。極限までやるということは、その壁をなんとか乗り越えることを、繰り返すということだ。そこで挫折しないためには、それが好きなことであることが必要だ。嫌いなことだったら、最初あるいは二度目の壁で放棄してしまうだろう。そうやって、壁を乗り越えることで、自分は困難を克服できるのだ、という自信をついていくはずである。
それからもうひとつある。定期的に、それまでやったことがないことに挑戦することだ。私は10年にひとつ、新しいことを始めるということを自分に課しているし、また、学生に勧めている。
このふたつを実践すれば、社会の大きな変化が自分に降りかかっても、あわてず、それを乗り越える対策を考え、実行できるに違いない。
そういうことを教えて、講義を締めくくった。
今日は時間がないので、短い文章で失礼する。