男の日傘

 突然やってきた割には、毎日続く危険な猛暑、そこでテレビでもさかんに猛暑が話題になっている。例によって羽鳥モーニングショーでも、どのように酷暑を防ぐかがテーマになっていたが、そのなかで、男性が日傘を、ということが言われ、健康オタクの玉川氏が、自分は日傘をさしているといっていた。
 実は、私は2005年に、「男性も日傘を」という文章をブログに書いていた。短いので、全文引用しておきたい。
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 また暑い夏がやってきます。毎年、というより、中高年の域に達してからはということですが、「男も日傘をさせないのか」と思うのです。私は健康のためもあり、家から駅まで出勤のときには歩くことにしています。片道30分かかります。途中の道はだんだん開発されつつあるのですが、まだまだ緑が多くとても気持ちがいいので、歩くのは苦になりません。でも、やはり、その間日光を強く浴びるので、汗ぐっしょりになってしまいますし、最近は紫外線の影響なども言われているので、日傘をさしたいと思うのです。しかし、男で日傘をさしている人はまずいないし、また、男用の日傘もありません。
 日傘をさすのどうだろうか、と周りの人に聞くと、決まって馬鹿にされます。たまに「いいんじゃない」という人もいますが、まあ、男なのに日傘かなんて、という反応ですね。

 みなさんはどう思われますか?
 男も健康のために、そして、太陽の下でも歩きやすいように、日傘をさしましょう。
 そして、メーカーはぜひ男用のひがさを売り出してほしい、そう思うのですが。2005.5.26
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 20年近く前だ。このときには、こんなことを考える人は、ほとんどおらず、家族にも日傘をさすことを反対されたほどだ。だから、私自身が日傘をさしたことは、数回しかない。それに、さすがに高齢者になると、駅までバスで行くことが多くなったので、外歩きの機会が著しく少なくなった。それで、あまり必要性も感じなくなったのだが、さすがに、先日の酷暑のなかで、片道40分ほどかかるショッピングモールに出かけたときには、日傘をもってくればよかったとは思った。コロナのせいで、すっかりステイホームが習慣化してしまったために、日中歩き回ることがなくなったが、やはり、男性も日傘を気軽に使えるようになることは重要だと思っている。
 このブログを書いたとき、一番の反応は、傘メーカーからメールをもらったことだ。男性の日傘推奨の文章を書いてくれたことへのお礼と、男性用日傘がありますよという宣伝も兼ねていた。しかし、当時は男性が日傘を使うことは、まったくといっていいほどなかったので、一本一万円もするということで、さすがに購入は躊躇してしまった。
 
 最近ジェンダー平等論がさかんに提起されているが、男性に対する問題意識が、逆に欠落していることを感じることも多い。
 育児休業を男性がとりにくいことも、個人の意識というよりは、社会や企業での感覚が制約している面があるに違いない。
 酷暑のときには、他にも男性に不利なことがある。我が家の近くに中学があるのだが、いまでも黒地の長ズボンが制服であり、女子はスカートなので、男子にとっては、今はかなりきついのではないだろうか。
 ところが、冬は逆転して、女子はあいかわらずのスカート強制だから、いかにも寒そうだし、健康に悪いはずだ。こういう融通のなさは、どこからくるのだろうか。さすがに、冬の女子の制服でスカート強制をやめる動きもわずかにあるが、基本は、「制服」なるものを採用する文化に問題があるともいえる。自由に、自分の都合にあわせて快適な服装を認める文化であれば、男性の日傘も抵抗がなくなるはずである。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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