453/628 GEC01342 WAKEI オランダ通信61 人生を終える病院
(19) 93/07/11 04:36
オランダ通信61 人生を終える病院
以前安楽死法案について報告しましたが、現在それは審議中です。まだ正式には成立していません。(この件については、誰かが、書いてくれることを期待していたんですけどね。)
今度、ヒュ−マニズム協会なるところの人が、「人生を終える病院」を提案するという「事件?」が起きました。新聞でも報道され、またテレビでもその本人の説明(本人の家の周辺)とスタジオでの解説とがありました。提案は文字通り、人生を終えたいと思う人がやって来て、自殺の手助けをするというものです。
始めは、安楽死法案と考え方としては同じなので、書かずにおこうと思っていたのですが、次の新聞に、いくつかの反応があったという記事が出ていたので、書くことにしました。
7月3日の新聞に始めて出たのですが、5日の新聞(Algemeen Dagblad)にその反応が出ました。驚いたことに、その反応が、すべて肯定的なものなのです。その半分は、自分も早く入りたいが、いつできるのか、というもので、あとは、「自発的安楽死協会」という団体が、賛成だから是非実現しよう、われわれも応援する、とういような内容のものだったそうです。それを批判する、というような、(少なくとも本人への反応)はなかったような記事になっています。もっとも提案者が言っているのですから、批判は無視している可能性もたくさんありますが。
それで、この記事によると、安楽死はもう既に相当の歴史をオランダではもっており、昨年、オランダでは自殺が1600件あったが、その内400件は医者が関与して、「援助」をしている、と紹介されています。
いうまでもなく、現時点では、自殺の補助(いわゆる自殺幇助)は法的に罪、犯罪です。それを、必要な手続きを決めて、ある部分を合法化しようというのが、現在の安楽死法案なのですが、それはまだ可決されていませんから、当局が厳密に対処すれば、逮捕されてしまうのですが、当局は、現在そうの種の行為は、黙認しているのです。(日本で起きた東海大事件のような事件は、オランダでは1970年代にあったそうで、それで、次第に黙認するようになり、今回の法定化という事態に進んできたようです)
オランダの人口は1400万人ですから、一年間の自殺は、人口10万人当たり11.4人ということになり、また医者による安楽死が、10万人あたり、2.8人ということになりますか。今日本の統計がわからないので、この自殺率は日本と比べてとうかはわかりませんが、毎年日本でいうと、4000人が安楽死しているという現実は、ちょっと驚きですね。
とにかく、すべてのオランダ人がそうとういのではありませんが、少なくとも多くの日本人とは、少々違う死に対する反応があるようです。自分が癌になったことを知って、それからの自分をビデオでとって話題になったオランダ人がいましたが、そういう気丈夫な行為ができる人がいるのですね。
実は私の子どものクラスの母親が、癌であることを宣告され、もう数カ月の命しかない、と言われたのです。それから、(私自身は会ったことがないのですが)彼女のとった行動は、それを友人一同と家族に告げ、残りの人生を悔いなく過ごしたいので、協力してほしいと言って、それから、いろいろな行事は最大限こなし、また人生の思い出をつくるための様々なことを計画して実行しているのです。きれいな写真を取ったり、外国旅行をしたり、またパ−ティ−を開いたり、というような。始めは、非常に戸惑っていた友人たちも、その気持ちを理解し、今ではできるだけ、あかるく接することで、協力しているようです。
こういう風土を基礎にして、安楽死を積極的に受け入れていく、ということもあるのでしょうが、ただ、やはり、「尊厳死協会」と「自発的安楽死協会」の相違は、大きいし、私としても、すぐに安楽死の肯定という考えには、至らないのですが、どうでしょうか。