人間の尊厳

人間の尊厳私が人間の尊厳はなんであろうか、と考えた時、一番はじめに思い浮かんだことは、誰もが平等にもっている人間らしく生きること、であった。それはいつどんな時も存在するもので、周りから影響を受けないものである。人によって価値の大きさが異なったり、時や場所によって変化するものではない。

私は今まで人間の尊厳のことを考えながら生きてきたことはなかった。きっとそれは、私はそれなりに幸せに人間らしく生きてきたからである。

人間らしさとは、朝ふとんの上で目が覚める、ごはんを食べる、お風呂に入る、学校にいくと極めて当たり前のことが当たり前にできることであると考える。

しかし、それら生活する上で人間らしい生活ができなかったり、人間らしく扱われない人たちが世の中にはたくさんいるのだ。

 

そのように、人間の尊厳が尊重されず失われてしまうのは、一体どのようなことが原因なのか考えた時、一番に貧困によるものが頭に上がった。貧困はそこから多くの人間の尊厳を奪ってしまう。経済的余裕はもちろん、衣食住、睡眠、清潔さ、、、考えたらきりがない。

貧困の度合いのばらつきはあるが、貧困によって人間らしく生きることができない人は沢山いるのだ。

そして、その中には子どものことも含まれている。もちろん子どもたちにもその権利はあるが、子どもたちの方が仕方なく自分の責任でなく、奪われてしまうことがあるのではないだろうか。

私がこどもの貧困に関連する本を読んで最も痛切に気に感じたのとは、貧困は連鎖するということだ。例えば、親に経済力がなく貧困状態であれば、子どもは生まれた時点で貧困状態がスタートラインとなってしまい、次第に他の子どもとは差がつき、将来も苦しい生活を送るというものだ。

子どもは親を選べないのは当たり前であるし、貧困家庭に子どもを育てる権利がない、ということになってもおかしな話であるとは思う。しかし、親の貧困連鎖によって、寝るところもない、食べ物もたべれない、お風呂も入れないなどの、人間の尊厳がほぼないという状態で一生過ごすかもしれない子どもたちのことを考えると、私はかわいそうで仕方が無い。幸せなこともあるだろうが、きっと辛く悲しいことの方がたくさんあるだろう。

 

このような貧困児童を減らすためには、やはり貧困の連鎖を断ち切るしか方法はないと思う。その方法を探すため、今の子どもたちはどのような貧困状態におかれているのか知るため、今後自分なりに調べ活動していきたい。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。