春学期行ったこと「特別活動について」

「環境としての人間」というゼミテーマのもと、「学級・授業」というグループ内で研究を進めることにした。

ゼミ開始当初は、児童ひとりひとりの能力の差が激しく現れる「体育」や、近年苦手意識が高い児童が多いとされる「理科」などといった教科に注目し、「授業の良し悪し(環境)により、子供一人一人の能力向上にどのような変化があるのか」、「子供一人一人が持っている能力の最大限を引き出すために、教師はどのような授業を行っていくべきか」を研究テーマとして掲げた。

そこで「学級・授業」グループにおいて、上記に挙げた「能力の上がる授業作り」について議論を行った。その結果から、それぞれの教科で「苦手」という意識を持たせないことが大切であり、児童が興味を持つような授業を行っていく必要があると考えた。そのためには「クラスには得意な子と苦手な子の差」があるということを把握し、クラスを幅広く見渡しながら授業を進めなければならないことを再認識し、まずは児童ひとりひとりの個性や能力を理解するべく「クラスの学級づくり」に目を向けた。

学校にいる間のほとんどの時間を占める授業は常に子供との意思疎通で成り立つ。その授業を充実させるために、子供同士の人間関係、グループ性を把握しきれていれば、アドバイスやよい計らいを促すことができる。また、困ったことがあればよき理解者にもなれる。クラス全体を見渡し、顔色の変化、子供達どうしの歪を見逃さないようにすれば、いじめも防ぐことができると考えられる。

このように日々担任としてクラスを見ていく中では、多くの発見がある。同時に、担任として児童を正さねばならない場面に遭遇することも少なくない。このように、学校や学級における問題改善のための基盤としての生徒指導の場が「特別活動」の場であるのではないかと考えた。

 

特別活動とは、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の教育課程に設けられた領域の一つであり、学校教育法施行規則第50条においては「小学校の教育課程は、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭及び体育の各教科、道徳、外国語活動、総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものである」と定められている。特別活動は、各教科に肩を並べ、小学校の教育課程を編成する大きな役割があり、重要な教育であることが分かる。

特別活動の主な目標は、「望ましい集団活動を通して、自主的・実践的な態度を育成するとともに、自己の生き方を深め、自己を生かす能力を養うこと」と学習指導要領にはある。

しかし、特別活動には、「学習指導要領において学習活動の内容の指示だけにとどまり、子供達自身の能力目標があいまいであること」「指導にあたっての教科書がない」といったことが課題として指摘されている。また、「授業計画が学級担任の裁量に任されているため、各教科の時間確保が優先される」ことも問題とされている。

「子供の成長に役立つような、よりよい人間関係を構築するための特別活動のあり方」「教師は各教科の指導力のみではく、特別活動の役割を踏まえ授業をどのように組み立てていくべきか」をテーマに研究を進める。その根本的な知識として特別活動のそれぞれの区分、「学級活動」「児童会活動」「クラブ活動」「学校行事」における目標と内容を以下にまとめる。

 

学級活動は、「学級活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し,諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度や健全な生活態度を育てる。」ことを目標としている。内容は学級を単位とし、仲間同士で協力・信頼し合い、豊かな学校生活を送るとともに、日常の生活や学習に自主的に取り組もうとする態度の向上に資する活動を行うことである。

児童会活動は、「児童会活動を通して,望ましい人間関係を形成し,集団の一員としてよりよい学校生活づくりに参画し,協力して諸問題を解決しようとする自主的,実践的な態度を育てる。」ことを目標としている。内容は学校の全児童をもって組織する児童会において,学校生活の充実と向上を図る活動を行うこととされる。

クラブ活動は「クラブ活動を通して,望ましい人間関係を形成し,個性の伸長を図り,集団の一員として協力してよりよいクラブづくりに参画しようとする自主的,実践的な態度を育てる。」ことを目標としている。その内容は、学年や学級の所属を離れ,主に第4学年以上の同好の児童をもって組織するクラブにおいて,異年齢集団の交流を深め,共通の興味・関心を追求する活動を行うことである。

学校行事は「学校行事を通して,望ましい人間関係を形成し,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養い,協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てる。」という目標が掲げられている。内容としては、全校又は学年を単位として,学校生活に秩序と変化を与え,学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこととされる(文部科学省ホームページより一部参照)。

特に、「人間関係」の形成を図るために指導していかなければならない「学級活動」においては、「学級活動で学んだことを各教科等や朝の会等の他の教育活動で定着を図ること」「学級活動の授業の終末における振り返りの充実」「学級活動の授業に対して児童が意欲的に取り組めるように学級集団の状態に応じた工夫を行うこと」が重要な点として挙げられる。

 

以上が春学期期間で学習した結果である。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。