移民系少年による殺人事件 2002.10.27

 ドイツ国境のベンロー(Venlo)という町で、殺人事件が起き、今オランダのマスコミを賑わせています。
 事件の簡単な概要は、22歳のステーグマンスという青年が、スーパーマーケットにやってきたところ、18歳の少年が高齢の女性になにか言っているのをみて、(絡んでいたらしい)「お年寄りには、尊敬の念をもって接しなければ」と注意をしたところ、暴力を振るわれ、ヘリコプターで病院に運ばれたが、数日後死亡した。暴行を働いた若者はすぐに逮捕されたがマロカーンセという移民の子どもだったために、昨年から台頭してきている新右翼が、移民排斥の書き込みをホームページに行い、問題がすっかり大きくなってしまったわけです。
 25日に追悼集会がベンローで行われたところ、17,000人が集まったということで、これはオランダの国境の小さな町としては、異例の大人数ということになります。
 18歳というと、オランダでは少年ではないのですが、多くの新聞は実名を出しておらず、イニシアルになっています。もっとも、こちらでは犯罪記事はあまり具体的なことは書かないことが多いので、大人でもよほどのことがない限りは、実名は出さないのかも知れませんが、そこらの判断はまだできません。
 報道によると、犯人たちは「謝罪」の意思を表明しており、決して殺意などなかったと弁明しています。
 被害者の青年は、正当な行為があだになったことでわかるように、非常に好感をもたれていた青年であったことが、小さな町の大人たちにより大きなショックを与えているわけです。シュタイナー学校を卒業してから、手工の職人になりたいという夢をもって勉強しており、環境問題に非常に積極的に取り組んでいたといいます。
 一方、「移民排斥」的な受け取りをする者と、移民の問題というよりは、若者問題なのだ、とする人たちと、二通りありますが、とにかく、オランダではイスラム系の移民に対する風当たりがどんどん強まっています。
 さらに、このベンローという町の特殊性もあります。ここは、ドイツと国旗を接する町で、ドイツからオランダに麻薬を求めてやってくる町となっており、その点でも問題になっていたわけです。

 昨日決して新右翼政党ではないVVDという政党が、イスラム学校の教育は、やるべきことをやっていない、というような批判を出したそうで、その文章はまだ見ていないのですが、とにかく、麻薬と若者と移民の問題が、今後どんどん複雑に展開していきそうです。