国際教育論 11 Q ベトナムでは、フランス語が第二言語だと聞いたことがありますが。 A 日本では英語が第二言語だと思いますが、そういう意味では、ベトナムではフランス語が第二言語だと思います。しかし、日本で英語が公用語ではないように、ベトナムでフランス語が公用語ではないと思います。 Q 英語は何カ国もが使っているのに、何故日本語は日本だけなんですか? A イギリスが世界中に植民地をもっていたために、何カ国もが英語を公用語にしているわけです。日本は長い間の植民地がなかかったため、日本だけが日本語を使用しているわけですが、かつて植民地であった韓国や台湾では、今でも日本語をつかえる人がいます。 Q 朝鮮語と韓国語は同じでしょうか。 A 基本的に同じだと思いますが、長い間別の国として展開していると、少しずつ違いがでてきます。ただ、どう違うかは、知識がないので知りません。興味があったら調べてみてください。西ドイツと東ドイツも同じような事情でしたが、通じないほどに違う面がでない内に、統一されました。もっとも、ドイツ国内での放言もかなり大きな相違をもっています。 Q 日本の放言の発祥はなんだったんですか? A 放言が発祥したのではなく、もともと地域が遠ければ、異なる言葉を話していたわけです。もともと違う言葉の人たちだった場合もあるだろうし、離れている間に少しずつ違ってきたこともあるでしょう。現在の共通語の「日本語」というのは、明治意向国家が作り上げたもので、こちらが後発です。 Q 私がハワイに短期留学したとき、日本語がかなり通じました。ハワイは日本人がよく訪れるからでしょうか。 A それもあるでしょうが、日系の移民が多いからだと思います。戦前から1950年代くらいまでの日本は、とても貧しい国で、国内で生活ができないので、外国に移民していった人たちがたくさんいます。最初は、アメリカで、アメリカでの移民制限のあと、南米のブラジルとかペルーにたくさんいきました。そして、ハワイも主立った移民先だったのです。 Q 国家連合で複数言語を使っているところはソビエト以外にもあるのですか? A 「国家連合」というのが、どの程度まで独立性を認めているかで、イメージが多様だと思いますが、アメリカやドイツのように州権限がけっこう強いところまでを含めて考えても、ソ連のような意味での「各共和国や州で異なる公用語をもち」「連邦としての公用語を決めない」というところは、私の知る限りありません。 Q 日本が日本語を挑戦の人に、強制した理由はなんでしょうか。 A 言葉こそは、「民族」の中心であり、日本民族に組み入れるためだったと考えられます。 Q バイリンガリズムの話がありましたが、国が学ぶ言語を国語だけにしたら、現地語はいつか使われなくなってしまうのでしょうか。 A 現地語の意味が多少不明ですが、とりあえず、国語以外の「放言」、あるいは移民にとっての移民元の言語という意味であれば、国語を教育、メディア、社会生活等で徹底的に使用させ、他の言語の使用を事実上制限すれば、何世代かを経て使われなくなると思います。日本では、アイヌ語はそのような運命をたどりつつあります。 Q インターネットでマイナー言語がいままでより受け入れられてきたのは、マイナー言語を話す人が書き込みをしたりしたことがきっかけなのでしょうか。 A インターネットは当初アメリカのものだったので、英語で書かれることを前提として、英語のタイプライターにある文字しか使えないものでした。したがって、インターネットの普及は英語の普及として、最初現れたのですが、そのうち、主な言語が、コンピューターで使えるような工夫がなされ、(コンピューターでハードウェアを使えるようにするためのドライバー挿入という手法が使われますが、英語以外の言語もその手法を取り入れることで、世界中の言語文字を扱えるように、今はなっています。)インターネットでも使われるようになると、その言語を使用している人たちが、世界にその言語で発信するようになり、それで学びやすくなったわけです。 Q アメリカでは国語が英語なので、アメリカで国語という言葉で表記されているのか疑問に思いました。 A 先進国で、「国語」という言い方をしている国は、たぶん日本くらいだと思います。他の国は、ほとんど「~~語」という言い方です。もっとも、日本でも、国語という言葉は「教育の世界」で使用するもので、社会にでると、だいたいは日本語という言い方の方が多くなると思います。それに似た言い方では、多くの国で「言語」「ことば」という教育内容を学ぶことになっている場合が少なくありません。例えば、オランダでも、小学校では、「ことば、計算、社会的知識」を最低限学ぶなどという言い方をします。しかし、「国語」ということばはほとんど見たことがありません。 Q 先進国の言語政策でソ連型は面倒なことが多いと思うのですが、何故ソ連型があるのでしょうか。 A テキストに書いてあるように、レーニンが各共和国の平等を保障するためであると主張して採用されたとされています。ことばが共通化されてコミュニケーションが成立するのは、公用語を強要することによってではなく、社会的経済的交流が存在することによってであるというのが、レーニンの考えだったのです。 Q コーランはアラビア語なので、イスラム教の人たちはアラビア語を学ぶそうですが、そうした宗教が言語に影響を与えるような例は他にもありますか。 A 宗教によって使用される言語が共通に使われるという意味では、中世のラテン語が相当すると思います。中世の聖書はラテン語に翻訳されていたので、大学等もラテン語でヨーロッパ内ではコミュニケーションが可能だったとされます。影響という点では、逆に、グーテンベルクの印刷術の発明と、ルターによる宗教改革で、聖書が各国語に翻訳されたために、それによって各国語が「成立」したと言われています。その代表的な例が、ルターが聖書をドイツ語に翻訳して、それがだいたい今日のドイツ語を形成するきっかけになったとされています。