毎年、車に閉じこめられた幼児が、熱中症で死亡する事例が少なくない。以前は、親がパチンコに熱中し、子どもを駐車場の車のなかで待たせていた間に、死亡してしまう例が目立った。パチンコと子どもの放置ということで、親への非難が主な報道内容だった。奇妙なことに、毎年繰りかえされていたことだ。パチンコとは、それほど中毒性の高いものなのだろうか。
ところが、今年は、そういう報道は目立たず、むしろ、別の理由での放置が原因で死亡する例が目立っている。例えば、二人の子どもを連れて帰宅した母親が、最初年上の子どもと一緒に、マンションの自宅に戻り、しばらくして車に戻ったときには、下の子どもがぐったりしており、病院に運ばれたが死亡したという例があった。報道では、その母親は普段から子どもを放置しており、そうした面が表れたので、決して偶発的なものではないという意見もあったように思う。私の感覚では、2人一緒が無理なら、普通は小さな子どもを先にするのではないだろうか。真実はわからないが、今度は、保育園での事故だ。
子どもが園のバスで帰宅するので、迎えに出た母親が、子どもがいないことに気づいて、園に連絡。園が探したところ、別のバスにぐったりした子どもがいて、既に亡くなっていた。そして、朝、園長が運転する園のバスに乗って、保育園に向かったが、運転手の園長と補助員が、ともに、この子どもがおりていないことを確認しないままに、バスに鍵をかけて、園内に入ってしまったらしい。そして、その後、母親に言われて探し、発見するまで気づかなかったわけだ。
かなり信じがたい事故である。
私が一番理解できなかったのは、バスから降りなかったことを確認し忘れたことまでは、人間やることだから、ある意味仕方ない面もあるかも知れない。それでも、乗せた人数と下りた人数が一致するかどうかを確認しないのだろうかと疑問ではあるが。
もっとも腑に落ちないのは、朝の保育が始まったときに、子どもたちがいるかどうか確認しないのかという点だ。学校であれば、毎時間の授業で、開始時に出欠を確認する。そして、連絡のないままの欠席者に対して、直ちに学校から保護者に連絡がいくことになっている。これは、私が知る限りは、ほぼ確実に実行されている。これにあたる行為を保育園は、しないのだろうかということだ。
保育園に登録されている子どもは、膨大な人数ではない。せいぜい数十人だろう。それを少なくない保育士や運営者で見ている。当然、いるべき子どもがいなければ、何かあると思って、保護者に連絡したり、あるいは探したりするのではないだろうか。
それとも、とにかく、バスを運行し、乗った子どもを預かり、名簿にある子どもがいるかどうかはチェックしないことが、保育園では普通なのだろうか。まさか、まだ小さい子どもたちだから、区別などつかないということはないだろう。亡くなった子どもは、5歳なのだから、十分に識別可能なはずだ。
再度学校に戻るが、学校にとって、出欠管理は、学校管理者にとって、もっとも重要な事務であり、確実に数値を一覧にして、教育委員会に報告しなければならない。そして、教育委員会は文科省に報告することになっているはずだ。そして、それを集計したものが、「学校基本調査」に集約される。長期欠席や不登校などの実態把握に不可欠だからである。
保育園にはそうした報告システムがないのかも知れないが、それでも、いるべき子どもがいるかどうかの確認は、安全のために第一に必要になることではないのか。それを怠っていたから、今回のような事故が起きたことは明らかだ。園のうっかりミスとは言えない。