認知症に携わる人々の尊厳とは?

私たちのゼミのテーマが「人間の尊厳」に決まった。私の考える人間の尊厳とは、簡潔に述べると、人間が人間らしくいられることだと考える。私たちが不自由なく何気なく生活していることは尊厳が確立されていると思う。

今回のゼミのテーマでは人間の尊厳を侵されている人々に焦点を当てる。身体やメンタルなど様々な視点から侵されている人を予想することが可能である。

私が脳裏に「“認知症”の方々は尊厳を侵されているのではないか」と浮かんだ。実際に私の祖父が認知症の症状が少しあり、その援助をしている祖母も見ていたのでより一層調べてみたいと思った。認知症は加齢と共に発達していた機能が低下することである。例えば記憶能力の欠落から物忘れが激しくなること、寝た事を忘れ睡眠障害になってしまうことなどが挙げられる。完全に認知症の人々は何も考えないで生きているのでそもそも尊厳の確立すら意識することがないと予測出来る。 自分の思い通りに行動出来なくなってしまったりすることは、「人間の尊厳を侵されている」ということに合致すると予想した。

私は今回のゼミで調べていく方針として、もちろん認知症の症状や実際に認知症である人々もそうであるが、認知症に援助している側にも焦点を当てて追求していきたいと思う。

認知症の援助をしている人は自分の時間を奪われていることになる。そうなると、援助している側にも尊厳を侵されている可能性が出てくると考える。

具体的な調査内容としては認知症の人の尊厳を確立する為にはどのように援助すべきであるか。認知症の方の援助をしている周りの人はどのようなアプローチをしているのか。また、援助の疲労やストレスから援助の疎遠が伺われるのかどうかなど。

調査方法については母が介護保険の認定調査の仕事に携わっていることから認知症の方々の実態や家族援助について詳しく聞きこみたいと思う。認知症の方々や家族のプライバシーの保護の為、仕事を拝見したりすることが困難であるようなので、インタビューで出来る限りの事を答えてもらいたいと思う。また実際に認知症の居る老人ホームなどに訪ねる事が出来ればいいと思う。

また、認知症をテーマにした映画がいくつかあるようなので鑑賞し、文献で調査するなどして少しでも認知症の援助について感じることがあればいいと考える。

将来、認知症になる可能性は誰にでもある。そんな時人間が人間らしくいられる為にこのテーマを徹底的に追求していきたいと思う。

 

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。