夏休みにおこなったことー「都会と田舎の子どものちがい」ー

私はこの夏休み、ゼミの課題として、自分のテーマである「都会と田舎の子どものちがい」についてのインタビューを行った。

インタビューの内容は次の通りである。

1.あなたが思う都会と田舎の定義とは。

2.あなたは自分のことを都会出身者だと思うか、それとも田舎出身者だと思うか。

3.あなたが昔過ごしていた(あるいは今現在も過ごしている)環境に満足していたか。

どんなことに満足していたか。不満だった場合はどういった事に対して不満だったか。

4.その環境がもっとこうだったらと思うことはあったか。それはどのようなことか。

5.もしあなたが自分が過ごした環境でない場所で育ったとしたら(田舎で過ごした場合は都会)、今とは異なった自分になっていたと思うか。

6.あなたは都会出身者と田舎出身者とで、性格や価値観の違いは生まれると思うか。また、そういった経験をしたことはあるか。

7.あなたは都会の子どもと田舎の子どもで違いはあると思うか。

8.都会の親と田舎の親の違いはあると思うか。

9.あなたは将来、都会と田舎のどちらで家庭を持ちたいか。

以上がインタビューの内容である。

次にインタビューの回答例を述べていきたい。

今回のインタビューには16人の方々が協力してくれた。

1.都会の定義については、交通が便利、ビルが多い、山がない、競争が激しいといった意見が出た。また、矢印の指向が中へが都会、人が住み着くのが都会と答えてくれる人がいた。一方、田舎の定義については、自然が多い、山が多い、交通が不便、知り合いが多い、人がマイペース、昔住んでたところが田舎、といったような意見だった。また、矢印の指向が外へが田舎、人が流出していくのが田舎といった意見もあった。

2.インタビューはすべて地元で行ったので、協力してくれた方々はすべて田舎出身者である。

3.「自分が子どものころに過ごしていた地域に満足していたか」について聞いたところ、ほとんどの人が満足していたと答えた。自然が好きだし、思い切り遊ぶことのできる公園もあった。子どものころはお金を使った遊び(カラオケやショッピングなど)というものを知らなかったので、そもそも不満はなかったという。

4.「住んでいた環境がもっとこうだったらと思うことはあったか」という質問に対しては、多くの人が、電車がないのが不便だと答えた。どこかに買い物費行くためには、車で行くしかない。だから買い物に行くときはいつも親と一緒だったという。他には、坂が多いので自転車で移動するのが嫌だった、家の近くに大きなショッピングモールがほしかったといったことを話してくれた。また中には、友達もいるし思いっきり遊ぶ場所もあったので不満などなかったという人もいた。

5.「もしあなたが自分が過ごした環境でない場所で育ったとしたら」今とは異なった自分になっていたと思うかという質問に対しては、すべての人が異なった自分になっていたと答えてくれた。もし都会で過ごして大人になっていたら、便利すぎて苦労を知らなかった。人と接する機会は多いだろうが、関係は浅いものが多く、本当の友達も少ないと思う。季節の変わりに鈍感で、心が豊かでない。そのほかには、ギャルになっていた、今より親切ではなかったと思うといった意見があった。

6.「あなたは都会出身者と田舎出身者とで性格や価値観の違いは生まれるか」という質問に対しては、ほとんどの人があると思うと答えてくれた。多くの人は金銭感覚が違うと答えた。どこかで休憩するときに、田舎では公園とかで休むが、都会の人たちはお金を出してファミレスやカフェで休むことが多い。そもそも田舎にファミレスやカフェなんてないので、都会に出たとき驚いた、と答えてくれる人がいた。その他には、田舎は競争を知らない子が多く、将来も地元で暮らしていけばいいと考えている子が多い。一方都会の子は、常に競争を強いられており、周りがすごいから自分も頑張らなくてはというように、自分に余裕がない子が多い。また、都会の子は将来を常に考えていて息苦しい、人が冷たいイメージがある、と答えてくれる人もいた。

7.「あなたは都会の子どもと田舎の子どもで違いはあると思うか」について聞いたところ、あると答えた人と、ないと答えた人はちょうど半分くらいだった。まずあると答えた人は、都会の子どもは学校に行くとき大人たちと混じって電車などに乗っていることから、田舎の子どもと比べるとしっかりしているイメージがある。都会の子は田舎のこと比べると、友達間での接し方が強いと答えてくれる子もいた。また、田舎の子どもは人懐っこいが、都会の子は興味がないものには全く興味を示さず、休み時間も友達と遊ばず本を読んでいる子が多いという意見も出た。一方ないと答えてくれた人は、今は昔と比べてもだいぶ近くなってきている、遊びの違いは都会と田舎であるとは思うが、携帯を使ってゲームをする姿は都会でも田舎でもよく目にするという。また最近では、田舎の子も外で遊ぶ姿をあまり見なくなってきたという。

