小包受け取りの顛末(オランダ的処理のよさ?悪さ?) 2002.10.19

9.19

 日本から送った小包が水曜日に着いた(18日)のだが、そのとき留守であったために、とんでもない目にあってしまった。日本でも同じことなのだが、外国人であるということは、こんなにも不便なのかとつくづく感じざるをえなかった。日本に住んでいる外国人も同じような思いをしているのだろう。
 帰宅したら玄関の中に紙切れが入っていて、小包を配達したのだが、留守だったので、明日以降郵便局に取りに来るか、あるいは、再配達するのか別の住所に転送してほしいのならば、電話せよと書いてある。
 しかし、まだ電話が入っていない。
 この電話加入もけっこう大変だった。以前はオランダでは、PTTという公社が電話、郵便、貯金を全部引き受けていて、日本でいうと郵便局と電電公社を合わせたようなどでかい組織が一手に引き受けていて、そこにいけばいいことは、以前の知識としては知っていたが、その後PTTは分割されたということもあり、電話は分割されたらしいという、生半可な知識があったために、通常の郵便を扱っている郵便局に行ってもだめなのではないか、と思い込んでいたのだ。それで大学の知人に聞いたところ、ハーレムストラートという繁華街にあるPrimafoonというところにいけば大丈夫、というので、そこに行って申し込むことはできた。しかし、あとで郵便局でみたところでは、電話の申し込みは相変わらず受け付けているようだ。
 ところで、日本では電話局は以前は窓口サービスをしていたが、今ではまったく窓口サービスをしていない。そうすると、日本では通常の電話を申し込むにはどうしたらいいのだろうか。携帯電話なら、いたるところにサービス機関があるが、考えこんでしまった。日本人の私でも考えこんでしまうのだから、事情をよく知らない外国人はどうするのだろうか。

 さて、前に戻る。電話がないので、仕方なく、地域の郵便局に行ったところ、取りに来たのかと思われて、明日以降だよ、書いてあるだろう、というような調子、いや、再配達してほしいのだ、電話がまだないので、直接きたのだが、というと、電話での問い合わせ以外はだめだ、という実に官僚的な冷たい対応、たしかにそうなのだろうけど、もう少しサービス精神がないものか、と。オランダ人は全体としてとてもだし、窓口はいい感じなのだが、このときは、どうも逆だった。
 そこで、仕方ないので、公衆電話を探したところ、あるではないか、ところが、コインが使えない方式のもので、PostBankの発行するカードかクレジットカードでかけるようになっている。前者はもっていないので、後者のビザカードでやってみるのだが、このカードは使えないと出る。どうもよくわからない。まあ私のやり方が悪いのだろうけど、カナダではカードの方式の電話ボックスで簡単にかけられたから、100%私のせいでもあるまい。

 さて、仕方ないので、一日待つことにした。実は翌木曜日に電話がいよいよかかるようになるからだ。
 1時開通なので、それまで待って、いざ、かけてみると、電話番号が変わったとアナウンスがある。しかも変わったのは今年の初めかららしい。既に9月だ。なのに、以前の番号にかけろ、という紙をいれるというのは、びっくりしてしまった。日本だったら考えられないことだ。苦情はないのだろうか。
 で、変わったという番号にいくらかけてもかからない。開通した電話が悪いのだろうか、じゃ、ライデン駅前のコイン公衆電話でやるしかない、と思った、バスに乗って、ライデン駅前に。
 で、そこでかけてみると、やはりかからない。この電話番号は使われていない、と表示される。表示されのところは、なかなか面白い。日本にはこういう表示機能をもった公衆電話は見たことがない。とにかく途方にくれてしまった。そこで、これは郵便局に行ってみて聞くしかないと思って、近くの郵便局に。
 そこで初めて、わかった。私の聴き間違いだった。
 58を850と間違って聞き取っていたのだ。しかし外国人にはこれはほとんど同じように聞こえる。
 前者は、アハトエンフェイフタッハ と発音する。850は、アハト・フェイフタッハ と発音する。エンが入るかどうかで、まったく違う数字になってしまうのだが、このエンは、非常に早くしかも小さい音で発音されるために、聞き落としてしまったのだ。
 郵便局の人が念のために正しい番号を確認してくれたところ、確かに58だというので、お礼を行った。
 しかしだ、番号が変わったらしいのだけど、といったときに、そうだよ、と実に当たり前のように、その人は対応していたのだ。なら、昨日の郵便局の局員は、電話しろ、ここに、などと紙に書いた番号ではなく、今は変わっているから、ここだよ、くらい教えてくれてもいいではないか。そもそも、なんで、9カ月も前に変わった電話番号にかけろ、というのか。まだ紙が余っているから、というのはわかるけれども、わざわざ事情が知らないので聞きに行ったのだから、その程度のことは教えるのがサービスというものではないか、とこの点は腹が立った。

