前回、ロシアが被ってきた被侵略の歴史を理解しておく必要があることを書いたが、別の歴史の理解も必要である。それは、戦後、大国が小国に侵攻して、勢力下におこうとして成功した事例は、ほとんどないということだ。代表的には、アメリカのベトナム、アフガニスタン、イラク、ソ連のアフガニスタンなどが代表的な失敗事例といえる。今回の当事者がロシアである点でも、ソ連のアフガニスタン侵攻を思い出しておく必要がある。
アフガニスタンで、社会主義政権が成立したが、そのうち内部分裂が起こり、大統領タラキと副のアミンとの対立が激化、ソ連に忠実だったタラキが暗殺され、ソ連が軍事侵攻し、アミンを殺害、その後泥沼化し、アルカイダなどのテロリストが勃興、そして、タリバン政権となる。ソ連は敗北し、そのままソ連崩壊へと突き進むことになった。アフガニスタン侵攻については、ソ連中枢内部でも反対論も強く、激論が交わされたようだ。タラキは、強くソ連軍の出撃を要請していたから、殺害されていたとはいえ、アフガニスタン大統領の要請に応えて侵攻したという「形」をとっている。