子どもの貧困

今回私が子どもの貧困について調べたいと思った動機は、子どもにとっての人間の尊厳が失われるとき、一番に仕方なく奪われてしまう原因は貧困によるものだと思ったからだ。生まれた時から貧困家庭にいる子もいれば、途中で貧困状態になる子もいるだろう。しかし、これらは子どものせいではないし、子どもがどうにかして改善できるものでもない。確かに、貧困だからといって幸せではない、というわけではないだろう。しかし、人間としての尊厳を奪われる機会は多いはずだ。

貧困について調べてしたところ、厚生労働省の調査では2009年の「子どもの貧困率」は15.7%となっており、約6人に1人が貧困状態と言われている。子どもの貧困とは、等価可処分所得の中央値の50%以下の所得で暮らす相対的貧困の17歳以下の子どもの生活状況を言い、一般的な水準の半分にも満たない水準で暮らしている子どもたちがどれだけいるのかということを指している。つまり社会がますます豊かになり、一般的な水準が上がっていくのに対して、その水準から落ちこぼれてしまっている子どもたちが、実に6人に1人の割合がいるということになるのだ。

さらに、母子世帯においては、66%が貧困となっており、一人親家庭に対しての社会保障が十分に追いついていない現状もうかがえる。

私はこれらより、貧困をいくつかに分類し、現代にはどのような貧困があるのかしらべてみようと思っている。例えば、経済的貧困ではなく、心の貧困であったり、経済的貧困の中にも、東日本大震災で被災して収入や資産を失った等の理由や、生まれたときから貧困家庭だった、 両親が病気などで働けなくなった、など、様々な貧困があるだろう。

そして、貧困から生まれる様々な格差がどのようなものであるか、どう子どもに影響しているのか調べ、最終的には、貧困は子どもたちにとって人間の尊厳をどれほど奪っているのか、改善策や貧困児童の保護について考えていきたい。

調査方法は、週に1回通っている小学校の校長先生や教頭先生に、実際の子どもの貧困状況やそれからうかがえる子どもの様子などについてインタビューしたい。また、アスポートという貧困状態にある子ども達をサポートする団体にインタビューしたり、その子たちと関わることができたらコミュニケーションをとりたいと考えている。また、ネットや文献も利用していく。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。