出発前のご挨拶  2002.9.4

 1,992年にオランダに留学してから、10年たちます。前回は初めての外国でした。博士論文を出版して、次の研究を開拓するための留学でした。
 オランダを留学先に選んだのは、学校選択が完全に実施されていることを知って、当時「いじめ」を最悪の事態にしないためには、学校選択が有効なのではないかと思い、オランダに注目したのです。
 オランダは学校選択だけではなく、麻薬や安楽死など、世界の趨勢とはまったく異なる政策をとることに現れているように、非常に興味深い国であることがわかりました。当時は「何故オランダにいくのか」とみんなに不思議がられましたが、今ではそうした声も少なくなりました。
 日本とオランダの関係も、江戸時代とはいかなくても、かなり密接になってきたからでもあるでしょう。

 オランダから93年の帰国してから、個人的にはパソコン通信の仕事に時間をとられ、当初の研究は滞ることになりましたが、逆に、現代社会や思想を学ぶフォーラムで過ごしたおかげで、問題意識は更に進化し、単に学校選択にとどまらず、さまざまな社会における選択の契機を調べることによって、選択能力の形成を究明したいと思うようになりました。
 選択の問題というのは、政治的・経済的「条件」として考えられることが多いのですが、それだけではなく、個々人の「能力」の問題もあるのではないかと考えたわけです。それで、出産から死までの生涯における「選択」の問題を考察することで、選択能力を形成する社会システムとはどんなものなのか、それを調べ、考えるために、今回、再びヨーロッパを訪れて、調査研究することにしたのです。

 出発は8日。現地についてもインターネット環境が整うには時間があると思うので、現地からの報告はすこし時間がかかると思いますが、ご期待ください。また書き込みもどうぞ。