国際社会論 第6回 Q 途上国の排出量を知りたい。  最新のデータをとろうと思って、IEAのホームページに行きましたが、統計本はかなり高額であるので、やめておきました。以下の記事。 【パリ24日ロイター時事】国際エネルギー機関(IEA)は24日、2011年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量が過去最高を記録したと発表した。中国の排出量が急増し、米国や欧州での減少分が相殺されたという。  IEAの暫定推計によると、11年のCO2排出量は前年比3.2%増の316億メートルトン(348億3000万ショートトン)だった。世界最大の排出国である中国の排出量が9.3%増加したためで、石炭の利用が増えたことが主因だ。  IEAの主任エコノミスト、ファティ・ビロル氏はロイター通信に対し、「このデータを見ると、(50年までに)気温が6度上がるシナリオと完全に一致する。これが現実になると地球に壊滅的な影響が及ぶ」と述べた。  科学者らは、農産物の不作や氷河の溶融といった気候変動による壊滅的な影響を回避するには、今世紀の地球の平均気温が産業革命以前の水準から2度以上上昇しないようにする必要があると指摘している。そして、それは20年の排出量をCO2換算で440億トン前後に抑えなければ実現不可能だとしている。  ドイツのボンでは現在、180カ国以上の交渉担当者が集まり、気候変動に関する新たな取り決めの15年までの締結を目指して作業を行っている。狙いは京都議定書の期限が今年末に切れた後の排出削減を確実にすることだ。しかし、交渉手続き上のいざこざがあったり、経済的な問題により排出削減の意欲が薄れたりしていることが会議の進行を脅かしている。  ビロル氏は「直ちに交渉の突破口ができると考えるのは非現実的だ。国際的な政策アジェンダ(目標課題)における気候変動の重要度は下がっている。憂慮すべき傾向だ」と述べた。  また同氏は福島第1原子力発電所事故後の日本の原発稼働停止が及ぼした影響を警告した。原発の段階的停止は11年の日本のCO2排出量が2.4%増えた主な要因となった。同氏は「日本については、排出増の理由がもっぱら化石燃料の使用増にある。これは他の国で脱原発が進むとどうなるかを示す重要な例だ」と述べた。  中国のCO2排出量は昨年急増したが、IEAによると、国内総生産(GDP)1単位当たり排出量(カーボン・インテンシティ=炭素強度)は2005年から11年までの間に15%減少した。これは世界第2位の経済大国になった中国が、成長促進にあたってCO2消費の節減方法を講じつつあることを示唆している。[時事通信社](2012/05/25-11:34) ちょっと古いですが、http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4180.html を見てください。 Q 鳥取砂丘はどのようにしてできたのですか。 A 河が運んできた砂が堆積したということのようですね。住んでいる人にとって、とても不便なので、防砂林などを各家が作っているわけですが、それが観光地としての砂丘を縮小させるということで、防砂林を制限しているようですね。したがって、砂丘を縮小させることは、十分にできるようですが、政策的にむしろ保持しているということのようです。  砂漠と砂丘の違いは、基本的には規模の違いだと思います。砂漠は面積的にも、また深さという点でも乾燥地域でほとんど生物の棲息できないところですが、砂丘は表面だけ砂地で、直ぐに湿った土地が現れるそうです。 Q ゲリラ豪雨が最近は増えているようですが、地球温暖化が原因でしょうか。 A 1970~80年代と90~2000年代を比較すると、全国平均で約2倍になっているそうで、原因はやはり温暖化という説が強いようです。詳しくは、 http://allabout.co.jp/gm/gc/293659/2/ が参考になります。 Q NHKの番組でサハラ砂漠の原因は、ヒマラヤ山脈が形成されたからだということをいってましたが、太古から存在していたのではないでしょうか。 A NHKオンデマンドで該当ビデオがないかと探してみましたが、見つかりませんでした。砂漠化の原因は多様であり、砂漠ごとに異なるものでしょうし、広大なサハラ砂漠が全体として同じ理由で砂漠化したかどうかは、わかりません。現在の砂漠拡大の最大の理由は、砂漠が巻き起こす砂嵐が隣接する森林を破壊していくことによります。  また、その土地の形成の初期に砂漠化したのもあるでしょう。  しかし、文明が発達した地域については、それはありえません。何故なら、そもそも砂漠には人が住めないのであって、文明が発達することは不可能だからです。少なくともエジプト近辺の砂漠は、以前は草原地域であったことが、考古学的に明らかにされています。 四大文明地域は、古代文明が発達しましたが、その後砂漠になってしまったことによって、その後高い文明を展開する地域ではなくなっています。 Q 文明が発達するとその場所が砂漠化しやすいと言ってましたが、日本も砂漠化する可能性があるのですか? A 文明の発生時期、エネルギー源のコントロール技術を理解していなかった時期、突然金属を精錬する技術を知って、爆発的に木材を使用すること、人口が既に増えていますからそのこともエネルギー源としての木材や住居のための使用で、森林を伐採していったことが、文明地域の砂漠化の原因です。そういう意味では、日本の戦国時代も砂漠化の危険性があったのです。権力を握った徳川家康が、関東に拠点を据えたのは、西はかなりはげ山化していたのに、関東にはまだまだたくさんの森林があったからだといわれています。日本の山がどこでも豊かな森林で覆われるようになったのは、江戸時代が平和であったことと、かなり努力して植林したからだといわれています。  現在の日本の都市は、高度な文明が発達していますので、文字通りの砂漠になることはないでしょうが、気候的には住みにくい地域になっていて、それをエアコンなどの機械によって快適さを回復している状態ですから、極めて乱暴な意味では、新式の砂漠といえないこともありませんね。 Q 排出権取引の実際はどうなっているのか気になった。 A 国家間取引、国内の民間企業、自治体等様々なレベルでの取引があるので、それらを全体的にまとめた統計は、今のところ見つかりません。東京都では、とか、対象を限定すれば、いくつかの統計があります。東京都だとhttp://www.kankyo.metro.tokyo.jp/climate/large_scale/cap_and_trade/data.html にふたつ統計が出ていますが、それほど活発に行われているとはいえないようです。  日本では昨年の震災の影響で、かなりCO2は増加しており、(火力発電の復活が理由とされています。)いつもとは異なると思います。 Q アメリカの温暖化対策はどうなっているのか。 A オバマに変わって、ブッシュ時代に比較するとかなり前向きになっていると考えられましたが、連邦政府としての政策は、共和党などの反対によって、変化していません。しかし、州ごとに、独自の規制に乗り出しているのが実態で、その詳細は、 https://www.ecologyexpress.jp/content/trend/20061213trend.htm などをとっかかりに調べてください。 注記  日本が京都議定書の扱いで、孤立的状況になっていることについて、日本が排出権取引に反対しているからだという理解をした人がいるのですが、日本は排出権取引に反対しておらず、実際に取引をいろいろな国家とやっており、かつ国内的にも適応しています。日本が孤立しているのは、京都議定書の延長に反対しているからであり、途上国はほとんどすべて、それに妥協して、欧米も延長に賛成しています。日本が反対しているのは、途上国にも義務を課すべきであるということを強く主張していることによります。ヨーロッパ、原則的には日本の主張に賛成ですが、途上国が絶対賛成しない状況を考慮して、延長せざるをえないと判断しているわけです。