8.「都会の親と田舎の親の違いはあると思うか」という質問をしたところ、あると答えた人が多かった。田舎の親は伸び伸び子どもを育てているが、都会の親は自分の理想を子どもに押し付けがちであると答えてくれた。また、田舎の親は親同士がお互いをよく知っているし、子どものことも同じである。田舎では地域で子どもを育てることができる。しかし、都会の親は個人で子どもを育てているという。

9.「将来都会と田舎のどちらで家庭を持ちたいか」という質問に対しては、一人を除いて他全員が田舎で家庭を持ちたいと答えた。自然あふれる田舎で心豊かな子を育てたい。また、田舎は不便だが、その不便さも良さであるから子どもにもわかってほしいという人もいた。その他には、田舎ならではの伝統や祭りに携わり、一生をその地域の人たちと関わっていきたいからと答えてくれる人もいた。また、生まれ育った土地がいいから、都会は怖いから田舎で暮らしたいという人もいた。しかし、ほとんどの人が答えてくれたのだが、子どもには一旦都会に出てほしいと答えていた。その理由は、田舎にずっといただけでは、考えが狭くなってしまうから、選択肢が狭いままであるからということらしい。一方、都会で家庭を持ちたいと答えた人は、子どもが選べる将来が都会のほうが増えるため、都会で家庭を持ちたいと答えてくれた。

以上がインタビューをまとめた内容である。

今回自分のテーマについていろいろな人にインタビューをしてみて、自分では考え付かないような考えを他の人から聞けたのでとても勉強になった。なかでも一番驚き、その通りだなと感じたのは、「都会は矢印の指向が中へ、田舎は矢印の指向が外へ」という都会と田舎の定義である。都会の人びとはもっと中へを求めるが、田舎の人びとは新しいものを求めて外へ矢印を向ける人が多いように感じる。それに応じて、田舎の人口は流出していく。一概には言えないが、つまり人口が流出していくということは、その土地は田舎なのかもしれないと考えることができる。

5番目の質問の「もし自分が今とは異なった地域で育ったとしたら、今とは異なった自分になっていたか」についてだが、多くの人が「異なっていたと思う」と答えてくれた。また、6番目、7番目の質問の答えからしても、育つ環境というのは子どもにとって大きな影響を与えるということがわかる。その土地の伝統や価値観などが、そのまま子どもに伝われば都会と田舎の子どもは異なってくると思う。」交通量が少ないことや周りに自然があふれていることが特徴の田舎」と、「交通に不便はなく苦労はしないが周りに自然がないことが特徴の都会」とでは、そこに住む人たちの性格も価値観も異なってくるだろう。また、周りにそういった人たちが多ければ、それが子どもにも影響してしまう。これはインタビューの質問6である人が答えてくれた「田舎は競争が少ないが、都会は競争が多い」の内容でも同じことが言える。田舎では「競争が少ない、争い事があまりない、受験をしない、将来をあまり考えない」といった子が多い。しかし都会では「常に競争をする社会である、小学校から受験をする、将来のことを考えざるを得ない」という子が多いのが現実であろう。都会にそういった風潮があるのなら、親はそれを子どもに押し付け、個人で子どもを管理するようになってくる。一つの小さな影響を都会は大きな渦のような影響にしてしまうのではないかと私は思う。そしてその影響に一番敏感なのは子供ではなく親ではないだろうか。子どもは自ら競争するのではなく、最初は親に押し付けられて競争を覚えるのである。そういった流れが田舎には少なく、都会には多いということである。

今回は田舎出身者の人のみのインタビューになってしまったので、少し内容が偏ってしまっているかもしれない。今後の課題としては、都会についての文献を読み都会の特徴をつかみ、インタビューについても、都会出身者に対して行っていきたいと思う。

また今回、中学生に対してインタビューを行ったのだが、多くの中学生が「想像したことがない、経験したことがないのでわからない」といった回答が多かった。このことから、小学生も似たような回答が返ってくることが予想できるため、今後は小中学生に対してインタビューは行わないか、または、より分かりやすい内容を用意してインタビューをするかのどちらかにしようと思う。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。