高速道路の速度制限 120キロにすべき

 先日ドライブに出かけて、高速道路を走っていたところ、制限速度が120キロという区域があった。それもけっこう長い区間だった。120キロで走ることが、実に快適だったので、制限速度について考えてみた。
 日本は長く、80キロという時代がつづいたが、少しずつ速くなり、現在は、原則100キロということになっていて、区間的に110にしたり、120にしたりしている。
 国によって制限速度は違う。現在はまた異なっているかもしれないが、私が走っていた30年くらい前では、オランダが120(区域でかなり細かく指定していた)、デンマークは110、ドイツが指定区域以外は無制限だった。イタリアにも無制限区域があった。
 ドイツのように無制限がいいとは、私自身はあまり思っていない。ドイツの高速道路は、ヒトラーがつくりはじめたもので、非常に古い部分も多く、合流車線が短かったり、見にくかったりする部分も多いし、さすがに200キロくらいだせば、制御も難しくなる。オランダに住んでいたためか、ドイツの高速道路は事故が多かった記憶がある。しかも複数台がからむ事故が多かった。

 
 それに対して、オランダの高速道路は非常に運転しやすく、かつ事故が少ないと感じた。そして、速度が120キロなので、スムーズに流れていく。オランダの高速道路の特徴は、合流路線が非常に長く、また、高速道路に入る前の道路から、高速の混み具合がわかりやすく、視界が開けているので、非常に合流しやすいのだ。車線の幅も広くとってあるので、これも運転しやすい要素になっている。
 そして、重要なことは、制限速度は、そのとおりに守る必要があることだ。オランダの高速道路には、速度監視装置が随所に設置されていて、制限速度を超過すると、間もなく通知が郵送されてきて、罰金を払わねばならない。私も一度ひっかかった。なにかの事情で、120キロ制限が80キロ制限に変わった区域で、十分に落とさなかったために、8キロオーバーだというのだ。争っても仕方ないので、罰金を払ったのだが、たまたまそこで鼠取りが実施されていてひっかかったというのではなく、そこを通る車には、いつでも、すべての車に平等に適応されている仕組みだから、素直に受け入れることができた。
 
 日本では、かなり一般的に、制限速度は10キロまでオーバーしてもよい、という通念が広まっているし、また、制限速度を20キロオーバー程度で走る車が圧倒的に多い区域(高速道路ではなく)が、たくさんある。そして、ある日突然警察による取り締まりが行なわれ、どんどんオーバーの車が捕まるわけだ。普段と同じように運転しているのに、そのときだけ運が悪かったという、反省というよりは、悔しさが強く感じられてしまう。私自身は、幸いなことに、鼠取りにひっかかったことはないのだが、経験者の話では、ほとんどが「運が悪かった」である。
 
 ルールは、そのままに守る、違反したら規則による罰を課す、ということを、きちんと公正に実施することが必要だろう。少しはオーバーしてもいいのだとか、ときどき取り締まりをするというのではなく、この区域は、何キロ以内で走行しないと、実際に危険である、という区域には、速度監視装置を置いて、違反した車は、郵送で罰金通知をだせばいいのだ。そうすれば、人件費もかからないし、ほぼすべての車が、制限速度内で走行するようになる。目的は罰金の集金ではなく、交通事故を減らすことなのだから。
 そうして、実際に安全な範囲で、速度を設定すべきである。高速道路の場合、多くは、120キロ程度で快適、かつ安全に走行できる。先日の経験では、ほとんどの車が110~120キロで走っており、非常に安定している。特別遅い車もないので、流れじたいがとてもスムーズなのだ。そして、前の車が120で走っていれば、追い越す余地はないし、必要もない。115キロ程度なら、120キロ程度で追い越すことが可能だ。
 
 制限を守る慣習が確立すれば、100キロでもいいではないかという意見があるかもしれない。しかし、高速道路を使っている車の多くは、営業用であり、とくに貨物を運んでいるトラックなどは、速度が速くなれば、それだけ短時間で運ぶことができるのであり、仕事の効率が格段によくなるわけだ。今後物流はトラックに頼る部分が多くなるわけだから(そのことの是非も問題ではあるが)、物流効率をあげることも重要なことだ。10時間かかっていたものが8時間になれば、休息時間もとりやすくなり、より安全運転ができるわけだ。原則120キロで、それでは危険なところをより遅い設定をすれば済むことだ。そして、速度違反に対しては、常置の監視装置により行い、すべての車を監視して、違反者には罰金をかせばよい。これは一般道路に対しても同様にすべきであり、鼠取りなどはするべきではない。そういう人員は、より重要な警察機能に使ってほしいものだ。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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