 さてまた問題だ。とにかくライデンの駅前に行ったので、そこの公衆電話でかけてしまおうと思って、かけてみると、確かに今度はつながる。しかし、日本でもよくあるように、「〜〜〜の方は1番を、***の方は2番を〜〜」という調子で何を言っているのかわからない。これを公衆電話で処理するのは無理だろうと、まずは最初の電話として、急いで帰宅し、家でかけることにした。
 とにかくオランダ語というのは、英語よりも聞き取りにくい言語だ。ドイツ語の方言であるのに、発音が相当くずれている感じがする。で、とにかく細心の注意を払って番号とその内容を聞き取ろうと、結局3度聞いて、たぶんそうだろうと番号を押すと、今度はまた、別の選択を要求される。最初は封書とか、住所表示とか小包とかを言っていて、次はどうも地域から来たとか、外国から来たとか言っているようなので、それは比較的すぐにわかり、番号を押すと、今混んでいるので少々待て、というようなアナウンスがあり、少し待っていると担当が出た。ここでほっとする。これからは、オランダのよさだ。こっちが英語で話すと、すぐに向こうも英語になってくれる。予め録音されたアナウンスだとこうはいかないのが難点だが、実際に人がでれば英語で通じるので、以後はなんとかなった。しかし、相当詳細に聞かれるので、結局20分以上かかってしまった。
 荷物はまだ来ないが、とにかく来る曜日がわかったので、安心して待てる。

 さて、これには後日談がある。
 上のことが木曜日のことだ。次の配達が月曜日だというので、ずいぶんと時間がかかるなあとは思ったけれども、仕方ない。
 とにかく月曜日配達だから、それまでは安心して外出できるわけだ。
 ところが、土曜日に帰宅してみると、また配達したのに不在だったという例の紙が入っている。更にこの郵便物を取りに来るなら火曜日だという。今度は怒りがこみ上げてきた。すぐに電話しようにも、既に受け付け時間をすぎていたので、どうにもならない。しかも翌日は日曜日だ。
 月曜日になって、再配達を頼もうかどうか迷ったが、結局、もう約束の期日に配達してくれる保証もないし、また、それすらずっと後の日だったらこまるので、取りにいく決心をした。実は前も取りにいこうかと思って、日本によくある市販の小さなキャリングカートをどこかで売っていないか、さんざん探したのだが、なかった。それにああいうもので運んでいる人もまったく見かけない。とにかく店の品揃えは、また別の機会に書くが、非常に少ない。それで自分の運ぶことも無理だと諦めたわけだが、今回はどうしても運ぶ必要がある。それで、飛行機に乗るときの旅行用カート(正確になんというかよく知らない。)を使うことにした。
 実は日本で荷造りをしているときに、前からもっていた外側がハードなカートを使用するつもりだったのだが、コンピューターと関連品をリュックに担いでいくことにしたので、かなりそれが重く、ハードカートだとそれ自体が重いので、布製のソフトカートをわざわざ買って、それに詰めて来たのがよかった。ハードカートだと、段ボールが入らなくて運ぶのが無理だが、ソフトカートだと、段ボールが入らないのは同じだが、布だから巻き付けるようにして、あとは縛ればとにかく運べる。それで3回に分けて火曜日に運ぶことにした。日本で発送するときに払った料金が55,000円だから、なんで自分で運ばねばならんのだ、とは思ったが、この際早く荷物を、と思ってがまんすることにした。
 火曜日に運ぶに際しては、スムーズにいった。郵便局の人も親切に対応してくれたし。しかし、結局たっぷりと2時間かかってしまった。
 暑くもないのに、汗びっしょりになり、翌日は身体が痛くて、起きるのが辛かった。まあ、いい運動にはなったが。

 さて、なんで配達が約束した月曜日ではなく、その前の土曜日だったのか。もちろん詳細はわからない。しかしひとつ明確なことがある。配達時不在だったときに、別の日に配達してもらうために電話をするのだが、前の記述でわかるように、そこは全国でいくつあるかわからないが、センターなのだ。そこに配達すべき郵便物があるわけではない。たぶん全国でそこにひとつだけあるのではないだろうか。つまり、そこは書類だけで処理するところで、電話の応対で、何曜日に配達します、と約束しても、別に配達する現場の事情がわかっているわけではない。また、十分に連絡をとって、確認をしてから、日時を指定したようにも思えない。もちろん、日時をこちらに指定したからには、配達の現場にも連絡をしただろう。
 しかし、またそこにひとつの問題が起きる。つまり、小包を配達するのは、通常の郵便局の人ではないらしいのだ。それを専門に請け負う民間業者がやっているらしい。まあ、日本でも、ゴミ収集は自治体の仕事でもあるけれども、収集車を走らせているのは、民間業者であるようなものだろう。
 要するに、連絡を受けるセンター、と荷物が集積される郵便局と、配達する業者がみんな違うことになる。これでは、連絡がよほどきちんとしていないと、指定された日時に配達されなくても不思議ではない。たぶん業者は大きな荷物がいつまでもあるのは嫌だから、月曜日だと言われたけれども、早く配達する分には文句もないだろう、と思ったのだろう。次のいないのだから、指定された月曜日にもう一度配達してくれれば、文句はないが、連絡は火曜日だ、と勝手に決めてしまうのだから、有難迷惑というのは、このことだろう。
 日本の場合には、例えばクロネコヤマトにしても、郵便局にしても、電話をするとしたら、その物が実際にあり、配達をしている場所に電話して、そこに係がいるようになっているはずだ。これなら、間違いは起きにくい。
 オランダというのは、分権社会であるにもかかわらず、いかにも非能率的な集権的組織をとっている場面がある。ここもそういう一例だろう。
 
 もうひとつ、10年前の話になるが、免許証の発行がそうだった。日本なら、免許センターが各地になって、そこに行くのが遠ければ不便だが、とにかくそこにいけば、免許の発行など数時間で済む。
 ところが、オランダは免許の業務をするところが全国に一カ所だけしかないので、そこに書類を提出して、実際に免許が送られてくるのだが、それに1月かかった。
 今度書き換えをするのだが、どうなることやら。